F・F団のリーダーたるその男は広場の人ごみをうまくすり抜け、アーシェリスらのいるところへと向かってくる!
クレンスはその道の真ん中にいたので、アーシェリスは焦って声をかけた。
「クレンス! 来たぞ!」
「えっ!?」
クレンスはどっちに避けようか慌てていたが、既に手遅れだった。
「あっ、の……ご、ごめんなさい……」
ところがその男、ていねいに立ち止まると、クレンスが退けるまで待っていた。
「いえいえ、どうぞどうぞ、慌てなくたって大丈夫ですからね。」
クレンスはゆっくりと道を退けると、男はクレンスの前に改まって言った。
「こちらのほうこそごめんなさいね、お嬢さん。お詫びと言ってはなんですが、これをどうぞ!」
すると男はキレイで豪華な飾りのついた剣を取り出した。
「あいにくこんなものしかありません、申し訳ない。
本当は女性なので飾りだけと言いたいところですが、せっかくなのでこのままどうぞ。
だけど、華奢なお嬢さんにはピッタリな剣ですね。それでは、また今度。」
男はそう言ってていねいにお辞儀をすると去っていった。
ほかの5人はその光景を遠目から見ていると、すぐさまクレンスに駆け寄った。
「お、おい――クレンス……大丈夫か?」
アーシェリスはクレンスに話し掛けた。
「う、うん――私は平気……だけど……」
今去って行ったリーダーらしきやつ、追うべきか追わずべきか――
しかし気づいた頃にはその姿は既にそこには無かった。
あの男が去り、残されたサブリーダーらしき男があの場を受けてから10分程度経っただろうか、
人ごみも散り散りに、ようやく落ち着いてきた。
すると、F・Fの団員も昼飯だとか言いながら帰ろうとしていた。
「やつらが帰る! チャンスだ!」
ガーティは5人にそう促した。
よし、今が話し掛けられるチャンスか――そう思って6人は彼らに接触を試みた。
ところが、彼らは足早に撤退しはじめ、チャンスを逃した。
だが、ここでチャンスを逃すわけにはいかない、6人は彼らの足取りを追った。
まだまだ見失ったわけじゃない、彼らを追った。
そして、追いついた先にはひとつの民家に団員が入っていく光景があった。
なかなか人目につかないような位置に入り口があるその民家、隠れ家にはもってこいだろう。
フェリオースは後ろにもF・F団の仲間が3人いることを確認すると、
それをアーシェリスとクレンスの兄妹にも促し、アーシェリスは民家の入り口に誰もいないか確認し始めた。
「カギが空いているのか、無用心だな……」
だけど、広場であんな態度を見せた彼らなんだ、素直に話に応じてくれるかもしれない、
そう思って扉をノックしようとした次の瞬間だった。
「動くな!」
3人は後ろにいたF・Fの団員に銃口を向けられ、包囲されてしまった。
「お前たち! 何者だ!」
団員の一人が訊いてきた。
「お前たちはさっきの!? まさか……帝国の犬というわけじゃないだろうな」
「違う! 俺たちは――」
すると、
「悪いけど、彼らを放してもらうよ」
後ろに控えていたラクシスたち3人が剣を出しながら出てきた。
「銃をおろすんだ!」
ガーティが言うと、連中は銃を素直に下ろした。しかし――
「いや、それよりもキミが剣を下ろしたほうがいいみたいだな」
その後ろから、先ほどのサブリーダーらしき男が団員を引き連れ、そう言ってきた。
仕方なく6人は素直に従い拘束されると彼らのアジトの中へとつれてこられた、ここまでか――