ドラゴン・スレイヤー ~新たなる未来~ 第6章 第156節

第6章 暗い陰謀

第156節 アヴァリス・シンボル

 フレアの記憶のものを見せてもらった、すると――
「ほら! 綺麗に消えたわね! 良かったじゃない!」
 と、エメローナはフレアに”絶対にして唯一無二の女王への啓示エンプレス・アヴァリス・シンボル”が消えたことを見せていた、 画像ではなく、その下のなんだかわからない数値の羅列の部分を弄っているようだが何が何だかわからない―― とはいえ、画像のほうは確かに問題のそれが消えているようなので、間違いはなさそうだ。とはいえ――
「まあ……私はどうやら効いていないようだからいいんだが、 それより――まだ消えていない者のもあるのだろう?」
 そう言われたエメローナはそれを出した、すると――
「ん? なんだこの荒れようは!?」
 それが約一名、異常というレベルの痴女がいた、 記憶の内部のあちこちが汚染されているようだ――。
「この子のは元々は闇の色じゃないんだけど、わかりやすく色付けしてあるだけなのよね。 もちろん、”アヴァリス・シンボル”であることは間違いないんだけど、 実はこれこそがオリジナルの”アヴァリス・シンボル”であることを発見したのよね。」
 オリジナルの”アヴァリス・シンボル”だって!?
「やつが作り出したものではないということか!?」
 フレアは訊くとエメローナは頷いた。
「つまりは健全……というと悩みどころだけど、 そもそもが自然にできたものという理解ということね。」
 そうなのか……。
「ただし、この子のシンボルに ついては特殊な制約がかかっていて、 精神的に上位の存在になることでこのフラグがONになることも確認しているのよね。」
 そうなのか?
「というか、そもそも誰の記憶なのだ?」
 だが、その精神構造……とにかく大自然の広がる透き通った世界が映っていた、 この印象はまさか――
「豊穣の精霊の記憶?」
 フレアはそう訊くとエメローナは頷いた。
「ええ、メザーナちゃんの記憶ね。」
 豊穣を司る者といえば――
「かつて第2級精霊だった頃、精霊界でも夜な夜な数多の男たちと戯れていたっていう豊穣の精霊か?  それが問題になって第3級精霊へと降ろされたことで問題がなくなったという……」
 そんなことをしていたの!? だが、無理もない――
「ええ、豊穣の精霊と言ったらまさに生命の恵み、それゆえの多産を司る者であり、 そして豊穣と”行為”の2つの意味での”春”の精霊でもあるわね。 つまり、豊穣の精霊には先天的に”豊穣をもたらす者の春ハーベスト・アヴァリス・シンボル”が含まれることになっているのよ。 想像だけど、プリズム族が選ばれているのも異性を引き付ける力を強めるためだと思うし、 あのメザーナちゃんを見てもわかる通り、巨乳でスタイル抜群のボンキュッボンだから、 まさに豊穣の精霊の人選としてマッチしているという感じよね!」
 ほう、巨乳でスタイル抜群のボンキュッボン……まさにエメローナじゃないか。 だから案外エメローナにもその素質があったんじゃあ……?
 万物の創造手なるものは生命さえも作り出す多産を司る者、 それゆえの”春”の精霊……あの”アヴァリス・シンボル”の暗示の内容と今の話があまりにもマッチしすぎていて、 実はエメローナ自身にも”ハーベスト・アヴァリス・シンボル”が潜んでおり、その結果にあのネシェラという存在が生まれたのでは?  フレアはその可能性を至極怪しんでいた。
「な、なに……? そんな顔してどうしたのよ?」
「別に? いつも通りだと思うが?」

 ということはつまり、”邪悪なる者”は豊穣をもたらす者の特性ハーベスト・アヴァリス・シンボルを悪用したということである。
「ええそう、あいつはそれを改良してエロ……いえ、”絶対にして唯一無二の女王への啓示エンプレス・アヴァリス・シンボル”を作り上げたということになるわね――」
 そうなのか、ということで――
「では、豊穣の精霊についてはいいとして、残りの3人…… エメローナの”アヴァリス・シンボル”もさっさと削除してしまおう」
 だが――
「ええ、そうしたいのは山々なんだけどね。 ただ――ここをこうすると消えるはずなんだけど、残念ながら――」
 全く消えない!? フレアは首をかしげていた。
「どういうことだ!?」
 エメローナは頷いた。
「ええ、なんで消えないんだろう――しばらく悩んでいたわね。 でも……よくよく考えたら消えなくても仕方がないことに気が付かされたのよね。」
 なんだって!? どうして!? フレアは訊くと――
「ええ、だって、この3人にはある共通する特徴があるのよ、それを考えると消えなくたって仕方がないかなーと思ってさ。」
 そう言われてフレアも気が付いた。
「まさか――3人とも男がいることに関係することか?」
「そう。ご名答。大変よくできました。 つまり、3人とも男と××××した経験があるってことよね。」
 フレアは頭を抱えていた、はっきり言いやがったな……。
「それに、3人ともプリズム族女だからまさに毎日のように男と激しく愛し合ってんのよ。 それこそ私も旦那がいる間はだいたいずーっとヤり合ってて、 それで毎回毎回オンナにしてくれるんだから、そんならアバズレビッチかはともかく、 多産のシンボルになりたくなるほどの衝動には駆られるわよ。」
 やっぱりこの女にはその気質がありそうだ――フレアはそう思った。 とはいえ、それはそれで今まで男なんか出来っこねえしと豪語していた彼女のその考え方が変わっているのだから……
「あ、でも、私んのはたまたまだかんね、たまたま!  アレは正気に戻してもらうためにヤってもらっただけで、そうじゃなきゃんなことになってねぇんだからな!」
 これは……どう捉えるべきだろうか。