ドラゴン・スレイヤー ~新たなる未来~ 第6章 第155節

第6章 暗い陰謀

第155節 討伐とカタストロフは紙一重

 2か月ほどをかけてグローナシアのエターニスへと戻ってきたフレア。 邪悪なる者の影響で魔物が狂暴化しており、そこまで戻ってくるのに時間をかけたのだった。 ただ、魔物同士で蹂躙しているという都合から数を成してくることはあまりなく、 むしろ1体1体が手強い感じである。 とはいえ、とにかく当たり散らしたい気分のフレアとしては敵が強かろうが何だろうが関係のない話である―― って、むやみやたらに高級精霊の力フェイタル・ロアーを振るってそんなことをしようもんなら、 それは天災カタストロフにしかならないな、ある程度は自制しよう……。
 だが――以前よりも闇が深くなっているような気がするのは敵のほうも少々焦っているということだろうか。
 フレアは未来であったことをエメローナに話したが、その際のフレアはエメローナから少し距離を置いていた、 彼女が爆発するからではなく、直前のネシェラのイメージからの警戒ゆえである。
 だが――案の定、彼女は大爆発していた、良かった――現在の彼女は正常だ!  フレアも作者も胸をなでおろしていた。

 精霊界から飛び出して1か月ぐらい魔物相手に天災カタストロフを巻き起こしていたエメローナだが、 とにかく、フレアは彼女が精霊界に戻ってきていることに気が付いた……いくら何でも長すぎるだろ―― ただ、天災カタストロフを巻き起こしていたにしてはあまり目立たない殺戮だったのか、 特にそのような光景が見えなかった、それだけ自制してくれたのだろうな。
 彼女は木の台の上で何やら眺めながら作業していた―― あれだな、”キーボード”と呼ばれるものと”マウス”と呼ばれるものを駆使して”モニタ”を見て作業をしているというものだった気がする。 え? どこに接続されているって? そんなのは知らん。電源? なんのことだ?
「なんか、久しぶりに見る気がするな、無論、私の代ではないはずだが――」
 フレアはそう語りかけるとエメローナは答えた。
「ええ、私の代でも確認用途としてはちょくちょく出しているけど、 こうやって本格的に何かするのは1,600年ぐらいぶりな気がするわね――」
 随分と大昔だが――それよりもエメローナが案外平然としているところに驚いているフレアだった、 腹を立てているような様子が見受けられない。
「ついでを言うと、先代のシルグランディアまでならじゃんじゃん使っていたわね、 精霊界をじゃんじゃん改良していたからね。」
 ああ、その記憶ならある……フレアはそう思った、彼女としてはむしろその先代のシルグランディアの印象が強かった。

 作業していると、とある画面が出た、それは――
「あったあった、これこれ。」
 それにはフレアにも見覚えがあった、記憶の空間の中の光景である。 しかもまさに”アヴァリス・シンボル”のその現場……いや、エロ……”絶対にして唯一無二の女王への啓示エンプレス・アヴァリス・シンボル”の現場だろうか、 それによって床が闇に汚染されたままだった。
「フレアたちが行った後にクラーネアとラドリゲルスからヒントをもらって探っていたんだけど、 つい先日にようやく記憶空間にアクセスできたのよね。 それでさっきから当事者の”アヴァリス・シンボル”を1つずつ削除していたのよ。」
 そうだったのか――って、
「私らだけじゃなかったってことか?」
「とばっちりなのか知らんけど、1人にサインを植え付けたところで味を占めたんでしょうね。 しかも食らっているのはいずれもプリズム族由来の女だったし―― あの血の力が如何に脅威で力を脅かすのに適しているか理解している証拠よね。」
 ますます腹の立つ”邪悪なる者”だな――フレアは苛立っていた。
「まずは――この子ね。」
 この子ったって……消えているのでは――? フレアはそう訊いた。
「さっき試しに消してみたのよ、そしたらどうやら問題なく消えたみたいね。」
 って、試しに消すのなら自分のから先にやるんじゃないのだろうか、フレアはそう思った、 というのも、そもそもそれがシルグランディアのやり方だからである。
「もちろん消そうとしたんだけどね、でも――後で説明するわね。」
 え? 後で? どうして?