フレアは改めてこの世界の状況を理解していた。
お城の5階ぐらいの場所から外を眺めていた。
「エターニスを覆うフィールドは……ネシェラの力なんだな?」
フレアは訊くとディウラが答えた。
「ちょっと言いにくいんだけどね、彼女、男と戯れることで力を得るんですって。
それによってあのようなフィールドでさえ作り出せるんですって――」
……万物の創造手はまさに壁という名の子を生み出したということらしい――。
「……なるほど、それによって”邪悪なる者”からの闇の浸食を妨害しているわけか――」
フレアは考えた。
「それから、あそこにある”パンドラ・ボックス”は?」
旧アーカネルの町の前に祠があり、そこにはそれが設置されていた。
「そもそも”邪悪なる者”が潜んでいるのはそのアーカネルの町、
つまりはヤツの懐へとたどり着くためにアレを利用しているんだそうだ」
バルファースはそう説明した、なるほど、そのために――
前回からネシェラは既に”邪悪なる者”がアーカネルにいることを突き止めていたということだった。
つまりは”パンドラ・ボックス”を”邪悪なる者”に捧げ、
そして”邪悪なる者”がその中にさらなる闇を封じ、ネシェラをさらに闇に染めるために使ったということか。
「だが、今回は”パンドラ・ボックス”に潜んでいる闇の記憶を用いて確実に”邪悪なる者”への導線を確保する――
ということが目的だな」
皮肉なことに、前回のネシェラが語っていたことがそのまま実現しようということだった。
「前回はひどい目に合っていたようだが今回は間違いないから安心してほしい、
導線を確保するために”パンドラ・ボックス”そのものに罠を仕掛けていたみたいだからな。
俺の妻がやっているようなことをしっかりとあの女も細工していたからな」
バルファースはそう言った、それなら安心だ。
そもそも、今回のネシェラはフレアたちを貶めようという感じが一切しないし、
最初から欲望全開であることを全く隠そうとしていない、
これ自身が自分という存在なのだから信用しろという感じであった。
「だが、彼女はいつ起きてくるのだ?」
「さぁてな、一度に10人以上と無睡で××××するのを誇らしげに語る女だからな。
さっき昼に起きるって話をしたが、24時間ずっとってことも割と普通にありうることだからな」
これは”邪悪なる者”を非難すべきか、それともネシェラを非難すべきか……フレアは悩んでいた。
”邪悪なる者”もこの世界の状況に焦っているのだろうか、
妙に闇の存在やら魔物やらをこの都にけしかけてくるようだ。
ただ、皮肉にも、ネシェラの美の奴隷たちをはじめとする女王の隷たちが直ちに駆けつけるとそれらは収まってしまう。
だが、そのシステムはまさに代々シルグランディアが仕掛けてきた罠そのものであり、
”邪悪なる者”に対する仕返しそのものである、やはりただでは転ばない女だな――
現在進行形でシルグランディアがやっている行為についてはともかく、そこは流石だった、
まさか”行為”でさえ利用するとは……恐ろしすぎるだろ。
「ネシェラ!?」
ある日、フレアは彼女の姿が見えたので慌てて話しかけた、
だが――フレアは思った、これまで彼女の姿をちらっと見かけてはいるが、
エメローナが対策する前の闇の世界ではネシェラは複数人いた……それも全体数を把握していないほど多くいたことは間違いないのだが、
此度のネシェラは恐らく5人程度はいるようだった。
意識は多分共有成されていると思うのでどのネシェラに話しかけても大丈夫だと思うが――
それでも、今回は面識のないネシェラと話をしていることになるため、フレアは少々ビビっていた。
「なーに? どーしたの?」
なんだか妙にかわいげである、少々背が低くて胸が大きいという彼女の筐体情報だが、
この彼女の服装はメロリーナ丈……全体的にライトグリーンの服装で、とにかく短い丈のフレアーなスカートに、
トップスはオフショルフリルビキニといったものであの大きな胸をカバーしてはいるのだが……
どう考えても嫌な予感しかしないな。
「やっぱり、意識は共有しているのか?」
フレアは一応念のために訊いてみた。
「そうね、隠してもしゃあないから言っとくけど、私ら”ネシェラ”24人とも同じで意識を共有しているのよ。」
しゃべり方が普通……って、24人もいるのか――フレアは悩んでいた、まだ見たことがないやつがいたらしい。
あ、でもそうか――この町だけではないからな。
「でも、”行為”についてはネシェラごとの個人戦だからね、
だからやりたければ逆ナンして男を取ってくる必要があんのよ。」
その説明は要らない……フレアは悩んでいた。
「んじゃ、そゆことで♪」
そういいつつ彼女は去ろうとしていた――
「ま、待ってくれ! どうしたんだ!? 何かするから出てきたのだろう?」
フレアは焦ってそう訊くと、ネシェラは嬉しそうに言った。
「もちろんよ♪ なら、せっかくだし、フレアも一緒に行きましょうよ♪」
そのうち、2人は宿場町へとたどり着いていた。
「ここで何をする気だ?」
フレアは不思議そうにネシェラに訊いた、何の変哲もないただの宿場町のようだが――
「もちろん、戦いよ♪」
戦い? 確かに、闇の存在やら魔物やらが湧いて出てくるこの世界、だが――
それらは早いうちに彼女の隷たちが片づけてしまうのである、ということはつまり――
「連中でも手におえない魔物とかか?」
フレアはそう訊くが――
「あれ? ネシェラ!? どこに!?」
考えているうちに彼女を見失ってしまった! しかし――彼女はそんなに遠くにはいなかった。
「ネシェラ!」
フレアは改めてネシェラに話を聞こうと思ったが――
「えっ!?」
なんと、ネシェラは――
「ねぇん♥ イイコトしてア♥ゲ♥ル♥」
煽情的かつ艶めかしい様相で誘惑魔法を発揮し、その場にいた男たち8人を誘惑しているではないか!
男たちは彼女にメロメロに――ネシェラはそのままネシェラ=エンプレス・アヴァリスティの都へと男たちを引き連れて戻っていった……。
「戦い……男を奪うという意味での戦いだったようだ――」
フレアは落胆していた、あのネシェラは男をとりに来ただけだったのである。
「しかし……やっていることはほぼプリズム女だな」