ドラゴン・スレイヤー ~新たなる未来~ 第8章 第180節

第8章 新たなる未来のために

第180節 賢者リシェルナ様のポテンシャル

 3人はそのまま朝食を外で済ませることにした。
「親しみやすそうな賢者様? そうじゃない賢者様とかいらっしゃるのですかねー?」
 リシェルナは改めてレオーネに訊いた。
「例えば”魔人ダルゴ”だな。あとは”エルジンド”もダメだな。 それから……ラインハルドも少々苦手だな」
 え!? ラインハルド様がダメ!? リシェルナが訊くとディウラが言った。
「わかる!  だって、ラインハルド様、同じことを2回も3回も繰り返すことがあるじゃない?  物腰が柔らかいのはいいんだけどね。 前に会ったときは運命の精霊様を前にで緊張していたせいで思ったより口数少なかったけどねー♪」
 理由はまさかの年寄りにありがちな内容だった。
「まあ、ラインハルドはまだマシなほうだな。 エルジンドはとにかく暑苦しいし、魔人ダルゴは……」
 と、レオーネはため息をつくと、2人も共感していた。
「確かに、エルジンドさんって一旦スイッチ入っちゃうと面倒臭くなっちゃいますからね。 教えを解いているのに周りの人がだんだん疲れちゃうんです、悪い人ではないんですけどねぇ……」
「魔人ダルゴ様ってどちらかというと企業向けだからね。 だから”相談役”としてはうってつけかもしれないけど、 そうじゃなきゃ言っていることがちんぷんかんぷんなところがあるからねぇ……」
 リシェルナとディウラもまた、ため息をついていた。
「だから賢者なんていうものはそんなもんだと思っていた。 しかも賢者リシェルナはオススメできないと言われて敬遠していたんだが、 なんだ、一番話しやすそうじゃないか――」
 レオーネはそう言うとディウラが嬉しそうに話した。
「ですです♪ 賢者様とお話したいのならリシェルナ様一択です♪  賢者リシェルナ様がオススメですよー♪」
 そう言われてリシェルナは照れていた。

 レオーネはまた改めて話を切り出した。 3人はそのままティータイムを楽しんでいる。
「ディウラが持っている剣についてだが――」
 え、私? ディウラは驚いた。
「ディウラさん? ヴァルキリー・ソードですかね?  確かに彼女には賢者たちの間で救世主候補イヴ・メサイアーとしての啓示を与えたのは確かです。 だから聖騎士団での修行ではなく、もっと広い世界での修行をしたほうがいいと考えたのです」
 リシェルナを含む賢者たちがそれを決めたのか。
「それこそディウラさんはプリズム族ですから、 彼女が救世主候補イヴ・メサイアーであるということは、 それはつまりプリズム族の伝説の存在、すなわち”プリズム・ロード”であるということにもなりますけどね!」
 自分の母親と同じ道を歩もうとしているということか。
「それで与えた剣が何故ヴァルキリー・ソードなのか気になってな。 その剣は本来なら騎士としての力を持つ聖女の剣、 つまりは”アナスタシア”の得物として扱われるはず、それなのに何故?」
 レオーネは訊くがリシェルナは首を振った。
「それは少し違いますね。 確かに、以前に”アナスタシア”を担った方にはその剣を与えられました。 ですが、それはあくまで彼女が”ヴァルキリー”の御業の使い手だったからです。 ヴァルキリーはまさに天空の扉より出で、下界の邪悪なる者を浄化するような大いなる技の使い手、 以前の”アナスタシア”様はまさにそういうお方でした」
 そうだったのか、レオーネは考えた。リシェルナは続けた。
「ただ――”ヴァルキリー”の御業の使い手といえば、もう一つ忘れてはならない存在がおります。 そう、それこそがローアの時代に存在したとされる時の英雄…… つまり、救世主メシアその人のことです」
 そうだった、そういえばメシアはヴァルキリーとも言われていたんだっけ。 とてつもない跳躍力で宙に浮いているウロボロスの首を切りつつ、 最後は仲間がウロボロスに何とかして胴体に差し込んだ”破壊魔剣ティルフィング”を握りしめ、 そのまま運命の精霊フラノエルと共に地上へと引き切り落とし、その体を掻っ捌いた―― まさにヴァルキリーほどの跳躍力を持っていたがためにウロボロスの首にまで達するほどの跳躍力を持っていた、 それがメシアの御業とも言われているのだ。
「でも……救世主メシアとその”プリズム・ロード”とどう関係が?」
 レオーネは訊くとディウラが答えた。
「プリズム族の間では救世主メシアはプリズム族の女性だったと聞いています。 そしてその女性は人々を――この世界を救うものであるとしてプリズム族の掟に縛られずに生きるべし―― だからプリズム族はこうあるべき――その道をお示しなさった存在が”プリズム・ロード”である―― つまり、救世主メシアは”プリズム・ロード”なんですよ」
 なんとも素晴らしい話だな、レオーネはそう思った。 だが――その末裔が意外と身近にいることはディウラもレオーネも知らなかった、 もちろんリシェルナは見通しているが。
「でも――私なんかが救世主候補イヴ・メサイアーとしての啓示を戴いても良かったのでしょうかねぇ?  未だにちょっと信じられないんですよね――」
 ディウラは悩んでいた。 そうか、それでも救世主候補イヴ・メサイアーとしての啓示を与えられたことには変わりはないわけか、 レオーネはそう思った。
「じゃあ、こうしましょう!  ディウラさん! 万物の作り手シルグランディアお姉様に掛け合ってみるんです!  素敵な武器を作ってくださいって! 高級精霊様の目で判断してもらえれば、それは間違いないってことになりません?」
 というリシェルナだが、 無論、それは彼女がその救世主メシアの末裔だからだとは2人は思ってもみないことだろう。 なんとも強引な賢者様であった。