カイルたちはウロボロスの前までやってきた!
「攻撃を受けているが全然堪えている様子はないな――」
レオーネは言うとフレアは答えた。
「破壊の悪魔は超速再生能力を持つということだそうだ、
だから受けた攻撃をたちどころに回復してしまう。
だが、ここはエターニス、精霊の力でその能力をある程度縛り付けている、
その点においては安心するとよい――」
いくら弱くてもウロボロスを相手にするのって結構大変なんだなと思った一同。
「まあいい、それがわかっていれば後は斃すだけってことだな!」
「そうだね! いっくよー!」
「うーし! やるよー!」
「僕も頑張るぞー!」
「私も伝説に名を残しますかね!」
カイル、メロリン、パティ、ザード、そしてクローザルは改めて身構えると、
他の面々もまたウロボロス相手に改めて身構えていた。
それから約1週間後……エメローナはエターニスに戻ってきていた、だが――様子がなんだかおかしい……
これまでのエメローナらしからぬ振舞い女というのとは打って変わって殺意みなぎるオーラというヤバイもの……
なんだ、平常運転じゃないか。
だが――その服装はあまり変わっておらず、青基調のティアエン・ユニットな服装だった。
「ど、どうしたんだ――」
フレアは彼女の姿を見てビビっていた、
流石にウロボロスとの戦いは既に決しており、それによってエターニスでくつろいでいるところだった。
だが――エメローナは無言でそのままエターニスの中へと入っていった――
「ど、どうかしたのか? とりあえず……元に戻ったのだよな……?」
フレアはビビりながらもエメローナと一緒にいたオルダナーリアとティラキスに事情を聴いた。
「は、はい――まずは自分の服装にブチギレ……いえ、驚かれまして――」
いや、つまりブチギレているじゃん……。
「それからは何も言わぬままあの調子でございますよ、どう考えても話しかけんなって言わんばかりの状態ですね――」
だろうな、無理もない……フレアは話を聞いて悩んでいた。
精霊界――例の記憶システムのところで――
「このク○がぁ! ××××! ××××! ××××××××! 誰が! 誰がアバズレ痴女じゃボケェ!」
なんと、世界の記憶結晶が積み重なっているその場所を剣で何度もぶった切っていた!
「し、シルグランディア様! どうか落ち着いて! 世界の記憶が壊れてしまいます!」
「修復機能持ってるから平気なんだよ! こうして! こうして! こうしてもなぁ!」
修復機能……流石だな、でも、それでもやっていることは八つ当たりである、無理もない……。
エメローナはそのまま1つの記憶結晶を持ち出すと、
エターニスまでやってきてフレアに手渡した。
「精霊界の外にまで持ち出せるとは流石のシステムだな。で、これが原因ってことか?」
エメローナは頷いた。
「私、ちょっとそこいらで狩りをしてくるから後は頼んだわ。
終わったらメリルにでも渡しておいてくれない?」
狩り……これから彼女に狙われる標的はつくづく運がないな……フレアは頭を抱えていた。
「それがこの世界の記憶の一部ってやつ? それをどうするんだ?」
カイルはそう訊くとフレアは答えた。
「これはおそらく”シルグランディアの記憶”と言ったところだろう。
これにどうやら改変が加えられているせいで彼女がおかしなことになっているようだ。
私がこの記憶の中に干渉してその改変された部分を修正しに行ってくる――」
改変なんて、なんてことだ。
その記憶の中は、なんとも複雑な構造の迷路のようだ。
ところどころに歯車があり、刻一刻と迷路の構造が変わっているような感じである、
これはまさに万物の作り手たる彼女の思考回路を模しているようだ。
だが――フレアが先に進もうとすると、迷路は彼女の行く手をどんどん開いていった。
そしてその先に何やら妙な闇が潜んでいた。
「万物の作り手はありとあらゆるを作りし者。
あらゆるを作る者なれば、数多の生命を作る者なる者。
つまり貴様は生命の営みにおいてかかせない存在が示す通りの多産を司る者――
ゆえに貴様の本性は、数多の男共と交わることを至福の喜びとする性に奔放なアバズレ痴女……
その存在を示せ、その存在を示せ、その存在を示せ――」
フレアは問答無用で無慈悲にその存在をぶった切ると、そいつはその場から消え去った。
だがしかし――
「これは――記憶改変というよりは暗示だな。
恐らく、シルグランディアゆえに改変するには至らず、暗示をかけることで事に至ったということだな。
とにかく、エメローナについてはこれで問題が取り払われたと思いたいが――」
そいつがいた場所をくまなく調べたフレア、
その場は先ほどのやつの闇がそのまましみついており、どうしたもんかと悩んでいた。
「いずれにせよ、世界の闇の部分をトリガーとして問題が起きることは確実だったということか。
ゆえに、今回はウロボロスの兆しでエメローナがあのようになった――、
禍根は断ったが既に侵食している以上は何かしらが起こってもおかしくはないということか――」
えぇ……マジですか……。
「だが、誰がこんなことを……?
しかし、そうなると――他の精霊がどうなっているかも気になるところだな、
一度、調べるように伝えねばなるまい――」
フレアはそう考えつつその記憶から去っていった。