と、いうことで――
「あら! いいじゃないの! 様になっているわねぇ♪」
ネシェラは各人のメイド姿を見て絶賛していた、言われてフレアだけ悩んでいた。
「じゃあ早速……女王様の命令でも下してみようかしら!?」
ネシェラはノリノリで言うと、メイドたちは一様にそろってスカートをそっと上げて礼をしていた、フレア以外。
「あらぁ♪ ふふっ、素敵なメイドたちねぇ♪」
そんなネシェラは女王様というよりは、なんともカワイイキャバドレス風なものを着ていた。
だが、あの大きな胸となんとも艶めかしい身体付きがくっきりとしているセクシーで煽情的な様相……
少々あどけなさの残るその見た目もあって犯罪の香りもしてくる感じである、
だが――服の制作者はそれを狙ってのことらしい、どれだけ女王様を押しているのだろうか、ここの住人は。
もっとも――ある意味英雄のような存在である彼女なのでその気持ちだけはわからんでもないが。
ともかく、フレアは訊いた。
「あの、それより、今後のことをどうするか――」
そう言われてネシェラはため息をついていた。
「ああ、それもそうね、現実逃避してたってしゃあない。
とりあえず、この世界の現状を見てきたのね?」
フレアは頷いた。
「ところで、”邪悪なる者”の目星はついているのか?」
ネシェラはそう訊かれると、呆れたような様子で答えた。
「いいえ、それが全然、これでも結構いろんな方法で探したのよねぇ?
だからもうちょっとアタリをつけてから探そうと思ってねぇ――」
「何か、方策でも?」
フレアはそう訊くとネシェラは頷いた。
「もちろん。
あんたたちが持ってきたあの箱、あれに何かしらの動きがあればある程度は目星がつくんじゃないかしら?」
なるほど、そういうことか。
「あの中には”邪悪なる者”の記憶の闇が入っている、向こうの世界でもその闇が漏れ出していたからな、
もしかしたら”邪悪なる者”にその闇が回帰するかもしれないと――」
「ええ、まさにその通り。動きがあったら教えるわね。」
そして、その時は――”邪悪なる者”との全面対決か、フレアはこぶしを握っていた。
さらに次の日、さらに次の日――何日か経ち、
フレアとバルファース、そしてディウラは”パンドラ・ボックス”が安置されているという場所に行くと、
そこは衛兵たちが厳重に管理していた。
そこはアーカネルのお城の跡地で、恐らく広間の中央に当たる場所に置いてあった。
「回帰するってことは――勝手に移動して、”邪悪なる者”に戻っていくってことだよな?」
バルファースはそう訊くと、フレアは頷いた。
「果たしてそれが本当にそうなるのか――とはいえ、”邪悪なる者”への当てがない以上はこれにすがるしかないわけだが――」
それもそうか。ところで――
「いつまで着ているんだ?」
バルファースはディウラに訊いた、彼女はあれからずっとメイド服を着ている。
「だって、これはこれでなんだか素敵な衣装ですから♪」
確かに、名家のお嬢様らしさが流出している様相である、一般的には下女の服装なのに。
しかも彼女だけじゃない、フレア以外の女性陣は全員メイド服が気に入っているらしく、ずっと着ていた、
やはりメイド・イン・シルグランディアの爆発力ゆえなんだろう、メイド服なだけに。
だが、その一方で、こちらの女王様はセクシーなドレス姿でそのメイドたちを使役していた、
オフショルダーの胸元も背中も大きく開いた煽情的なもので、スカートのほうはロングスリットのセクシーなものだった。
「うふふっ、みんな可愛いわねぇ♪ 最高じゃないノ♪」
女王様は御戯れが過ぎる。
「なあ、ネシェラ……いつまでやっているのだ?」
フレアは呆れていた。
「ん、だって、みんなカワイイしさあ、超絶美人メイドまでいるんだからさあ♪
なんだったらここで彼女らをアイドルユニットとしてプロデュースするのも面白いかなぁって思ってさぁ♪」
……発想がエメローナと一緒。
まあいいか――動きがない以上はどうしようもない――フレアは町を散策していた。
ただ――活気はあるのはいいんだが、なんだかどことなく寂しいような印象の街並みだった、
如何にも活気がありそうな装いにしては若干物足りなさを感じるぐらい静かなのである。
まあ――無理もないか、そもそもみんな避難民なんだし……。
そして――気が付いたらいつの間にか城の中へと戻っていた。
「おっと……そうか、妙な街並みだったからだな――」
飽きが早かったようだ。
「さてと、みんなのところに戻るか、確か4階だったか――」
そして城の中は少々複雑……むしろこっちのほうが大変である。
「どうしましたか?」
身なりのいい執事が彼女にそう訊くとフレアは訊いた。
「すまんな、5日もいるはずなのにどうも慣れない――」
フレアはそう言うが、執事は首をかしげていた。
「はて? おかしいですね、こちらにおいでになってから1週間経っていますけどね?」
あれ? そうだったっけ? フレアは首をかしげていた。
「そうだったかもな、そもそも破壊されている世界で何事も起きない日が続くと時間の感覚まで狂ってしまうようだ――」
無理もない。
「左様ですか。まあ、とにかく、皆さんのところへとお連れ致しましょう――」
フレアは促され、その部屋の中へと案内された。
「さあどうぞ、ごゆっくり――」