それから2か月ほどかけ、再びエターニスのある彩りの大地へとやってきた。
だが――やってきてすぐに一行は身構えていた。
「なんだ貴様ら、わざわざやってくるとはな。
だが、今はそれどころではない――例え貴様らを殺そうとも、
無論我を斃したとて、この状況は収まらぬのでな――」
精霊カルスが現れたのだった、だが――彼の言うように、それどころではないらしい。
「一体、何があったのだ?」
フレアは訊くとカルスは答えた。
「ある精霊を粛正しようとしたのだ、そしたらこのありさま――
精霊界の内部で邪悪な力を発揮して暴走しているのだ」
そう言われてフレアは頷いた。
「精霊クライアスだな、いつも例の穴倉の中に潜んでいるという――」
しかし、カルスは違った。
「精霊クライアスと言えば、つい最近精霊界に昇ってきて”天命”の力を授かったと聞いているぞ――」
だが――フレアは首を振った。
「やはりそうか――シルグランディアが言っていた通り、
どうやら精霊クライアスは2人いるようだ、
片方が我々もよく知る穴倉の”暗い明日”、
そしてもう片方は――この世界にいるはずのない者――」
何だって!? カルスは耳を疑っていた。
「まさか本当に記憶システムに記録されない存在ゆえにそのようなものだと結論づけたのではあるまいな!?」
「残念だがシルグランディアが設計したシステムにケチをつけるほうがありえぬこと、
ゆえにその結論は正しいと思うほかあるまい――」
解せぬ――カルスは悩んでいた。するとそこへ――
「よう、久しぶりだな、お前ら――」
バルファースがその場へやってきた。
「どうした? エメローナは?」
フレアは訊いた。
「ああ、精霊界の中で防衛線を張って粛清の執行者ってやつらと喧嘩してたんだが、
今は”暗い明日”とかいうやつと交戦中みたいだぞ」
執行者と喧嘩……やっぱり平常運転じゃん――みんなで改めて安心していた、彼女はそういう女性である。
「俺もそろそろ愛しの妻に会いたいもんでな、連れてってくれてもいいだろ?」
それは言うまでもない。
「もちろん! お兄ちゃんもお姉ちゃんのことが大好きだから今すぐにでも会いたいに決まっているよね!
ね、カイル!」
バルファースはお兄ちゃんなのに、俺、いつまでザードに呼び捨てされるんだろ――カイルは悩んでいた。
「相変わらずザードは賢いな、その通りだ」
バルファースはそう言った――賢くねえよ! カイルは心の中で叫んでいた。
「でも、ちょっとぐらい生意気のほうがカワイイじゃん?」
メロリーナはそう言うが、そういう問題じゃない――カイルはますます悩んでいた。
ともかく、一行はエターニスへと向かっていた。
そして――都の深部には真っ黒な景観の中央にて、2本の柱の中央から漏れ出る光が――
「精霊界への入口だ。
ここから先は我々のような存在の領域ではないのだが――」
フレアはそう言うとカイルは頷いた。
「でも、今の精霊界の内部は乱れに乱れているんだろう?
言い換えれば、それがたとえ高級精霊であってもってことなんじゃないか?」
それに対し、一同は驚いていた。
「言うじゃねえか、初めてザードより賢いことを言ったんじゃないか?」
「すごーい! カイル兄ちゃん初めて見直したよ!」
と、バルファースとザード……ざかしいわ! カイルは腹を立てていた。
するとそこへクローザルが現れ――
「おや、おいでになられたようですね!
中でエメローナ様が待っていますので、どうぞお入りください!」
って! お前、高級精霊じゃないだろ! 何人かはそう訊くと彼は答えた。
「んん、それがですねぇ、エメローナ様よりお借りした器は高級精霊としてのものだったんですよ!
幽霊でもあるという都合、言ってしまえばある意味第6級精霊でもある”上位エレメンタル”と等しい存在ともいえますね!
ゆえに第3級精霊でもあり第6級精霊でもある私! なんだかとっても得した気分ですっ!」
当人がいいっていうのならなんでもいいか。
「……あれ? みなさんリアクション薄いですねぇ……?」