すると、その時――
「えっ!? ちょ、ちょっと!? どうして!?」
レオーネとザードは目の前に光景に対して身構えていた、
そこにクローザルが立ちはだかっていた――
「クローザル兄ちゃん!?」
クローザルは”邪悪なる者”の手前で魔法のバリアを展開していた!
そこへ”邪悪なる者”は得意げに言った。
「先ほどのアバズレ共を斃したからな。
しかし、あのアバズレ共が食らった闇の処理をせなばなるまい……
そう、子供の不始末は親がせなばなるまい! そうだろう、ネシェラよ!」
な、なんだって!? まさか――
「ウフフフフフフッ♪ 闇ってなんて素敵な力なのかしらぁん♪
これだけの能力があれば、アタシの、アタシによる、アタシのための完全なる世界が実現するわねぇん♪
そうなったら何人たりともこのアタシの邪魔はさせないわぁん♪ ウフフフフフフ――」
……ネシェラが妖艶なポーズでこちらを見下すかのような様相で得意げに言っていた……。
そう、クローザルはネシェラの命令で”邪悪なる者”を保護したのだった。
「まさか――あの先兵たちの存在は罠だったのか!?」
フレアたちはその光景に驚いていた。
「本来なら闇に落ちようともこの女のことだから動じることはなかろうが、
今やこの女は四六時中”行為”を楽しみたいだけのただのアバズレ……
そんな女が闇に落ちようものなら目的はただ一つ……」
な、なんてこと、ここまで来て――
「残念だったな、あと少しでこの我にその刃が届いたというのに……。
名残惜しいが、これで最期にしよう――<エクスター・フェニックス!>
これぞ、世界創造の炎というものだ!」
フレアは気が付くと、そこは例の地下牢のなかだった。
「まさか……」
そう、ネシェラが作り出したあの居城の監獄の中……
彼女は欲望に支配されたネシェラ=エンプレス・アヴァリスティ女王様、
この世界はすべては彼女のもので、すべては彼女の欲望を満たすためだけに存在している世界――
あの世界線に逆戻りしてしまったのだった……。
ところが――
「監獄の脆さだけは変わっていないようだな、もっとも――脆いとて、ということなのだろうが――」
ということである。さて、どうしたもんだか。
そもそも”邪悪なる者”に対して勝機はあるのだろうか、フレアは悩んでいた。
どうしようもなくさまよっていたフレアだが、ネシェラの下僕たちに捕らえられると、素直に応じていた。
そこはネシェラの玉座の目の前だった。
「ったく、アンタだけこの世界の理が通用しないのよねぇ。
でもま、そっか、あんたには必要な要素が抜けているんだもんね、
男を必要とする心がね。」
やはりそこに干渉しているのか、フレアは考えた、
だからディウラたちもまたネシェラの”メイド”としてつき従っているというわけか。
「ま、ぶっちゃけていうと、そう言う存在がいるっていうのはこの世界にとってバグでしかないのよねぇ?
バグはとっとと処理してしかるべきなんだけど――」
ネシェラはそう言うとフレアは言った。
「では、何故殺さず牢屋に閉じ込めておくんだ?
それに、そのバグを生み出したのは他でもないお前の血筋なんだが?」
そう言われるとネシェラは考えつつ言った。
「さぁて、どうしてかしらね。
確かに、ご先祖様がアンタの頼みを受けて現れたのがアンタというバグ……
頼みっつってもやり方を決めたのはご先祖様なんだし、アンタにはまったく非がないもんね?」
確かにそれはそうだ、そもそもフレア……過去の運命の精霊はもっと根本的なところを指定している、
その結果がこのバグの状態ではないのだ。
まあいい、そんなことよりも――
「どうしたんだ? やはり、”邪悪なる者”なしでは生きられないということか?」
それに対し、ネシェラは深いため息をついていた。
「ったく。いちいち人の弱みに付け込んでやってくるやりかた、とにかく陰湿過ぎんのよ、アイツ。
アタシだってわかってはいるんだけど、この欲望だけにはどうしても逆らえないのよ。
だって、アタシの身体ってば、あんなにイイコトだけしていれば生きていけんのよ?
そこを全面に押し出されたら抗えるわけないじゃないのよ? ねえ?」
まあ……今までのを見ていれば、確かにそうなんだろうなとしか言えないのだが。