ドラゴン・スレイヤー ~新たなる未来~ 第7章 第164節

第7章 ザードがずーっと目を瞑っていた話

第164節 世界のルール

 だが、その女王様ごっこがこの世界では非常に大きな意味を成していることにフレアはますます悩む結果となっていた。 それゆえに、彼女もまた女王の座については目の前の男たちに命を降していた。
「この私に跪くがよい! 私は運命の精霊なるぞ! さあ、控えるのだ!  さすれば貴様らにも我が運命の導きを与えよう!」
 女王フレア様により、男たちにも彼女の寵愛が――
「ああっ……素晴らしい――なんて美しいお方なんだぁ……」
「今宵もまた、素晴らしい女王様がご降臨なされた――」
「女王フレア様……ああっ、美しい――」
 フレアは悩んでいるが、どうやら背に腹は代えられないようだ。
「ウフフッ♥ ま、そゆコトで♥  わかったかしら? これがこの世界のすべて―― アタシたち美しき麗しき魅惑の女王様という存在こそがあんたたちエモノのすべてなのよぉん♥」
 相変わらずのドスケベ衣装の女王ネシェラ様、男たちに命じていた。
「はぁい♪ 流石は美しき麗しき魅惑の女王ネシェラ様の”お気に入り”様でございます♪」
「美しき麗しき魅惑の女王ネシェラ様ァ♪ そして女王様に連なる女王様方……なんて素晴らしい方々なんだァ♪」
 男たちはだらしない顔でデレデレとしていた、これがこの世界の
だなんてどうかしている。

 この世界のシステムはまさに”邪悪なる者”によって汚染されていた。 汚染方法は簡単で、アヴァリス・シンボルによって欲望に染まったシルグランディアを介してのものである。
 だが――それは前回の未来での話。 エメローナの一手で改変された今回は欲望に染まったとはいってもシルグランディアの精神による”歯止め”が利いており、 欲望に染まっていることだけは避けられなかったようだが、 その”歯止め”によって”邪悪なる者”には屈しねえぞという”気合”が多分に含まれているのだった。
 それによって世界のシステムもまた別のものに書き換えられており、 その内容としてはまさに欲望に染まったシルグランディアの行動パターンを利用したものだった。 そう、女王様の隷となった男は”邪悪なる者”に対抗する力を得るというものである。 中でも彼女の”お気に入り”となった者については特別な力が得られるという特殊能力まで身につくのだそうだ。 その”お気に入り”が男性ならさらなるパワーアップなのだそうだが、 それが女性の場合は美しき麗しき魅惑の女王ネシェラ様と同じような力を得る事ができるのだそうだ、 つまりは女王ネシェラ様同様に男を使役し力などを与える能力を得るということらしい、 無論マスターである女王ネシェラ様の下位互換になるそうだが。
 さらに、前回はシルグランディアは自らの欲望を満たすために”邪悪なる者”とつながろうとしていたのだが、 今回はそれすらをも拒否、自らの欲望を他のやつに操作されるのは気に入らんという、 確かに”歯止め”が”邪悪なる者”には屈しねえぞという”気合”を感じさせるような行動パターンとなっているのである。
 ただ――それでも大きな欠点があるのだが。
「ウフフッ♥ わかればいいのよ、わかればね♪  それじゃ♪ 後は好きなようにしないさいよねぇん♥」
 と、どこかに行ってしまった――
「ネシェラ! 待って!」
 フレアは引き留めようとするが――
「ムダだ、辞めておけ、普段なら昼まで寝ているからな――」
 と、バルファースは言う、昼まで!?
「女王ネシェラ様、スキあらば四六時中××××してるんだよ……」
 と、パトリシアはため息をついていた、なるほど、そうか――。
「あ! お姉様!」
 と、そこにメロリーナが現れた。ザードとカイルも一緒のようだ。
「お姉ちゃん! 無事だったんだね!」
「フレア、どこに行ってたんだよ――」
 それにはバルファースが説明していた。
「うん? それはそうと、クローザルはどこに行った?」
 フレアは彼がいないことに気が付いた、すると――
「彼は――女王ネシェラ様の”超お気に入り”だからねぇ、 だからきっと――彼女と一緒じゃないかしら?」
 なんだって!? フレアは唖然としていた。
「だが、そもそもあいつは現世で――グローナシアの存在ではないし、まあ、いいか――」
 フレアは考え直した。
「あ、やっぱりそう思うか? 私も同感だ」
 レオーネはそう言った。
「そもそもクローザルさんの姿ってエメローナの趣味が入っているものねぇ?」
「しかもディテールにまで突き詰めるのがシルグランディア・クオリティだしな」
 ディウラとバルファースはそう言った、つまり――
「先祖代々男の趣味は共通しているということだな」
 フレアはそう言った、早い話その通りらしい。
「……私の”アヴァリス・シンボル”が効果を成していなくて正解だったな」
 フレアはぼそっとつぶやいた、彼女と趣味が一緒ということならその可能性があったということだった……。