ドラゴン・スレイヤー ~新たなる未来~ 第6章 第134節

第6章 暗い陰謀

第134節 運命の仲間たち

 一方、クライアス――
「まさか、フローナルが怒りの解放リミット・ブレイクを強制発動したというのか、 想定外だ……本来であればヤツがそれをするに至るのはこれからさらに130億年後の自然発動が正史だったハズ、 今の状態で運命の標の二刀流棒切れ2本を相手にするのは分が悪い――事を急ぐぞ!」
「はっ、クライアス様――」
 ということで、こいつはこいつで何やらことを急ぐのであった。
「ところでその怒りの解放リミット・ブレイクとは?」
 隷は訊いた。
「この世界の生命体の何体かに備わっている特別な能力と言っていいだろう。 それがひとたび目覚めることで大いなる力を発揮することができるのだ。 中でも、高級精霊共が秘めている力は強大でな、途方もない時間がかかるといわれておる。 そして、いつの日か発動を可能にする日がやってくることで、以降は定期的に使用可能となるのだ」
 それは自然発動の話? 隷はそんな風なことを訊くとクライアスは答えた。
「それは運命の精霊が特別だからだ。 そもそも自然発動が普通であり強制発動というもの自体がイレギュラーなもの、 つまり運命の精霊というのはそれだけ特殊な存在なのだ。 ゆえに、本来であれば精霊界の連中は運命の精霊を怒らせないように立ち振る舞うのが常―― 無論、それでも運命の精霊は余程のことがない限りはあのように逆上したりしないのだ。 だが――ローアの刻から20億年も経た今日において、そのような考えはどうも忘れ去られてしまったようだ。 そのせいで運命の精霊の逆鱗に触れ、強制発動することを許してしまった。 しかも――強制発動は自然発動の時と違い、解放する力は何十倍にも膨れ上がると聞く――」
 それは厄介だ――隷はすぐさま理解した。
「まさに主の言う通り、この時代の精霊共にはろくなのがいないということですね――」
「左様、まったくもってその通りだ――」
 クライアスは悩み、さらに続けた。
「しかし――何故怒りの解放リミット・ブレイクできたのだ?  ”アヴァリス・シンボル”の効果がかかっている以上、あのようなことは起こりえぬはず、それなのに何故だ――」
 クライアスはそう言うと隷は言った。
「”アヴァリス・シンボル”がかかっていても、その効果が有効となる前提条件を満たしていないのでは?」
 そう言われてクライアスは考えた。
「ローアの刻の最初期から生きながらえているだけに飽き足らず、 怒りの解放リミット・ブレイクの強制発動まで備え、 ”アヴァリス・シンボル”をも通じぬとはますますふざけた存在だ――。 つまり、この世界で障害となるはやつのみということか、よかろう!  我は逃げも隠れもせぬ! 以前は後れを取ったが、今度ばかりはそうは行くまい!  さあ――我のもとへたどり着けるものならたどり着いて見せよ!  そしたら全力で歓迎しようではないか! クハハハハ!」
 こいつは一体何者なのだろうか。

 カイルは目が覚めた。
「はっ! フレア! フレアはどうなったんだ!」
 フレアは目の前にいた。
「ケガ人はおとなしくしていればいいんじゃないか?」
 そ、その通りだが――でも、むしろそう言われていつも通りなことに安心していたカイルだった。
「良かった――」
 と、天井を見て居場所を悟ったカイル、シェルベリアの家の中か。
「それにしても、フレアってすごい力を発揮したよね!  高級精霊2人を真っ二つにしたら、そのままカルスって精霊がビビッて逃げちゃったんだよ!」
 と、ディウラが嬉しそうに言うと、他の女性陣とザードも歓喜していた、ザードもまた身体中に包帯をぐるぐる巻きにしていた。
「僕も見たかったなぁー!」
 いや、なんか、見たくないような……カイルはビビっていた、 そもそもフレアってそういうところある、だからあれ以上って言われたら――敵に同情することになりそうだ。

 フレアは単身シェルベリアの家の外へとやってきた―― どっか行ってしまうんじゃないかと思ったディウラとレオーネが焦って飛び出してきた。
「なんだ? どうかしたか?」
 庭に出ていたフレアは何食わぬ顔で訊くと、2人はフレアに飛びついてきた。
「フレア! どこにもいかないで!」
「そうだ! 黙っていくのは辞めてくれ!」
 フレアは優しい顔で答えた。
「案ずるな、私はどこにも行かぬ。行くときはみんなに断ってから行くに決まっているだろう?  勝手に行って皆を心配させることはできぬ――」
 カルスと対峙した時にみんながフレアのために立ち向かったこと―― 共にウロボロスと戦った仲間なのだから無下にはできない。だが――
「ただ、一つ訊きたい。 私はエメローナを救出するために精霊界へと向かうつもりだ。 精霊界で事が起こっている以上は精霊界へ向かわなければならぬが――何が起こるかわからない。 それでも行くか? 無理強いはしない、そこは皆の判断に任せたいのだ――」
 そんなこと――答えは一つに決まっている。