エンドレス・ロード ~プレリュード~

エクスフォス・ストーリー 第2部 追い求める者 第3章 花と大地と風の都

第32節 エクスフォス危機

 ある日、エネアルド島で再び事件が発生した――指名手配されているのはロバールだけではない。
「兄さん! 今までどこに行っていたの!?」
「なんだ、どうしたんだよ、クレンス――」
 エルテン島で修行、さらにはガレアに再び赴いたりなどしてあちこちで手ほどきを受けていたアーシェリス、 戻って来るや否や、クレンスが慌てていた。
「カサードだよ! カサードが!」
「えっ、カサード!?」
 あわてていたクレンスの話の一部始終を聞き、アーシェリスはあわててラクシスの家へと向かった。

 ラクシスの家に着くと、玄関がだいぶ荒れていた。
「ラクシス! 大丈夫か!?」
 ラクシスは玄関先でうずくまっていた。
「ああ、アーシェリス――俺は無事さ。だけど、お祖母ちゃんが――」
 ラクシスのお祖母ちゃんが殺されていた――
「カサードめ――」
 ロバールよりも10年以上も前に指名手配されていたカサード、しばらく音沙汰もなかったのに今になって急に、なんでだ!?
「アーシェリス、俺はとりあえず大丈夫だからフェリオースのところへ行くんだ」
 フェリオースがどうしたって!? アーシェリスは言われた通り、慌ててフェリオースの家へと走っていった。

 フェリオース、無事か――、フェリオースのいるアルザード邸へとやってきたアーシェリス、
「フェリオース! どこにいる! 返事をしろ!」
 アーシェリスはフェリオースの名前を大声で呼んだ。 ラクシスの家とは違い、静かでまったく荒らされている形跡もなく、むしろ不気味な雰囲気が漂っていた。 するとその時――
「残念だがこの家には誰もいないようだ。しかしちょうどいいところに――飛んで火にいる夏の虫とはお前のことか?」
 それは渦中の人物、カサードの声だった! カサードの姿を確認するや否や、アーシェリスは駆け寄っていった。
「何が目的だ!?」
「ふっ、知っているだろう、俺がなんで指名手配されているのかを」
「ああ、知っているとも、お前は多くの人をその手にかけた、連続殺人犯だ!」
 するとカサードは笑っていた、何がおかしいんだ! アーシェリスは身構えながらそう訴えた。
「いや、”多くの人をその手にかけた”と聞いたもんでな、それではただの通り魔ではないかと思ってな」
「何が違う!」
「大いに違う。 俺の目的は”多くのエクスフォスをその手にかける”ことだ。 シェルフィスやファルクス人、ましてやそのほかの種族のことなど、生きていようがいまいが関係ない――」
 エクスフォスのみがターゲット?
「そうだ。エクスフォスは滅ばねばならん種族、そして選ばれしエクスフォスのみがこの世に残ればいいのだ!」
 それはどういうことだ?
「選ばれしエクスフォス……それがお前だというのか!?」
「さて、それはどうかな? いずれにせよ、私は”エクスフォス・ガラディウシス”としての役目をまっとうするのみ、だから次は――」
 すると、カサードはアーシェリスに向かって切りつけてきた! しかし、その攻撃をアーシェリスは軽く翻弄していた。
「ほう、ガキのクセにこの私の攻撃を交わすとは、少しはやるようだな。 なるほど、それならば仕方があるまい……本意ではないが、私の技で貴様を始末してやろう!」
 そのままお互いに距離を取りつつ、狭くて自由の利かない家の中を脱すると、2人は家の外で対峙した。