ドラゴン・スレイヤー ~グローナシアの物語~

第5章 冒険の果てにて

第123節 破壊の悪魔

 すると――
「なんだいきなり!?」
 エターニスの上空にいきなり大きな魔物が現れる!
「おいおいおい、まさかウロボロスか!?」
 バルファースはそう訊いた、いきなりそんなバカな!
「なんだ!? どうなっているというのだ!? 何故いきなりウロボロスが!?」
 それは間違いなくウロボロスのようだ。 まさに黒くて細長い蛇のような存在が空に――
「すみません! どうしてなのか確認してきます!」
 メリルは慌てて精霊界のほうへと戻っていった。
「一体何がどうなっているんだ、俺たちがここについてからいきなりって…… タイミングが良すぎないか!?」
 カイルはそう訊くとクローザルは考えた。
「タイミングでいえば、 我々……というか、フレア殿が戻ってきたことで精霊界が今まで抑えていたウロボロスを解き放ったとも考えられますね」
 そう言われてフレアは考えていた。
「それはありうるな。だが……精霊界の総意というのとは違う意思が働いているような気がしてならないな――」
 な、なんてこと――

 しかし、ウロボロスの出現場所が幸いしたようで――
「なんだ!? この膜は!?」
 なんと、エターニス全体を大きな膜が覆った!
「魔法バリアだ、何者かが気を利かせてエターニスを保護しているのだろう」
 すると、ウロボロスは次から次へと魔法を発射してくるが、すべてその膜に吸い込まれては消えていく。
「問題はこれほどの力が使えるのなら攻撃用に使ってほしいところだが…… まあ、そうなったらそうなったで力の加減できぬやつのことだから期待すべきではないということだな」
 話が変わってくるってことか、それはそれは……。
「ただ、どうする? ここからじゃあやつの居場所まで届かねえぞ?」
 バルファースはそう訊くとフレアは考えていた。そこへあのメリルが――
「フレアお姉様! ウロボロスが放たれたのは突然のことだったようで精霊界としても感知していないようです!」
 なんてことだ――フレアの予想通りだったようだ。
「それよりもメリル! このバリアに足場を作るように頼んでもらえないだろうか!?」
 え、そんなことできるの!?
「わかりました! 頼んでみます!」

 メリルが去ってから数分後……
「見ろ! バリアの上をなぞるように下から木の枝が!」
 カイルは驚いていた、他の面々も同じリアクションだった。
「まさに精霊様の土地ということなのね――」
 ディウラもまた呆気に取られていた。
「よし、突っ込むぞ!」
 バルファースはそう言ってその太くて大きな木の枝を登って行った。 他の面々もそれに続いて登って行った。

 ウロボロスの元へと向かう間――
「そういや、親父が斃したときはどうだったんだ? こんなことになったのか?」
 カイルは訊いた。
「以前のウロボロスはそもそも今の蛇型とは異なる存在だった。 言ってしまえば獣型とでも言うべきだろうか、そのようなタイプでな。 しかもこのエターニスだけではなく、西のエンケラス付近…… 当時は”ジェロサート”と呼ばれたその地にまでを縄張りにしているかのように動き回っていたのだ。 タティウスに討伐依頼が来たというのもそう言った理由によるものだった。 普通はエターニス内だけでの話だったら他所の者が関与するハズなどないのだが、 あの時は”ジェロサート”がウロボロスによって滅ぼされ――」
 バルファースは頷いた。
「どおりで――精霊の土地での出来事なのになんでハンターが討伐に来るんだと思ったらそういう理由があったのか。 だが、決戦は精霊の土地でのことなのに、それでもハンターが来たってのは?」
「対象がウロボロスだからだ。 ローアの時代ではウロボロスを斃すために数多の冒険者たちが一堂に会し力を合わせて戦ったと聞く、 つまりはそういうことだな」
 フレアはそう言った、精霊界の中枢にいる保守層の精霊的に言うと、 ウロボロスはこの世界の人間たちが力を合わせて斃したのだから、 ウロボロスを斃すのであればそうであるべきということだな。
「もちろん、力を合わせて戦うのだ、場所がエターニスであることはまさに不幸中の幸いと言ったところだな。 下を見ろ、今回はどうやら出現場所を間違えてしまったようだぞ」
 カイルたちは下を見ると、 そこには数多の精霊たちが各々高い場所へと登ってきてはエターニスを取り囲むようにして構えていた。 そして、次から次へと魔法を放ち、ウロボロスを次々と攻撃していた!
「しかも今回のウロボロスの力は非常に弱い、この分なら決着がつくのも時間の問題かもしれぬな――」
 勝機は十分にあるということか。