あれから5日が過ぎた。
ったく……お城にいるネシェラが一番ヤバイ女じゃなかったのだろうか、フレアは呆れていた。
そんな時――
「ネシェラ?」
なんと、彼女に出くわしたのである。ところが――
「……男、ドコ?」
これはまさか――フレアはどうしたもんだか悩んでいた。
「”お気に入り”には手を付けるな、それならアタシの男、ドコ?」
まさかの生まれたてのネシェラ……
既に本能的に男を探し初めているのか……。
服装もまたやはりマザー同様に男目を引きそうなドスケベ衣装を身に着けている。
恐らくだが、服装の傾向はマザーに近いほどマザーを踏襲しており、離れていくほど変わっていくという理解なのだろう。
だが、いずれもスカートなのは一貫している、”はいていない”ことも併せ、即”行為”ができるようにするためらしい。
いや、もしくは古の英雄の影響なのかもしれないが――奇しくもその英雄の精神を継ぐ者が彼女らというのはなんたる皮肉なのだろう、
だからこそ”邪悪なる者”に狙われた結果なのかもしれないが。
「男……沢山いるニオイ――」
この娘の服装もマザー・ネシェラと同じく全体的に可愛げな恰好であり、
全体的にセーラー服……それこそほぼメロリーナの服装を参考にしていてスカート丈も彼女レベルに短いが、
トップスは胸部のブラだけでその上にリボンを結んでいる……肩も腰の括れも露出というマザーに近い格好だが、
全体的にシースルー生地であり、肌が露出してよく見える。
当然、シルグランディアの基本装備であり、この彼女の場合は特に大きい胸元については完全に見せる気満々……
マザーはフリルの中にしまってあるのにこの娘は露出している……。
そしてそのまま彼女はなんだか楽しそうに建物の外へと出て言った……。
「……何千年ぶりの女児が生まれたみたいだな、おめでとうと言うべきか、それとも――」
フレアは悩んでいた。
そこへ今度はネシェラとクローザルが仲睦まじく現れた。
「ねぇ♥ クローザル♥」
「ネシェラ……どうしたのだ?」
「あなたって本当に素晴らしいわ♥」
「そんな、ネシェラにはかなわないさ――」
誰か冷房でもつけてくれ。
「やだ♥ フレアったらそんなところにいたの♥」
ネシェラたちは彼女の存在に気が付いた。
「今さっき子供に会ったぞ、母親に瓜二つのな」
フレアはそう言うとネシェラは答えた。
「ああ……こっちに来て7人も男を産んだんだけど、
8人目は久しぶり……いえ、恐らく最後の女の子ね――」
というと、ネシェラは嬉しそうに続けた。
「しかもあの子はクローザルとの間に生まれた子なのよ♥
ねぇ♥ ア♥ナ♥タ♥」
「キミに似てとっても可愛い子だね――」
「あん♥ アナタったら♥」
また始まった――。
こんな世界、さっさと終わりにしよう――フレアはそう考えつつ、全員に話をした。
「隷から聞いているかもしれんが、”邪悪なる者”は”クロノリア”と呼ばれる地、
つまり、これが表世界だったらその場所に居座っているみたいだぞ」
ネシェラは頷いた。
「ええ、そうね、歴史改変までしているんだからその象徴として時空間を弄れるその場所にいるのは必然って考え方ができるわね。」
そういうことか。すると、カイルが素朴な疑問をぶつけた。
「”邪悪なる者”を斃すという話でなくて、俺たちの時代とのリンクを切るっていうのがよくわからないんだよな。
もちろん、”邪悪なる者”を斃せないのはわかった、封じるって話なんだろ? なら、封じるという事じゃないのか?」
フレアは答えた。
「過去のシルグランディア……つまり、私らの時代より未来でこの時代からはエンプレス・アヴァリスから過去の存在だが、
それが”邪悪なる者”に破られたという話はしたな?
それ自身がそもそもシルグランディアの”邪悪なる者”に対する抵抗だったらしい」
”アヴァリス・シンボル”に対するものだったっけ、何人かは考えた。
「で、失敗したからエンプレス・アヴァリスが誕生した、”アヴァリス・シンボル”の影響が満了になったから。それで?」
バルファースは訊くとネシェラが答えた。
「”アヴァリス・シンボル”の影響が満了になったってことは欲望によって闇に染まったってこと。
言ってしまえば既にアタシは闇の住人そのものってこと。
現に、この闇の世界にもアタシの闇が潜んでいる、つまりアタシ自身がいるといっても過言ではないのよ。」
フレアが続けた。
「だが、それを予期した――いや、そうなることを前提に、シルグランディアがなんらかの仕掛けを施した。
それは、記憶システム……そう、”邪悪なる者”がやったように、彼女らもまたやられたからやり返したのだ、
具体的にはなんなのかはわからんが――」
パティは考えた。
「ネシェラさんが闇に染まっているから――それで”邪悪なる者”を斃す……いえ、封じるすべが失われているってこと?」
「つまりはそう言うことだな。
言うなれば、ネシェラの心自体が既に”邪悪なる者”に犯されているということ。
封じるすべを編み出したはいいが、”アヴァリス・シンボル”の影響が満了になった時点で闇に魅入られたことで我欲を優先してしまい、
結局は封じるすべそのものを自らの手で消し去ってしまったのだ。
ゆえに、”邪悪なる者”をどうにかすることができなくなってしまっているのだ」
フレアはそう続けた、つまり、リンクを断ち切って”邪悪なる者”による歴史改変の流れを何とかすることが先決ということだった。
「たいむ・ぱらどっくす? うーん……僕、頭がグルグルだよぉ――」
ザードはグルグルしていた。
「大丈夫だ、その話にはみんなもあんまり深く考えないほうがいいと考えているところだ。
特にザードも考えている通り、”邪悪なる者”が過去に送られている歴史がどうなったのかもおざなりになっているというパラドックスが発生しているからな。
とにかく、やるべきことをやろうぜっていうのが俺たちとしての結論だ」
バルファースにそう言われてカイルとメロリーナははっと気が付いていた――似た者夫婦だな、気が付いていなかったのはこの2人か。
「……正直、精霊界でも当たり前が通用しないものに関しては異常なことが起きても仕方がない。
現に”邪悪なる者”がらみの話でなくとも説明のできない事例はいくつか起こっている、
我々の間でも”世界のバグ”だと言われているがな」
えぇ……フレアにそう言われ、なんか脆い世界だなと思った何人かであった。