ドラゴン・スレイヤー ~新たなる未来~ 第7章 第173節

第7章 ザードがずーっと目を瞑っていた話

第173節 邪悪なる闇

 1時間という話だったが、ネシェラのお戯れのせいでかかった時間は1か月となっていた。 まあ、それについてはこれ以上は言うまい。
 だが、そのクロノリア山だが、どちらかというとクロノリア”丘”というのが正しいようななんともこじんまりとした場所だった。 とはいえ、山道みたいなのはあり、奥には恐らく”試練の祠”に見立てた洞窟でもあるのだろう。
 するとそこへ――丘の上からなにやら妙なものが…… それはまさしく闇の塊というべきおどろおどろしいもので、ということはつまり――
「ようやく来たか、我を斃すというからにはいつ来るのかハラハラしていたのだが、 来ないのかと思ってひやひやとしていたぞ……クククッ」
 やはり”邪悪なる者”だったか、こんなところに――
「うるさいやっちゃね! 女はいろいろと忙しいのよ!  そんなこと言うんだったらアンタから来なさいよ! どーせ暇だろーがテメェ!」
 ネシェラはそう言った、忙しいったって、あんたねぇ…… って、言うなればエモノと戯れるのがエンプレス・アヴァリスティの仕事と言ったところか。
「”邪悪なる者”の性別はエモノとかじゃないんだろうか」
 カイルはそっとそう言うとフレアは答えた。
「一応エモノの部類にはなるハズだが…… そもそも性別の概念が超えている存在だからたとえエモノだとしても、 ネシェラもこれ以上の反応はせぬようだな」
 前回の未来ではネシェラの美の奴隷を語っていたぐらいだからそうなるのか。 だがそういえば、前回の未来ではネシェラ以外は全部エモノだからこいつもそうだという理解になるのか。
「フッ……確かにそれもそうだな。 だが、わざわざ……自らの欲望を満たしたいという忙しい中でここまでやってきてもらったのだ!  それなら誠意をもってこの我が直々に相手をしてやろうではないか!」
 ”邪悪なる者”との戦いが始まる!
「言っておくがこの我に小手先の技など一切通用せぬと心得ることだ! さあ……覚悟するがよい!」

 だが――小手先の技どころか如何なる攻撃をも受け付けない!
「このっ!」
 カイルの斬撃!
「ぐはっ!」
 しかし、攻撃は弾き返された!
「なら、これならどう!」
 メロリーナは思いっきり突きを入れた!
「そんな!」
 だが、その攻撃はまったく受け付けない! そしてその様子を”邪悪なる者”が哀れんで眺めている!
「ならば私が!」
 フレアの精剣フェイタル・ロアーによる一撃を浴びせた! だが――
「なんだと!? これでもダメか!?」
 ”邪悪なる者”はまったく堪えない!
「だったらこいつはどうだ!?」
 バルファースはショット・ガンを放った!
「このっ!」
 パティもさらにライフルで攻撃を加えた! だが――銃撃も、
「フレアガルディアスの魔力の渦の力! 見せてあげましょう!」
 クローザルの魔法も、
「このっ!」
 ザードの弓技も、
「しぶといやつだな!」
 レオーネの聖剣技も、
「いい加減にして!」
 ディウラの剣術も、
「いい加減にしなさいよ!」
 ネシェラの誘惑の剣による攻撃も、どれ一つとして”邪悪なる者”に通じていない!
「ど、どうなっているんだ!?」
 カイルは驚いているとフレアが言った。
「シルグランディアへのアヴァリス・シンボルの効果のせいだろうな、 欲望が闇に染まったエンプレス・アヴァリスのせいでやつへの攻撃がすべて無効化されるのだろう、 欲望が強すぎるがあまりそれを永遠のものとするため、”邪悪なる者”に加担したのだ。 そう……我々ではこいつを斃すすべがないのだ……だから我々の時代とリンクを切ることが先決なのだ――」
 そういうことか、カイルたちは改めて納得していた。
「だが、そんなことはもはや叶わぬ、貴様らはここで死に絶えるのだ。 しかし――やはり貴様らの力なんぞは所詮はそんなものだったのか、それには失望したぞ。 これでは我自ら手を下すまでもないというもの、そこでだ――」
 なんと、次々と闇の眷属たちが現れた!
「こやつらは古の時代より潜む闇の存在そのもの、貴様らの相手なぞ、こやつらで十分だ――」
 そして、その中で1人……
「ククッ……そうだった、この度新たに闇の住人として生まれ変わったものがいたのだった、 その者を紹介してやろう――」
 その者はなんと!
「まさか――ネシェラ!?」
 そう、そのネシェラはつい最近マザーから生み出されたあのネシェラだった……。
「ウフフフフッ♥ 闇ってホント、最っ高♥」