あの後、船はノース・ディスタードのガレアへとたどり着くと、
6人はそのまま成すすべも無くガレアの基地の中へと連れてこられた。
そして、独房へ……ではなく、何故かそれとは違う部屋につれてこられた。
すると、さっきの上官は思わぬ行動に出た。
「はい、どうぞ。おとなしく待っているんだよ」
何と、クレンスとユイの腕の縄を解いたのだ!
「えっ、なんでだ!? 俺たちのは!?」
アーシェリスは訊いた、F・F団の時と同じ展開になるとは思わなかった。
すると、別の男がこの部屋にやってきて、その上官に対して言った。
「お疲れ様、ツイード君。あとはみんなと一緒に作業に当たってね。」
その男は”ツイード”が部屋を出ると扉を閉め、こちらを見ながら話をし出した。
この男、どこかで見た記憶があるが思ったとおりの人物とは誰とも酷似しない、誰だったかな……。
「さてと――」
男は6人の状態を見ながら言った。
「ああ、そうそう、まずは縄の件から説明しようかな。
それはもちろん”女性だから”だ。だからキミらはダメ。」
「まさか、”女性だからこんなことしちゃダメだ”って話……?」
ユイは訊ねた。
「そうそう、よく分かったね、そのとおりだよ。」
……コイツもフェミストかよ。
「へえ、そうなんですか♪」
クレンスは、今度は何故か楽しそうに答えた、様子がおかしいと思ったら今度はどうしたのだろうか。
「しかし、本当にキミたちはムチャをするよ、帝国の軍艦に乗り込もうとするだなんて。」
乗り込もうとしたのではなく、本当に乗り込んだのだが――と言うと、
「ホントだよ、乗り込もうとして多分諦めないだろうから仕方なくうちに着く予定の船に乗せてあげたんだ。
そうでないと次の船は最悪な”ダイム”のいるところだし、その次はもっと最悪な”ベイダ”のいるところだから、
そっち行ってたらキミたち――どうなっていたかわからないんだよ?
まったく、私の部下に目撃されていて運が良かったよ。」
……どうやら、彼らが乗り込もうとする時から既にこの連中から目をつけられていたらしい。
「なら、お前らに感謝しろってか?」
アーシェリスは噛みつき気味にそう言った。
「まあ――それでもいいし、そうでなくてもいいし。」
男は態度を改めて言った。
「そういえばまだだったね。私はここの管轄の主である将軍の”アール”だ、よろしくね。」
なんとなくそう思っていた。
あのエラソーな帝国の将軍のイメージとは裏腹に――
特にエラソーな帝国の将軍についてはマウナのダイムがメディア露出もあってそれなりに有名だが、
それとは打って変わってこの優男――非常に人当たりがよさそうな性格の持ち主で、6人はなんとなく安心した。
そう、こいつがルシルメアの独立で交渉に応じた将軍だからだ――そのことが何となく頷けそうな人となりだった。
「で、キミたちがエクスフォスと、キミとクレンス嬢がこの中では数少ないシェルフィス人ね。」
シェルフィス人クレンスは笑顔で答え、キミと呼ばれたラクシスはテレながら「そうです」と言った。
「キミたちがどうしてこの帝国に着たのかは大体検討がつくよ、
エクスフォスとシェトランドが衝突したあの戦い、何故仕組まれているものかっていうことなんだよね。」
それを知っていることについてはここまでくれば驚かないが、それでもこいつにだけは驚かされた。
「ワイズリアおじ様にもシャイズ君にも、
あのティルアのクラフォード君たちにもその情報を教えたのは何を隠そう、この私なのだからね。」
すべてはこのアール将軍の思ったとおりにことが運んでいたようで、
6人はただただその上で動いていただけに過ぎなかったのだ、
なんて無謀な行為をしたんだ、そういわんばかりにアールは話をしていた。
この将軍だったらあの戦いのことを話すだろう、6人は誰もがそう思った、
6人は己の浅はかさに絶望したのだった。