そして、一行はネシェラの案内のもとで故アーカネルの町へとやってきた。
そこには”パンドラ・ボックス”の蓋の隙間から闇が漏れ出ており、アーカネル内へと伸びていた……。
「この闇の先に”邪悪なる者”がいるんだな?」
カイルはそう訊いた。
「そのはずよ。そして、この時代とあんたたちの時代との”邪悪なる者”によるリンクを外すのが先決よ。」
どういうこと? フレアは訊いた。
「実は、いくつか前の代のシルグランディアが”邪悪なる者”との戦いで敗れ去っているのよ。
それはエメローナの代で”アバズレビッチへの暗示”を食らっていたから、
それによる欲望に負けてこの時代はこんな時代になってしまったのよ。
もちろん、この状態はエメローナも予期していたこと、つまり――負けた場合に備えてのバックアップとしてこんな世界になっているということね。」
なるほど、確かに”アヴァリス・シンボル”の影響で後手に回っている状態が引き起こした敗走ということか、フレアはエメローナが言っていたことを思い出した。
だから戦いに挑んだが負けた――負ける確率が高いので先んじてこうなる状態を用意していたのである。
「けど、戦いに負けたことでいくつか先の代のシルグランディアは第2級精霊として生まれたけど、
彼女は自ら”エンプレス・アヴァリス=シルグランディア”を名乗ったとんでもないアバズレビッチだったのよ。
そしてエンプレス・アヴァリスは”春をばらまく者”として新たに啓示を受けたのよ。
そのせいで精霊界も彼女によってズタボロ……結果的にエンプレス・アヴァリスは粛清される事になったんだけど、
既に彼女を感じていた連中の一存で精霊界追放で踏みとどまることとなったってワケよ。」
高級精霊までをも食い物に……
「けど、エンプレス・アヴァリスが生まれ出たせいで、
シルグランディアの精神を継ぐ者は四六時中男と戯れることを喜びとするエンプレス・アヴァリスティ族の女として生まれるようになってしまった。
無論、エンプレス・アヴァリスティ族は男と”行為”ができるように数日で17歳程度の身体になるのよ。
私を産んだ女は普通の高級精霊だったけど、私は生まれてまもなく17歳程度の身体になってて、
3日目には1週間でアルティニアの男を片っ端から食いつぶしていたわね。」
な、なんてこと――
「そしてその2日後は自分を産んだはずの女から男を奪い取ったわ。
あの時はもう快感だった――この世の女はもう私以外必要ないんじゃないかって考えたぐらいね。
だからその後はアトローナ、そして故アーカネルに住んでいたっていう男まで食いつぶしていたわね。」
そ、そんな――
「私が生まれて5,000年程度経っているけど、子供はもう数えきれないほど産んでいるし、
男が生まれたらそいつもまた自分で食いつぶしているわね。」
なんと、5,000年も生きていてしかも子供が数えきれないほどいる!? しかもその男すらをも――
「そもそもエンプレス・アヴァリスティ族が生まれるのはプリズム族とは対照的にほぼ人間族の男ね。
つまり、自分で××××するための男を自分で作り出すのよ。」
えぇ……
「そうね、あえて言うなれば、エンプレス・アヴァリスティ族ってのは虫とか爬虫類とか、
そういうもんだと思ってもらってもいいわね、そのまんまってわけじゃないけど。
だから早い話、みんなが思い描いているような子供の生まれ方なんかしない身体ってこと。
それこそ、あんたっち男が望めばすぐにでも男……子供を産んであげられる身体ってこと、
そして――私にしてみれば子供というのは自分が××××するためのただのエモノっていう認識でしかないのよ、
もはや自分とは血がつながっているかどうかもわからないような人間族の男しか生まれてこない……
2,000年に1回ぐらい女の子が生まれたかと思えば、その子は私と同じく3日目には既に男を食いつぶすために生まれてきた魔物だったとか……。
つまり――この世界の摂理はもう滅茶苦茶なのよ。
だから――私個人としてはただひたすら××××だけをしていたいところだけど、
それとは別にこの世界をもう終わりにしたいっていうのが正直なところね――。」
ひどすぎる……。
アーカネル内の闇を追っていたフレアたち。
ネシェラとは一度わかれると、2時間後ぐらいにネシェラは戻ってきていた。
その手には刀剣が携えられていた。
それはまさにシルグランディアの作! 流石に冴えわたるその刃は――
「これは私の渾身の作よ。名付けて”アヴァリスティ・ミスティック”!
この刃を媒介にアタシの色香を感じた男はたちまちこのアタシの隷となり、
このアタシと××××せずにはいられなくなるのよぉん♥ ウフフフフッ♥」
前言撤回させてくれ。
「ああそうそう♪ だーれも触れてこないから一応言っとくけど、
男がエンプレス・アヴァリスティ族の女に触れるとそれだけで発情しちゃうから、
もしその気があるのならいくらでも幸せにしてア♥ゲ♥ル♥」
それはなんとなく知ってた、そもそも視界に入っただけで発情しているような奴もいるし。
ゆえに、カイルやバルファースら男たちは彼女から常に距離をとっていた。
だいたい、2時間後ぐらいってことは確実に××××してきたということである。
もはや××××せずにはいられない種族、エンプレス・アヴァリスティ――勘弁してほしい。
だが、それでもきちんとやるべきことはやっているようで、カイルやフレアたちの武具までそろえて持ってきていた、
主に彼女に仕えている隷たちがだが。
「けど、もんくを言うのなら”邪悪なる者”だな。ったく、とんでもない世界に作り変えやがって――」
バルファースは悩んでいた。
「そうだね、いくらなんでも私もそういうのはヤだな――」
「確かに、いくら何でもやりすぎだよな――」
メロリーナとカイルはそう言うと、ディウラが言った。
「でも――”邪悪なる者”にしてみれば”復讐”なんだよね? どんな”復讐”なんだろう?
一度はアーカネリアスの世で敗れたことによる”復讐”なんだろうけど、
こんなことまでしなければならない”復讐”なのかなぁ……?」
フレアは首を振った。
「もはや我々が理解できるような存在ではないのだ。
だが、精霊界でもやつを消し去るには至っていない――
理解もできなければ手に追えないというただひたすら困った存在なのだ」
まさに”絶対悪”ということか。
「相容れられなければ斃すのみ――ということか」
レオーネも覚悟を決めていた。
「僕も……世界を滅茶苦茶にするようなやつは許せないな!」
ザードもまた覚悟を決めていた。
「もー! 聞けば聞くほど! ムカツクー!」
パティはイラついていた。