まさかまさか、まさかの邂逅劇……あのネシェラ=ヴァーティクスと出会うこととなった一行。
それこそ、その姿かたちはまさにあのエメローナそっくり。
だが、服装は少々異なり、身体にフィットしたワンピース姿となっており、
スカートもフレアーなミニスカートとなっている。
さらにあのエメローナが適齢期のお姉さんという感じの見た目だったが、
ネシェラはそれよりもさらに若く、適齢期というよりは犯罪という感じ……二十歳にも満たない女の子という印象である、
しかも……シルグランディアにしてはなんか妙に背が低く、
それでもあの大きな胸はそのまま続投中なのだが、事もあろうにあの豊満なバストを隠すことなくさらけ出した、
なんともセクシーな見た目をしている。
「ヴァーティクス? シルグランディアではないのか?」
フレアは訊くとネシェラは答えた。
「いろいろとあってね、ほら――エメローナって精霊界の生き物でしょ?
私はまさにその精霊界から降りた際のシルグランディアなんだけど、
その際の血筋がヴァーティクスの者だったってだけのこと。
今はもうシルグランディアを継ぐ者として”アトローナ”に――
あんたたちの時代は……アト……何とかっていう町の領主に落ち着いているのよね。」
アトレーニアのことだな、なるほど――領主?
「とりあえず、案内するからそれからでもいい?」
アトローナの町、とにかく広くて大きな町だった。
まさにシルグランディアの町なのか、商業が盛んな装いだった。
そして、町の奥には大きなお城がそびえたっている――
「おかえりなさいませ、女王様――」
と、町人たちはネシェラに対して跪いていた、女王様!?
「全部”邪悪なる者”のせいよ。とりあえず、ついてきて――」
ネシェラは歩きながら説明していた、その間にも彼女を見かけた者は次々と跪いていた。
「”邪悪なる者”に世界を壊されたってことか? あの”アーカネル”という町も――」
フレアは訊くとネシェラは答えた。
「まさにそういうことね。
アーカネルは昔から王国だった、私がいた頃も詠歌を極めた美しい国だった――」
しかし、”邪悪なる者”が突如として現れると、
この世界の町はほぼすべて滅亡してしまったようだ――歴史は変わってしまったようだ。
「でも――私は諦めない、この土地で新たに”邪悪なる者”に立ち向かうべく、決起したのよ。
そしたら、この世界で生き延びた者たちが集まり、一緒に戦うと言ってくれたのよ。
それで、私がなんだかんだとやっていたら――いつの間にか女王様とか呼ばれて今に至るってワケよ。
もともとアーカネルは王国文化だったから、多分新たな王という認識なんでしょうね、きっと――」
なるほど、それでお城まであるのか。
それにしても、なんとも立派なお城である。
「どうせ作るのならそれっぽいものがいいからね、かなりこだわりぬいて作った渾身の策よ。
それこそ”邪悪なる者”に喧嘩売るような勢いのものを作ったつもりだからね。」
確かに、非常に豪華で立派な洋城である。
まさに万物の創造手とは、という感じである――確かに世界を破滅させようという相手に対しては喧嘩売ってる感じだな。
ということで、ネシェラの住まいであるその城の中へと案内された一行。
正面は恐らく玉座のあるところだと思われるが、その巨大な扉は閉め切られていた。
「ここは所謂、武器庫ね。
武器庫は別にあるんだけど、”邪悪なる者”を斃すための準備をこの巨大な空間を利用してやっているのよ。」
なるほど。
「で、2階、3階まではこの空間と各居室、そして4階から7階までは各居室と言ったところね。」
7階まで――すごい大きな城だな、確かに外から見てもそれぐらいはありそうだったが。
「そして8階から10階が私のプライベートエリアってところね。」
す、すごい、上層階はすべて独占――まさに女王様だな。
「所謂、工房というのを備えているからということだな?」
フレアはそう訊くとネシェラは答えた。
「そういうことね。
せっかく、下々の者たちが女王様のためならって言ってくれるのだからそれに答えるのが君主の務めってものね。
”邪悪なる者”に世界を……町をつぶされて疲弊していた人々のために、
ローアの英雄の如き希望なる者がどうしても必要なのよ。
もちろん、私はそんな柄ではないけど、ま、どうせ歴史改変してしまった結果に出来上がったこの時間軸の世界――
最終的に修正されるんだったら何者にだってなってやるわよ。」
なんとも志の高い女性だな、まさにローアの英雄の如き希望なる者か。