そして、その答えを知るべく、今度は”天命”を語るクライアスの記憶へと入り込んだ一行。
「なんだこれは? 見たことのない時代のようだが――」
ラドリゲルスは周囲を見渡していた、なんだか古き良き街並みにお城という世界観の時代のようだが――
「見たことのない時代ですか?」
メロリーナは訊いた。
「うーん、人の世というのは変わるものでな、それは確かにわかるのだが、
私は裁定の精霊ゆえに、世界がどのような刻を歩んできたかをなんとなく認識できる力を持っているのだよ。
だが――これは私も初めて見る……いや、正確には感じる光景だな――」
すごいぞ裁定の精霊様。
すると――場面はいきなり変わった。
「ふむ――それは果たしてそうなのかどうか……
時に、アーカネルではクレメンティルの一信者に過ぎない者を投獄していると聞く、
だからもしかして、我々を怪しんでいるのではないかと思っていたのだが――」
なんだ!? いきなりなんだか偉そうな装いの者が話を始めたのだった、
その場所は――どうやらお堂の中のようで、そいつは司祭というか、とにかく宗教関連の人物のようだ。
「何!? それは本当か!? どういうつもりなのだ!?」
その司祭らしい者に使えているらしい騎士がそう言った。
「それはクレメンティルがどうだということとは関係のない話よ。
彼への嫌疑については純粋に職務上の機密情報を口外したということで取り調べを受けてもらっているだけよ。
流石に機密情報をバラしといてよしとするわけにはいかないからね。」
その騎士に対し……え、エメローナ!? 彼女によく似たような風貌の女性がそう言い返していた。
「なるほど、そういうことか……。
ルールを破ったのであれば致し方あるまい、そういう者には正当な処罰を与えねばなるまいな――
いやいや、疑ってしまったようで申し訳なかった、てっきりそういうことかと思ってしまってな――」
司祭が悪びれたような様子で答えていた。
「これが”天命”を語るクライアスの記憶? なんなのでしょう? あれって、エメローナさんですよね?」
メロリーナは訊いた。
「いえ、2,048年生きてるけど、こんなところでこんなことをしたなんて覚えがまるでないわね――」
うーん、わからないということか……。
「思い出せぬのか? ならば、これならどうだ?
そこにライト・エルフの男と女がいるだろう?
名前はそれぞれロイド=ヴァーティクスとネシェラ=ヴァーティクスというのだ」
話は続いていた、なるほど、司祭の話によると、エメローナに似た女性はネシェラ=ヴァーティクスという名前らしい。
が――先ほどの話し方といい見た目といい、まるでエメローナにそっくりである。
「ん……なっ!? ヴァーティクスだと……!? まさか――」
「ほう……あんたほどの存在にその名を知られているとは光栄だな」
「そうね、驚いているようだけど、どうしたのかしら?」
「いや、昔のことを思い出してな、お前たちの親父のことだ――」
「親父のことを知ってくれているのか?」
「ハンターだったからな、一時期徒党を組んでいたことがあった、それだけだ――」
だが――次の瞬間――
「これは闇の世界!?」
今度は見るからに闇に閉ざされた世界へと場面展開した。
そして、その場にはあの司祭が――
「あやつから闇があふれている! ”邪悪なる者”の波長だ!」
ということはこの男も”邪悪なる者”!?
そして、そいつに挑んでいる勇士たち――あの男は異形の者へと変化していると、次々とものすごい力で勇士たちを圧していた。
だが、そんな中――
「くっ、こんなところで、こんなところで負けるわけには……」
1人の女性が立ち上がった!
「あれは! まさか――」
それにはフレアが驚いていた。
「運命の精霊か、そういえば貴様が一番しつこかったな。
ローアでは相対しそびれてしまったが――いずれにせよ、邪魔な存在だということはわかっている。
そう……あの時の、60億年前のフレア=フローナル……人間の男と共にこの我を滅ぼそうとしたのだ!」
なんだって!? 60億年前の……フレア=フローナル!?
「人間の男……確かにさっき、”暗い明日”をぶっ飛ばしたな――って、まさかそのことを言っているのかこいつ!?」
バルファースはそう言うと一行は皆驚いていた。
「ということはまさか、この光景はその60億年後の未来の光景だとでもいうのか!?
ということはつまり、あの”天命”を語るクライアスは未来からきたとでも言うのか!?」
ラドリゲルスはそう言うと、エメローナは考えた。
「それならすべての辻褄が合うわね、だって、あの”天命”を語るクライアスの記憶は通常であれば残滓でしか記録されない存在だった、
それが未来人だってことなら――まさに文字通りのこの世成らざる者……この時代にいるはずのない者ということならまさにそれと同じことを意味するからねえ――」
ともかく、戦いは続いているようだ。
「ほほう……なんともしぶといようだな、そうか、運命の精霊か……クリストファーでいる間の記憶によれば、貴様は相当にしぶとい存在だったな……」
女性は立ち上がった――
「ああ……そうでなければ運命の精霊なぞ務まらぬのだ――」
そして――
「うがあああああ!」
戦いは決した、邪悪なる者は跡形もなく消え去ったのだ。