だがしかし――
「そうそう、忘れておったな。
お前たちが来るその暇つぶしに面白いものを作って待っていた……」
と、邪悪なる者は手を掲げると、そこにはずらりと女たちの姿が!
「なっ!? あれはまさか!」
フレアたちは驚いた、その姿は闇をまとってはいるものの、それはどう考えても――
「さあ……エサの時間だ! たっぷりと楽しむがよい!」
なんと、闇に包まれたネシェラが3人ほど襲い掛かってきた!
「そこのアバズレ! このアバズレ共は貴様が生み出した存在!
生まれて間もなく闇ばかりを食らい、闇を伴侶とすることに決めた者たちだぁ!
しかもこのアバズレ共にはしばらくエサを与えておらん! だから……もはやどうなるか我にもわからんなぁ!」
なんだと……!?
「だ、だが、ほかのアバズレとは違ってあんまりゾクゾクしないんだが?
無論、肉食獣と対峙している気持ちという点ではゾクゾクしちまっているがな!」
バルファースはそう訊くとネシェラは答えた。
「所詮は血に飢えた獣よ、私含めてね。
こいつらはつまり、しばらくごはん抜きだったから飯にありつくことを優先してのことなのよきっと。」
ということはつまり?
「妖魔種族ならではの誘惑魔法で悠長に相手を引き付けてなんぼよりも直接襲い掛かって何やらするという本能のほうが勝っているということか――」
と、フレアは語った。
「でも、みんな同じネシェラだよ!? どうしよう!?」
メロリーナは悩んでいるとネシェラは答えた。
「みんな私とは違う! ただのモンスターよ!」
そんな……
「所詮は改変された歴史の中での出来事、正常な流れに戻れば彼女らだってあるべき姿になっているハズ!
だから、ここで斃してしまうのが彼女たちのためよ!」
と、ネシェラは続ける、なんとも思い切った決断だな、それもそうか。
「ふん、まあ……正論と言えば正論だな」
邪悪なる者はその様子を冷静に眺めていた。
しかし、それにしてもあんまり気持ちのいいものではないものである。
「ディウラ、大丈夫か?」
フレアは彼女にそう訊いた、ディウラを襲撃した”アヴァリス・ソルジャー”の1人はフレアがとどめを刺したのだった……。
「そういうフレアは平気なの?」
「やってやれないことはないが、慣れることではないな。
特に――シルグランディアの殺害……彼女に”殺れ”と言われればやれないこともないが、
それでも決してやりたいことではない――私が彼女の血筋に刃を突きつけるときは他に方法がないときだけだ――」
フレアとしてはなんともきつい決断だったに違いない。
「だが、これが彼女にしては何とも手ごたえのない相手だった、つまりこいつはただのまがい物……
やはり、この時代はそもそもこの時代は偽物の刻みと認識するべきだろう――」
フレアは”邪悪なる者”を睨めつけていた。
さらにもう一体はバルファースがトドメを差していた。
「ったく、いくら何でも冗談きついってぇの――」
そこへ冷や汗を垂らしつつカイルがそっとやってきた。
「わ、悪いな……代わりに斃してもらったみたいで――」
「いいってこと。戦術的に確実に取れそうなエモノを早々にしっかりと狙ってくる……
この辺りはこの血筋らしい考え方だな、例え血に飢えた獣だとしてもだ」
「確かに。
でも、あんたにしてみればあのエメローナさんの……いや、ご自身の子孫にあたる人を斃しているわけで――」
「そうか? 俺はそう思わないけどな。
確かに、エメローナと見た目は瓜二つかもしんねえが、ネシェラも言ったろ?
中身はただの血に飢えた獣だ、俺もそう思うし、エメローナだってそう言うに決まっている。
なら話は簡単、エメローナの皮をかぶったまがい物は排除してしかるべきってわけだな」
なんともはっきりしていることで。
一方、もう1体はパティとメロリーナがハチの巣にしていた……。
「こんなことをするなんて!」
「待っててね、お姉様! 必ず時代の流れは元の流れに戻すから!」
残りは”邪悪なる者”と対峙しており、そして”アヴァリス・ソルジャー”を対峙していた面々はそちらと合流しようとしていた。
「ほう? 殺りおったか、まさに深淵へと降っていくというわけだな――」
”邪悪なる者”は得意げに言った。