ドラゴン・スレイヤー ~グローナシアの物語~

第4章 世界の綻び

第103節 シルグランディア様のポテンシャル

 次の日、宿屋の前にて。
「あれ? エメローナさんは?」
 カイルはそう訊いた、彼女がなかなか出てこない。
「エメローナならちょっとやることがあるから少しだけ待っててって言ってたわね」
 レオーネがそう答えた。
「うーん、早いところレンドリアについておきたいんだけど――」
 カイルはそう言うと、フレアが言った。
「どの道、レンドリアには夕方ごろに着くことになるだろう。 その先も宿場町がいくつか続くだけ、急いだって仕方がない」
「そうだな、どうせ酒を飲むのなら宿場町よりも大きな町のほうが何かと好都合だ」
 バルファースはそう付け足した。確かに大きな町のほうがいろいろな銘柄があるしな。 だが、その時――
「みんなー♪ お待たせー♪」
 と、なんと、そこには赤いフレアーな可愛らしいミニスカートの女が……って!
「え、エメローナ!? どうしたんだその恰好!?」
 フレアは驚いていた、だって、あのエメローナがマジでミニスカート履いているんだぞ!?  驚かないわけがない!
「てへ♪ おめかししてきちゃった♪」
 なんか妙にかわいく振舞っているエメローナ、 ニットのセーターに赤いフリッフリなフレアーのミニスカートというガーリーなコーデ、 だが……それが御年2,048歳のおねーさんとは思えないほど可愛いではないか!
「お姉さま! 可愛い!」
「可愛い!」
「エメローナさん! とっても可愛らしいです!」
 などと、女性陣は絶賛……ええ、マジですか――エメローナは呆気に取られていた。
「何言ってる? 似合うと思ってその恰好をしてきたんだろう?  だが、流石は精霊シルグランディア、 自らが手がけた衣服すらをも自らが広告塔だと言わんばかりの可愛さでアピールできる能力を持っているはまさに真の創造精だからこその所業というべきか……。 あと3,000年はその恰好で生きていけるな」
 フレアまで独特の言い回しで絶賛してるし―― エメローナは悩んでいた、3,000年も無理でしょ……彼女は呆れていたが、あながち無理とは言い切れないかもしれない!
 だが……男どもは流石に引くだろうな、そう思っていたエメローナ。
「あんたっちもしつこいから、つい乗せられてこんな恰好してきちゃったじゃないのよ、ったく。 おら、不釣り合いでしょうよ? こんなもん見せられて後悔したって遅いわよ。」
 と、男どもにふてくされたような様子で言う彼女、だが――
「おおおおお! 本当だ! 脚長いな! これが女神脚ですって言われたらもうその通りとしか言えないよなぁ!」
 カイルは絶賛!
「な、なななななんと! 今のグローナシアにおいてもなお奇跡の神脚……否!  女神脚を拝めるとは! 現世に私の魂があるのはこれを拝むためだったのですね! 偉大なる創造精よ!」
 グローサルも絶賛! 偉大なる創造精……第1級精霊様か。
「ほう、さまになってるじゃねえか。 だが、それはそれで変な虫もつきやすくなるからな、俺みたいなな……気を付けろよ」
 バルファースまで高評価……エメローナは困惑していた。
「ちょっと! ウソでしょ! 冗談は顔だけにしなさいな!」
 冗談なもんか、男たちはいたって真面目だった。
「オレ、メロリンちゃんに会わず、エメローナさんのこと何も知らなかったら告白してたかもしんないな!」
 と、カイル……エメローナは目が点になっていた、なんで目が点になるんだよ。
「ですです♪ エメローナお姉様相手じゃあ私も厳しいなぁ♪」
 カイルに対してメロリンちゃんが追随!
「左様! シルグランディア様もまたティアエンに加わるべきです!  ああ! 私の仕える女神はこのような美しい方だとは! やはり私は恵まれているようだ!」
 グローサルはさらに興奮していた、マジかよ……エメローナは悩んでいた。
「そうか、エメローナもようやくティアエンに加わることにしてくれたんだな。 無論、他人には勧めているぐらいだからノーとは言わないよな?」
 レオーネが得意げに追い打ちをかける!
「だな。 俺もあんたのことを何も知らずに近づいていたらスクリュードライバーでも飲ませて悪いことを企んでいるに決まっている」
 バルファースは得意げに言った、何も知らずに……がポイントか、無知とは恐ろしいものだ。
「ホントだよ! お姉様ってば、きちんといいもの持ってるじゃん!」
 さらにパティが嬉々として話していた。
「ホント! エメローナってステキ! いろんな服が似合いそうね!」
 無論、ディウラも絶賛している。
「あ、あんたたち、何のつもりよ――」
 エメローナは唖然としていた、そこへ――
「お姉ちゃん! 可愛い!」
 ザードがエメローナを見て感動していた。
「や……やあねえもう! ザードまでそんなこと言ってさあ!」
 みんなにほめちぎられて無茶苦茶照れてるエメローナ可愛いな。
「だ……だまらっしゃいな! ナレーション! テメェ! 覚えてろよ!」
 そんな照れながら言わんでも。
「て……照れてねーし!」

