ドラゴン・スレイヤー ~グローナシアの物語~

第5章 冒険の果てにて

第127節 エピローグ・それぞれの生活へ――

 フレアはエメローナと話をしていた。
「それで、記憶システムの記憶結晶の件、何かわかったのか?」
「ええ、言ってしまうと、ほとんどわからないということが分かったわね。」
 どういうことだ、フレアは訊いた。
「記憶結晶を弄ったやつの残滓が残っていたのよ。 でも、残念ながら残滓だけで具体的に誰がやったのかはわからずじまい。 つまり、そいつは巧妙に姿を隠しながら事を運んでいるってことは間違いないのよね、 あるいは――この世ならざる者なのか……」
 この世ならざる者だって!?
「どういうことだ?」
「記憶結晶を弄ったことも記憶結晶に記憶されているってこと。 でも――犯行を行ったやつはあくまで残滓としてしか記録されていない―― つまり、この世界としてはイレギュラーな存在であるがゆえに正しく記録されていなかったってこと、 この世界の限界みたいなものね――」
 つまり、まさに世界を超えるようなやつが現れたってこと!?
「不正に記憶を弄ったりなんなりしやがって……あのシステムを改修しないといけなくなってきたわね――」
 これは――まだシルグランディアが精霊界に留まることは確定したようだ。
「しかもクレマスト家の奥様にもなるわけだしな」
 フレアは得意げに言うとエメローナもまた得意げに頷いた。
「ええ、なんだかんだ言って私も人妻になっちまったってワケよ。 ま、旦那がアレだからね、私も基本、今まで通りにやっていくだけよ。 とりあえず激しく愛し合ってイチャついてえちぃことして、ガキを何人か作ってお母さんしたら―― その後にまた再び世界のシステムの面倒を見ることにするわよ、今回のこの件のことも含めてね。」
 この女はこれ以上変わることはなさそうだな――フレアはそう思っていた、 激しく愛し合ってイチャついてえちぃことして――恥ずかしげもなくはっきり言うところ。
「子供にまでシステムを改修させるつもりか?」
「なるたけそうならないようにしたいところだけどね。 でも――端っからシステム改修をする必要が出てくると、違う話になってくるからね、 そしたら私の限界を以てしても無理なのは明らか――そうなったら子供に託すしかないわね。」
 だが――
「エメローナの子ならきっと自らやってみせるって言うに決まっているだろう?  なんたってシルグランディアの血を引いているのだからな」
 血か……エメローナは考えた。

 アトレーニア、ディリアスは目の前のアーティファクト群を並べて観察していた。
「ったく、なんで俺が全部預かることになってるんだかよくわからねーが…… そろそろこいつらを何とかしねえといけねえな」
 まずはドラゴン・スレイヤー、ウロボロスとの戦いで使用したことで刃こぼれしていた。
「……フツーに打って構わねえんだったよなぁ? なら、アレイナに任せるか――」
 すると、そのアレイナという女性が現れ――
「私を呼びましたか?」
 落ち着いた美人なその女性はそう訊いた。
「あ、ちょうどいいところに。 エメローナ姉様から預かっているアーティファクトなんだけどさ、半分ぐらいなんとかしてくんないか?」
 ディリアスはそう言うが、アレイナはにっこりとした面持ちで言い返した。
「それって、面倒くさいから他人に押し付けようって腹ですか?  それとも、自分の腕だけではどうにもできないから私にもやってほしいってことですか?」
 落ち着いた美人というイメージに反してエグいことを平気で言う―― この里にはこんな女性ばかりなのだろうか、シルグランディアの地というだけに。
 そう言われてディリアスは悩みつつ答えた。
「アレイナに頼めば間違いない仕事をしてくれるからと思って頼んでいるんだ。 きちんとしてくれたらアルタリアで好きなだけ豪遊していいぞ、もちろん全部俺のおごりだ」
 そう言われてアレイナは嬉しそうに答えた。
「仕方がありませんねぇ、そこまで言うのなら特別にやって差し上げましょう。 その代わり、アルタリア豪遊の件、約束しましたからね?」
 ……怖い女。

 ザードはメロリーナとミリエラと一緒に遊んでいた。
「ザードクンってカワイイね! 将来大きくなったらかっこよくなるんだよね!」
 ミリエラがそう訊くとザードは嬉しそうに答えた。
「ウン! そうなるといいな! でも、お姉ちゃんも大きくなったら綺麗な人になるといいね!」
「ありがとう、ザードクン! できたらお嫁さんにしてほしいなー」
「ミリエラお姉ちゃんをお嫁さんに!? 本当に!?  えー、どうしよっかなぁ、ミリエラお姉ちゃん綺麗になっちゃったらボクじゃあ難しいかなぁ……」
 そこへメロリーナが話に加わる。
「ほらぁ! やっぱり、ザードクンってカイルと違って謙虚なんだね!  そんなザードクンって本当に素敵だね!」
「ほんとだね! やっぱり、ザードクンのお嫁さんになりたいなぁ♪」
 ミリエラもまた楽しそうに言うとザードは照れていた。
「そ、そうかなぁ……でも……ミリエラお姉ちゃんが僕が大きくなった時でもいいって言ってくれるのなら嬉しいなぁ!」
「そんなこと、年取ってオバサンになった私でもいいって言ってくれるのなら私は嬉しいなぁ!」
「ミリエラお姉ちゃんは年取ってもきっと美人だよ! だって、とてもやさしいし! 僕は好きだよ!」
「まあ! ザードクンってお上手だね! 絶対にモテモテだぁ!」
 ……やっぱりカイル、軽めにディスられている件。自分の嫁にもディスられてるし。 そしてザードがモテるのは確実だな、あいつじゃあザードには勝てない。