ドラゴン・スレイヤー ~グローナシアの物語~

第5章 冒険の果てにて

第125節 エピローグ・その後……

 だが、記憶世界から出てきても、エメローナの服装は変わっていない!?
「やはり……闇がしみついてしまっている分の影響か――」
 フレアは悩んでいるが、エメローナは首を振った。
「事情は分かったけど――でも、コレに関してはそういうのとは違うから心配しないでよいよ。」
 ならばどういうことなんだ――そう訊きたかったが、答えは聞きたくなかったので追求しないことにした。
「とにかく、ずいぶんと面倒をかけたわね。」
 エメローナは悪びれた様子で言うとバルファースは頷いた。
「もとに戻ったんだろ? 良かったじゃないか?  もっとも、俺としてはただの目の保養、面倒っちゃ面倒だが問題はなかったぞ」
 マジかよ……カイルはそう訊くがバルファースは意地が悪そうに続けた。
「それこそカイルだって常にデレデレだったからな、つまり嬉しかったってことだろ?」
 なんでだよ! 確かに嬉し……いや! そんなことはない!  カイルは悩んでいた、少なくとも面倒なのは正解であるが。
「でも、その恰好は続けるんですね!」
 メロリーナは嬉しそうに訊いた。
「まあね、女やっているからの戒めってところね。」
 なんの戒めだよ。
「とにかく、精霊の記憶がそれぞれヤバなってないか調べないといけないし、 今後の対策をしないといけないわね――」
 それもそうか、フレアは頷いた。
「ウロボロスも斃したことだし、とりあえずお役御免ってことだな」
 そうだった、これで今回の冒険は終わりということか、名残惜しいが――
「ウロボロスという割に手ごたえもなかった、伝説ってのは得てしてそういうもんか?」
 バルファースは訊くとエメローナは頷いた。
「ええ、まさにそういうことね。メロリーナもレオーネもありがとうね――」
「ううん! 私のほうこそ、お姉様たちといられて楽しかったよ!」
「ああ、またこのような冒険がしたいものだ」
 2人はそう答えたが、そういえばレオーネの服装の呪いは――
「メロリーナも同じような服装で戦っているからな、だからこれもいいかと思ったまでだ」
 マジですか。
「また何かあったら誘ってくださいね! 私も力になりたいので!」
「僕もだよ!」
「うんうん! 是非是非!」
 ディウラとザードとパティもまた元気よく言うと、フレアは頷いた。
「無論だ、名残惜しいがいずれまた会う時も来るだろう――」

 カイルたちはそのままエンケラス方面へと戻っていった。 彩りの大地に残ったのはエメローナ、フレア、クローザル、そしてバルファースだった。 彼はそのまま東の海をじっと眺め黄昏ていた。
「本当に精霊の土地に来ちまったな――」
 そこへ、後ろから何者かが近寄ってきた。
「ここにいたのね――」
 その声はエメローナだ、バルファースは気が付いた。
「なんだ、どうしたんだ?」
 するとエメローナ、何を思ったか、バルファースの右手の中に収まった!
「お、おい! 元に戻ったんじゃないのか!?」
 だが、エメローナは――
「ええ、元に戻ったけど、私はディーマスの女にされちゃった身だからね♪ だから責任取ってもらおうかと思って♪  どーせこんなところまで誰も来るわけないしさ、 だから2人っきりでこの間の続きでもしよっかなーと思って……ね♥ ディーマス♥」
 それでエメローナはこの服装を続けているらしい、彼の目の保養――エメローナは彼を誘惑していた。
 すると――バルファースはなんと、エメローナをそっと押し倒すと、彼女の身を――
「御年2,048歳のお姉さんとは言うが――」
「ええ♪ あんたはあくまで私が抱かれた男の一部でしかないってワケ♪」
「寿命がはるかに違うからな。 だが――お前の一生の中で今抱かれている男が一番だってことを教えてやるぜ――」
「ふふっ、そこは心配しないでよ、 2,048年も生きている私を初めてその気にさせた男なんだからそれは間違いないわね――」
 そしてそのまま――
「……意外と悪くないわね、こういうのも――」
「まだまだこんなもんじゃねえぞ……これからお前は俺好みの女になるんだからな、後悔するんじゃねえぞ――」
「あら♪ それはそれでなんだか楽しみねぇ♪ でも、やれるもんならやってみなさいな、ア♥ナ♥タ♥」
 末永くお幸せに!

 あれから約2か月が経った。 アルタリア雪原の街道の途中でメロリーナたちと分かれたカイルはそのままエンケラスでハンターの仕事をしていた。
 カイルと一緒に来たのはオルダナーリアとティラキスの2人、カイルはあのシェルベリアの家でお世話になっていた。 さらにカイルは1人でエンケラスのハンターの仕事をこなしており、シュリウスのハンターではなく、 エンケラスのハンターとしてだんだん馴染んでいた。 それこそ、最初は「何の用だ?」という受付の対応が、いつの間にか「お疲れっす!」から入るようになっていた、 それでも相変わらず下の句は「で、何の用だ?」ではあるのだが。しかし、それはあくまでネタである。
 そして――
「あれ? ディウラさん!?」
 仕事中に彼女と出くわしたカイル。
「カイル! 戻ってきたよ!  ギルドに訊いたら仕事中だって言ってたから仕事の内容を聞いてやってきたんだ!  手伝うから早く終わらせて帰ろうよ!」
 流石はギルドの総本山であるリアンドールのお嬢様、仕事の内容を聞き出すのもお手の物か。
「わかった!」
 カイルは頷いた。