ドラゴン・スレイヤー ~グローナシアの物語~

第5章 冒険の果てにて

第121節 海賊の戦利品

 その話を聞かされたカイルたちは当然ながら驚いていた。
「なんだって!? もしかしてバルファースとエ○チしたのか!?」
 そう言われたエメローナはほほを赤らめて恥ずかしそうにしていた。
「や、やだ……そんなことはっきりと言わないでくださいな♥」
 だが、楽しそうに答えていたエメローナ……って! マジか!? 嘘だろ!?
「女として目覚めて暴走していたからな、それなら俺もその気になるまでだ…… この女をちゃんと女にしてやればいいんじゃねえかと思ったわけだ」
 得意げに語りだすバルファース、お前なあ! カイルは呆れていた。
「うふふっ♥ そうなの♥ 私、オンナになったの♥  私の身も心もあなたのもの……私のことは好きなようにしてくださいな♪ ア・ナ・タ♥」
 エメローナはバルファースの腕にしがみついて甘えている……これはこれで異常なんだけど……。 前よりもマシと捉えるべきか、それとも――なんとももどかしいものである。
「だが、エメローナほどの女を抱いて寝るとは上級者にも程があるような――」
 レオーネは呆れたように言うとバルファースはエメローナの顔を眺めながら嬉しそうに答えた。
「ああ、俺もそのつもりはなかったが、それでも俺好みの女ではあるな」
 そういえばそんなこと言ってたな、カイルは考えた―― おいおいおい、フラグを回収してしまったじゃねえか!
「とにかく完璧とは言わないまでも、それでもこの女は元に戻ってきた、話を続けようじゃないか?」
 バルファースはそう話を締めていた、こいつ……むしろなかなかやるじゃねえか。

 フリフリで可愛げな見た目のエメローナは1人の職人を連れてその場に現れた。
「この人は私の弟子よ。」
 だが、そんな弟子は困惑していた、そりゃそうだ。
「あの……師匠、何かあったんですか? 本人に聞いても何も言わないんですが――」
 さて、どう説明したもんだか。
「そいつは後だな。で、弟子まで連れてきて何をするって?」
 バルファースはそう訊くとエメローナは嬉しそうに頷いた。
「ええ♥ とりあえず、”ウロボロス”対応用の武器を作ろうと思ってね♥」
 なんと、いよいよか!? メンバーは期待していた……だが、今のエメローナの状態でそれは大丈夫なんだろうか。

 弟子の名前はディリアスというらしい。
「なるほど、エメローナが見込んだ男ということか」
 フレアはそう言うが、彼はひたすら剣を打つのに集中していて話が聞こえていないようだ。
「見込んだ男というよりは遠い親戚だからね。 それはそれはもう私にしてみれば可愛い弟よ、ねぇ♥」
 エメローナは調子よさそうに言った、ますます大丈夫かエメローナ――
「いや、そいつは平常運転です……」
 ディリアスはそう漏らした……え、そうなの? というか、聞こえていたのね。
「というか、遠い親戚ってのがわからないんだが……精霊界の存在と親戚……」
 カイルはそう訊くとフレアが答えた。
「エメローナのような女性の子孫ということを考えるとネックかもしれないが、 それ抜きにして言えばありえなくもない話だ。 それこそ過去のシルグランディアは古のアトレーニアに腰を据えると聞く……それはこれまで聞いた通りだと思うが、 つまりは自分の子孫なら必然的にアトレーニアにいるということになるわけだ」
 なるほどな。
「だけど、私はあなた一筋ですわ♥」
 バルファースに対して嬉しそうに言うエメローナ……むしろ怖い。

 その日は何事もなく終えることとなった。 特にあのエメローナの異常っぷりときたら本当にあのエメローナなのか疑うような状態ゆえにむしろお手上げである。 とはいえ、一部以外の女性陣にしてみれば、旦那様にメロメロな状態の彼女についてはいたって高評価、 旦那様を一途に愛する女性の姿ということでロマンスを感じているようだ。
 一方で、バルファース以外の男性陣とほかの一部の女性、 いつものエメローナらしからぬその状態に今後の行き先に不安を抱いていた。
 その夜の宿屋にて、一部の女性陣が部屋に集まって話をしていた。
「レオーネ、その服装、どうにかしたらよかったのに……」
 ディウラはレオーネにそう訊いた、レオーネの服装は依然としてどこぞの美少女戦士風のセクシーなあの恰好をしていた。
「エメローナが嬉しそうにしてるから声をかけそびれてしまった。 そもそも彼女はあんなタチではない、それなのに男ができたことであんなに嬉しそうにしているのならそのほうがいいかと思ってね。 あんなに嬉しそうな顔をしていられると、私もまた出会いを見つけるのもいいかと思ってね――」
 パティは頷いた。
「わかる! 私もなんかいいなーって思った!  私も今度から彼氏を作るようにしよっかなー!」
「パティちゃんならきっと素敵な彼氏ができるわよ! だって、こんなに可愛いんだもの!」
「ありがと、ディウラさん! そういうディウラさんは?」
「私? そうねえ……私はもう少し、1人での自由を満喫していたいかなあ……。 確かに私もいいなーって思うけど……」
 彼女には自由のない時間が長すぎたようだ。

 その一方で――
「ねぇ、ア・ナ・タ♥」
 エメローナはバルファースを誘惑していた。
「どうしたんだ? いつもいつもイイ女だなお前」
 そう言われたエメローナはますますノリ気になっていた。
「ウフフッ♥ 決まっているでしょぉん♥ アタシは女神エメローナ女王様♥  このアタシが隷であるアンタのことをこの世で一番幸せな生き物にしてあげるわぁん♥」
 なんと、女神エメローナ女王様!? まさか彼女、元に戻っていないんじゃあ――
 するとバルファース、おもむろにエメローナのことを――
「そいつは楽しみだ……」
 ベッドの上に……! そしてそのまま――
「あぁん♥ ディーマス♥ アタシのことちゃぁんと可愛がって♥」
「仰せのままに、女神エメローナ女王様……」
 あとは2人の世界! 末永くお幸せに!