ドラゴン・スレイヤー ~新たなる未来~ 第6章 第132節

第6章 暗い陰謀

第132節 粛清

 それから3日が経ち――
「メロリンちゃんとオルダさんはどうした?」
 フレアがいきなり玄関ホールに現れ、カイルと鉢合わせになった。カイルは驚いていた。
「部屋で眠っている、どうやらずいぶんと世話になってしまったようだな」
 それより、本当に何があったんだよ。

 リビングのゆったりとしたところでみんなで一堂に会していた。 ザードはやっぱりフレアに甘えていた。
「それより、何があったんだ? この家の前に倒れていたんだぞ?」
 カイルは訊くとフレアは答えた。
「まずはウロボロスの突然の解放と記憶システムの改変の件、すべて話さねばならないようだな」

 とにかく、それによって精霊界では半ばパニックになっている状態なのだという。
「確かに、精霊界には第4級精霊であるフレアですら容易に入れないってことになると―― 入れる存在から的が絞られるってことか?」
 カイルはそう訊くとフレアは頷いた。
「その通りだ。 だが、そのような精霊界に不用意に入った者がいる―― そういった理由から精霊界ではある一つの決断が降されることとなった。 それは、不穏分子の一斉排除だ」
 なんだって!? ディウラは驚いていた。
「ど、どういうこと!? 排除ってもしかして――」
 フレアは答えた。
「ここ数日で精霊界の者が粛清されているのだ。 特に今回のウロボロス関連に携わった者は粛清対象となっているそうだ、怪しい動きを見せた者を含めてすべてだ。 無論、私もウロボロスに関わったものゆえに粛清対象―― エメローネに聞かされてエターニスから離れていた折、ノースエンド付近でカルスに攻撃されてな――」
 大ケガしていたのはそいつのせいか――
「え、エメローナは!? 彼女も粛清対象にされたのだろう? 無事なのか!?」
 レオーネは訊いた。
「恐らく無事だ、エメローナのことだからな、 毎度粛清されそうなことを平気でやっている彼女のことだから心配はない」
 確かに――あの人絶対に殺しても死にそうにないもんな。
「ノースエンド付近で? あれ、高位の精霊って外に出るのは――」
 メロリーナは訊いた。
「本来であれば確かに外に出てくるのも憚られるが、それというのはつまり精霊界から出れないということではない。 私に引導を渡すため自ら外に出てきたのだ。 だが、精霊界から出てきてしまっているせいで力の使い方が定まらず、そのスキをついて逃げ出してきたのだ。 今や私を見失い、精霊界への帰還を余儀なくされている状況だろう。だが――」
 それでも諦めたわけではない、フレアはそう言うとさらに続けた。
「つまり、ここにいることがバレるのも時間の問題ということだ、 もはや逃げ場はない――お前たちの迷惑をかけるわけにもいかぬ、だから――」
 だから――ディウラは彼女の手を握った。
「ウロボロスに携わったってことなら私たちだって一緒よ! だからそんなこと言わないで!  連中なんかに負けないで! 一緒に咎を負いましょう! ね、みんな!」
 まさにその通りである、一同は決起し、フレアを守ることにした。
「お、お前たち――」

 それから2日が経った。エンケラスから少し離れたところにカイルの家を立て、そこで一晩を明かしていると――
「高級精霊が3匹、真ん中のやつが因果の精霊カルスだな――」
 レオーネはそいつらの様子を遠めから確認していた。 両脇にいる精霊は仮面をかぶっており、さながら執行人という感じである。
「フレア=フローナルを出してもらおうか! 逆らえば命の保証はしない! さあ、出してもらおうか!」
 カルスは偉そうにそう訊くが、カイルはドラゴン・スレイヤーを引き出した、 先日、アトレーニアからやってきたっていうアレイナという綺麗な女性―― 綺麗な女性というわりに言うことやることがエグい、エメローナのような印象のインパクトの強い女性から手渡されたのである。 アーティファクトということでどう扱ったもんだか悩んでいたカイルたちだが、 ことドラゴン・スレイヤーについては結局今まで通り携えていることにしたのだった。
 だが、そのような代物を高級精霊に向けることになるとは――
「悪いけど、仲間を売るようなマネだけはしたくなくってな、どうしてもというのなら俺を倒してからにしてもらおうか!」
 カイルはそう言い放つと、カルスは呆れた様子で答えた。
「何を言っているのかわからぬが――仕方があるまい」
 こうして、高級精霊との火ぶたが切って落とされる! カイルたちはカルスたちに向かって激突した!