 だがしかし、それでも気を付けなければならないことがある、 そう……彼女はそれでもあくまで精霊シルグランディア様であることだ。
「オラァ! いい脚したネエちゃんが好きなんだろーがよ! そんなに好きならいくらでも脚をくれてやるよ! オラァ!」
 ……そう、彼女は5人の悪漢共に目をつけられたのだった、しかしもちろん――
「俺の女にしてやるとかほざきやがって! どこの女がテメェみてぇなゴミの女になるんだよ! あぁん!?」
 連中はすでに彼女の地獄蹴りによって既に虫の息……
「テメェは私と寝るとか妄言ほざいたやつだったかぁ!? だったら今すぐ寝かしつけてやろうか! オラァ! オラァ!」
 今は伸びている連中を1人ずつ追加の蹴りを入れているところだった……。
「テメェはただひたすら気持ち悪れぇんだよ! 人のこと見るなりデレデレニヤニヤとなあ!」
 この女には不用意に手を出したらあかん。
「オメェの気持ち悪さはもはや××××だなぁ!?  二度と変な妄想すら抱けねぇように今から女にしてやろうか!? オラァ! オラァ! オラアアア!」
 最後の1匹については股間を何度も思いっきり蹴り上げていた、こ、怖い……。 やはり男心を破壊するどころか、男を直接破壊していくところは流石である。
 だが、しかし――
「お姉様! かっこいいです!」
「ホント素敵! 私もエメローナみたいになりたいです!」
「ああ! 私も見習わねばなるまい!」
「いけー! やれー! お姉様ぁー!」
「ふっ、安定のシルグランディアだな、むしろ最高じゃないか」
「ええ! これこそって感じがしますね!」
 女性陣はすべからく絶賛中。そして仲間内の男性陣は――
「なんか、慣れたな――」
「ですね、慣れって怖いものです」
「しかし――あんな恰好でもよくやるよ」
 と、呆れ気味ではあるのだが、彼らは――
「でも、それでもなおいつものエメローナさんは健在だな! むしろなんだか強さを感じるよ!」
「そうです! あれこそが彼女の持ち味! しかも女神脚を堂々と主張しているあたりはまさに最強を謳っているかのようです!」
「だな、あれで最強を語らせたら誰ももんくは言えねえな、流石は精霊シルグランディア様だ」
 やはり絶賛していた、ガーリーなシルグランディア様は妙に人気が高かった。
「僕、目を閉じてるよ!」
 と、ザード……目を瞑って手で押さえている。 地獄蹴りの現場は子供には見せられない……ということだが、果たしてこれは意味があるのだろうか。