「オラオラァ! どうしたァ! 貴様らの力はそんなものかァ!」
クライアスは次々と邪悪な力を発揮してこちらに攻撃してきた!
「お、おい! こんな壁で耐えられるのか!?」
カイルは焦っていた、確かにレンガを積み上げているだけの防壁では不安――だが、
「あらあら、シルグランディアの力を疑うとはいい度胸しているわね。
この壁は植物性ナノファイバーでくみ上げた防壁なのよ。
しかもその組成にはエーテルも組み込まれているから物理だけでなく魔法に対しても無茶苦茶強いのよ。
精霊界にいるからこそ作り上げられる、まさに最強の防壁ってところね。」
と、エメローナは得意げに答えた――
「どうだ? 安心したか?」
バルファースも得意げに言うとカイルは素直に頷いた。
「なるほど、よくわかんないけどとにかく無茶苦茶強いってことだけはよく理解したよ。
これのおかげで粛清からも逃れられたんだよな?」
「まあね、これとは別にジャミング・フィールドまで張っているから追尾性のある攻撃さえ無効化するのよ。」
やばすぎ! なんなんこの人! どー考えてもおかしいよ!
「ま、デタラメスペックなのが愛妻の最大の特徴なんだがな」
と、バルファース、大変よく存じております。
「で、それより、攻撃はどうするんだ?」
バルファースはそう訊くとエメローナは考えていた。
「攻撃してどうこうするってことは別にいいんだけどさ、
どうしてあいつがいきなり発狂したのか――そっちのほうが気になるわね。」
あ、そう言えば確かに。
「どうしたのだ、さっさと何とかせぬのか、人間どもまで一緒になって――」
と、いきなり別の精霊がその場へとやってくると、フレアが話した。
「ラドリゲルス――貴様はまだいたのだな」
そう言われたその精霊ラドリゲルスは驚いた。
「まさか――エフィリア=フローナル!? なんと、生きておったか!」
フレアは首を振った。
「エフィリアは死んだ、今はこの私、フレア=フローナルがその座を務めている、
だから――後はいいな?」
そう言われてラドリゲルスは再び驚いていた。
「運命の精霊が第4級精霊だと!? バカな!? カルス共は何を考えておるのだ!?」
フレアは首を振った。
「マトモな方策を考えぬから自ら第4級精霊へと鞍替えしたのだ」
そう言われてラドリゲルスは悩んでいた。
「ううむ……相変わらず……まあよい、そう決断している以上はな。
ところで――ヤツはクライアスだろう?
ヤツが何故邪悪を纏っているか知らぬが、そなたの手でも十分斃せると思うが何をしておるのだ?」
「ヤツが何故邪悪を纏っているか知らぬからだ。
無論、結論を後回しにするということもよぎったが、ヤツの邪悪の纏い具合、妙におかしい気がするのだ――」
おかしい……ラドリゲルスはそう言われてレンガの隙間からそっとクライアスのほうを見ていた、すると――
「うん? あれはもしや――」
そう言いつつ、その場で何やら手を正面にかざして魔法を唱え始めると――
「はあっ!」
彼のその手の中には手のひら大の石が、そして――
「ふん!」
それをクライアスめがけて投げつけた! だが――
「フハハハハハ! なんだそれは! そんなものでこの私を斃せると思ってか!」
クライアスはその石に闇の力を打ち当てた! すると――
「ふん!」
ラドリゲルスは巧みに魔法を用いてその石を防壁の内側へと引き込んだ!
「それは精霊石か?」
フレアは訊いた。
「そういうことだな。
とにかく、これですべてがわかることだろう――」
ラドリゲルスはそう言った、フレアは納得すると――
「ということは、とりあえずやつを倒していいってことだな?」
と訊いた、いいのだろうか、何か考えるんじゃないのか、カイルはそう訊くとエメローナが答えた。
「”裁定の精霊”ラドリゲルスが何かつかんでいるんだからいいってことじゃない?」
そ、そういうものなのか。
これだけの勇士たちがそろい、さらには高級精霊様の御業もあるため、雌雄はすぐに決した。
相手がたとえ何者であってもこれだけの高級精霊の集いの間である精霊界、
もはやクライアスでは太刀打ちできるはずもなかったが――
「遅かったな、何をしていた?」
約1時間程度だろうか、精霊界のゲートのある場所付近で適当にくつろいでいたフレアたち、
その場にラドリゲルスがやってきた。
「此度の精霊界に置ける精霊一掃の件、流石に断罪しなくてはと思ってな。
粛清については例の記憶システムを用いてどのようにしようかはっきりと決めるつもりだが――
まあそれはいい、現在は当人たちを問い詰めるためその身を拘束することにした」
それで時間をかけたのか、問題の件については一旦保留ということだそうだ。
「で、その記憶システムを使ったんでしょ? どういうことだったの?」
と、エメローナは訊いた、粛清については保留なんじゃ?
「いやいや、訊いているのはクライアスのことだろう?
さっきクライアスの闇の力を含んだ精霊石をサルタリスに引き渡したところだ」
え、それっていうのはつまり――
「記憶システムは精霊石に記憶を含ませて……所謂、記憶結晶として管理させる事にしているのよ。
ラドリゲルスはつまり精霊石にあいつの闇の力を取り込ませ、
そして記憶の精霊サルタリスにそれを記憶の結晶化をさせたってワケ。
そうすればクライアスの闇についての記憶がわかるかもしれない――って算段ってことでしょ?」
エメローナはそう言った、なるほど――つまりはクライアスが発狂した理由もわかるということか。
「けどさ、その前にクライアスを見て何か予感していたよね?」
エメローナはさらに訊いた。
「ああ、だが――まずは記憶結晶を確かめなければならん、それからでもいいか?」
それが先決のようだ。