一旦解散をした後、アーシェリスはティレックスを探していた。
「エクスフォスもいろいろと大変なんだな」
ラークスがアーシェリスに話しかけてきた。
「なあ、ティレックスを見なかったか?」
「多分、外にいるんじゃない?」
ユーシェリアが話しかけてきた。
「ねえ、なんかティレックス君さ、さっき話をしてから様子が変だよ?」
クレンスが心配そうに言ったがアーシェリスは気が付かなかった。
「……やっぱり、気がついちゃったと思う?」
「どうかな、少なくとも何も気にしていないって感じではなさそうだけど――」
ユーシェリアとトキアがそう話をしていた。
「……やっぱり、この手の話でティレックスに隠し通すのは難しそうだなぁ――」
ラークスは頭を掻きながらそう言った。
「やっぱり言っておこうか?」
しかしトキアが遮った。
「いいよ、具体的なところはわかっていないにしても、ある程度は何となく把握していると思うし、それならあえて話す必要はないと思うわ」
バディファはずばり訊いた。
「囚われているルダトーラの民の話がありましたが、その話と何か関係でも?」
ラークスは話をした。
「そう、その通りっすよ。
囚われたルダトーラの民というのが何を隠そう、ディアナリス=ヴェイルバーン、
ティレックス=ヴェイルバーンの妹なんですよ」
なんだって!?
「ディアナリスの行方が全くわからなくなったの。だから誘拐されたんじゃあないのかって――」
「しばらくはセラフィック・ランドに行っていろいろと勉強してくるみたいなことを言っていたみたいで、
その後、グレート・グランド大陸へと渡るって言ってたらしいけど、それからは行方がわからなくなってね――」
ユーシェリアとトキアがそう付け加えた。
「ティレックスはこのことを――」
ラクシスは訊いた。
「ディアナリスからの便りが途絶えてからというものの、
流石に心配は心配だったろうよ、しばらく会っていないこともあったしな」
ラークスは答えた。
「で、アール将軍様はディアナリスの消息を調べることにしたそうなのよ――」
ユーシェリアは……って、この女も”アール将軍様っ娘”かよ。
どんだけだよ、あいつ……アーシェリスはそう思いながらイラっとしていた。
「そしたら、ルヴァイスさんの件を受けてリベルニアの話を確認した時、
どうやらそのリベルニアで囚われている事実が判明したんだよ――」
確かにアール将軍”様”の情報網は今更疑いようがない事実だけれども、
一体その情報をどこから仕入れてくるのだろうか? それはそれで気になった。
「さらに調べてもらった結果、大変なことになりそうだってことを知ることになったのよ」
と、トキアが言った、どういうことだろうか。
ティレックスが戻ってきた。
「なんだ? どうかしたのか?」
全員で別に何でもないような感じにふるまった。
「……まあいいか、お前らの言いたかったことはなんとなくわかっている。
けれども、俺としてはそれ以上に心配なことがあって考えていたところなんだけどな」
一同目を丸くした。やっぱりそうなのだろうか。
「アルドラスティアが捕まった、さらにシェトランドを捕える連中と結託している、
捕まるのは、どちらもサード・ヒューマノイドに属する種族だ」
サード・ヒューマノイドだって!? アルドラスティアも?
「言われてみればどちらもサードよね! どういうことかしら!?」
トキアが声を荒げてそう言った。
「アルドラスティアもサード・ヒューマノイドなのですか?」
ラクシスはそう訊いた、その問いにはバディファが答えた。
「大昔のルダトーラの民……アルドラスティアは亜人生物に近い生体をとっているけれども、
普通の亜人族にはない特徴があって、それゆえにサードに分類されているんだ」
「確かに亜人族と言われても、普通の人間族との違いは見受けられませんね」
「というより、人間の姿も獣形の姿もどちらの姿も本来の姿なんだよ」
アルドラスティアの獣形の姿については大昔のもの、
現在ではそちらはすっかり退化し、過去のものとなっている。
「へえ、それゆえにサードに分類されているのですね」
「だからこそ私ら……いや、キミらも含めて狙われているのかも知れない、
シェトランド人と同じく――ティレックス君、そう言うことですか?」
シェトランド人も石の魂と呼ばれる”核”が狙われているって訊いていたな、
アーシェリスはイールアーズの妹やエレイアの話を思い出した。
「つまり、先ほどの話の続きですが、リベルニア軍がやろうとしているのは――」
間違いない、戦争だろう。
「それもこの戦争、どうやら”ガラディウシス”と呼ばれる連中が絡んでいるらしい」
ラークスはそう言った、”ガラディウシス”ってまさか――
「”エクスフォス・ガラディウシス”、やつらか――」
アーシェリスはそう言うと、
「知っているのか!」
と、ラークスは声を荒げて訊いた。
「ラークス、知っているも何もこの人たちはエクスフォス人だ」
ティレックスがそう促した。
「ああそっか、そりゃそうだ、それなら何かしらの因縁があるってわけか――」