ドラゴン・スレイヤー ~グローナシアの物語~

第4章 世界の綻び

第92節 メロリアの真相

 150年前の話。
「とりあえず、命だけはとりとめたのよね。 あとは経過観察……ってところだけど――」
 エメローナは話をしていた、相手はオルダナーリアだ。
「なるほど、ですが――誰が御覧になるんです?」
 そう言われてエメローナは悩んでいた。
「しまった、私としたことが……。 ならしょうがない、早めに精霊界に戻ることを考えていたんだけど、 ちょいとばっかしここに残らんといけなくなったってワケね。」
「ええ、よろしくお願いしますね!」
「ふふっ、そこいらの上位の精霊と違って抜け目ないわね、 オルダがいてくれるおかげでこの屋敷は保っているようなものよ、頼りになるわね!」
「うふふっ、お褒めにあずかり、光栄でございますわ、シルグランディア様♪」

 それから5年経ったある日のこと――
「ふぅ、ただいまー! さてと、今度は何しようかなーっと……」
 エメローナはシェルベリアの家に戻ってきた、するとそこへ――
「エメローナさん! 大変です!」
 オルダナーリアが焦った様子で玄関までやってきた。
「ちょっと! どーしたっていうのよ!」
「あの子が! あの子の様子がおかしいのです!」
 あの子って――そうか、まだ名前をつけていないんだっけ、エメローナはそう思った。

 2人は慌ててやってくると、そこには――
「一体何があったっていうの?」
 エメローナはそう言うと、オルダナーリアは――
「そ、それがなんだかおかしいんです! とにかく、見ていただければ!」
 そう言うが、見てわかるものなのだろうか、そう思いつつエメローナはその子供を見ると――
「……え、あれ……?」
 確かになんだかおかしかった。
「せ、先日まではこんなことになっていなかったハズです、 なのに、今日になってどうしてこのようなことに――」
 すると、エメローナは冷静になって考え――
「プリズム族……」
 と、一言、どういうことだろうか。
「第4級精霊、高位の精霊に近しい身体の精霊だから身体の作りはよりマナの力を取り込むための体にするためにある程度柔軟にできているのよ。 この子もまたそれに連なる存在、だから身体が大幅に破壊され、命の危機に瀕していてもなおかろうじて生命を保つことができていた。 そして、その破壊された部位を補うための部品もあらゆる精霊族のものを使えるのもまた高位の精霊に近しい身体の精霊ゆえのこと、 だからそれを補うために――」
「……プリズム族の身体を使ったということですか」
 エメローナの話にオルダナーリアはそう訊くとエメローナは続けた。
「プリズム族は種の保存のための一環として自分たちの女性の臓器を保存するということをやっているからね。 必要なのは基本的に臓器だけど、臓器の保存のために身体ごと保存している場合もある。」
「つまり、その身体を使ってその子の身体を補ったのですね?」
 そして、それにより――エメローナは続けた。
「どうやら、この子にもプリズム族の女性の身体としての特徴が表れてしまった……と考えるのが妥当ね。」
 ということである。だが、それはそれで大きな問題があった、それは――
「しかし、それはいいのでしょうか!? だって、この子は――男の子ですよ!?」
 そう……子供は男の子、観測者の”息子”なので男の子のハズである。 その子の身体に現れた特徴は明らかに女の子のもの……まずは胸が出てきていたという変化である。 さらに確認すると、身体が全体的になんだだか丸みを帯びたような感じに――
「補った身体のパーツが完全にこの子に適合してしまった形でこうなってしまったのね、 欠損部分が大きかったせいで臓器も譲ってもらったんだけど、こんなことになるなんて――」
 2人は悩んでいた。

 だが――その子はそれ以後――
「うふふっ♪ あははっ♪ あー! 見て見てお姉様ー♪」
 あの子が呼んでいる。
「ほらぁー♪ このワンピース、可愛いでしょー♪」
 なんとも女性的だった。
「ったくもう、あんた、男の子だったハズなんだけどなー?」
「違うもん! 私は女の子だもん!」
「あら! 言われてみれば確かにその通りねぇ! だって、こんなに可愛い服が似合うんだもん!  それなら、女の子に決まっているわよねえ!」
「わーい♪ おねーさまー♪」
 そして――その子は女の子としてすくすくと育っていったのだった……。
「うふふっ♪ 女の子って楽しいです♪」

 そして、それから約150年後はグローナシア歴992年、つまりは現在――
「えへへ♪」
 メロリンちゃんは照れていた、そう、何を隠そうこの子こそが――
「な!? お、男だって!? しかも……え、150年も生きてるって!?」
 カイルは身構えるかのように驚いていた。
「違うもん! 女の子だもん!」
「そうよねぇ♪ だって、こんなに可愛いんだもん♪  それなら、女の子に決まっているわよねえ♪」
「わーい♪ おねーさまー♪」
 当時と同じやり取りすな。
「うふふっ♪ 女の子って楽しいです♪」