そうか、わざわざシェルベリアの者に奪わせるという実績作りのためにエメローナもフレアもカイルにアーティファクトを預けたのか。
「だからって本当に奪わせなくたって――」
「シルグランディア相手にそれを言ってもムダだな、
なんせ、ディテールにもこだわるのがルグランディアだからな」
カイルはぼやいているが、フレアはそう言った、いや、ディテールって……
こだわり方が違……はっ!? そういえばカレーを作る材料で肉じゃがをっていう件があったっけ!?
それを考えると――うーん、やっぱりどう考えても総じて変な人だな……。
「と、ところでさ、バルファースたちはどこに?」
カイルはそう訊くとフレアは答えた。
「あの海賊はバーで酒を飲んでるぞ、グローサルはスイーツに興味があるようだしな。
ディウラはカイルが鼻の下を伸ばしている光景を見ないことにことにしておきたいってことで買い物にしゃれこんでいるし、
子供には見せられないってことでザードはディウラと一緒だ」
えぇ……ごめんディウラさん、ザード……。
「だが……お前、なかなか隅に置けないじゃないか!」
うっ……なんか、今度はからかってくるつもりか……フレアは意地が悪そうにそう訊いてきた。
「メロリンちゃんとか言ったか、可愛いじゃないか。
カイルはああいう女性が好みなんだな」
や、やめて……カイルは悩んでいた。
「んなこといったって! フレアにはわからないだろうな、男にはとにかくたまらないんだよ――」
フレアは頷いた。
「わからんでもないけどな。
特にエメローナだな、彼女は特にかわいいものが好みらしい、それが男だろうと女だろうとな。
しかも、自分が男だったら可愛い女の子には飛びついているなどと言う……
それこそ私にまで飛びついているなどと語る始末だ――」
あの人そういう人なの!?
「だから自分は性別女、カテゴリ男っていう生き物なんだそうだ。
だが、それを言うと私も似たようなものだ、私たちは似た者同士なんだろうな」
言っていいのかわからないけど、確かにフレアと一緒に話をしていると、
男勝りなところも相まって男と話している気がすることもあったカイルだった。
「それにしても、本当にアーティファクトを2つともそろえるとはな――」
2つ!? まさかこの町のアーティファクト!? もう一つはいつ!?
「エメルナがかつて戦利品として持っていたものらしい……つまりは盗品ということだけどな」
あの女盗賊……どういう経緯かわからないが相当の手練れだったんだな。
「ものをまだきちんと確認していないんだが、後で確認しておくとするか――
さて、厚意に甘えて汗でも流してくるか――」
そう言いつつ、フレアはその場を去っていった。
「うーん……なんだか話がトントン拍子でうまくいくなぁ……」
カイルは冷や汗をかいていた。
カイルは急にどっと疲れが出てきたのか、その場にあったソファーにうなだれていた。
「ったくもー、なんか利用されたりして妙に腹立つなぁ――」
そこへメロリンちゃんがやってきて隣に座った。
「ごめんねカイルさん! でも、カイルさんっていい人だね! いろいろと助かっちゃった! ありがと!」
彼女はそう言うと、カイルは彼女のほうに顔を向けた――
あれなんだろうか、確かに彼女は可愛い……とにかく可愛くてちょっと好きって感じこそあるが、
何故かわからないが以前と違ってなんか引き込まれるような感じがしない……
前はなんか滅茶苦茶好きって感情ばかりが半ば暴走気味で彼女のためなら何でもしてあげたいって気持ちにしかならなかったのに、どうして――
「それは”誘惑魔法”のせいね。」
と、エメローナが現れていった、誘惑魔法! まさか――
「フレアとディウラがその手の種族だってこと聞いた?」
エメローナはそう訊いてきた、え、てことはまさか――
「彼女もそうなのか!?」
カイルはそう訊いた、だが――
「正確には、プリズム族の能力を獲得した存在っていうのが正しいのかな?」
と、メロリンちゃんが言った、なんかややこしい存在なんだな。
「けど、メロリンちゃんってば、ずいぶんとその力をものにしたようね♪」
「うん♪ そうみたいだね♪ 私、この力を正しく使うことにする! プリズム族らしくね!」
「メロリンちゃんならうまく使えるわね!」
でも、それってプリズム族の血である必要があるとか……どうだったっけ? カイルは考えていた。
「もちろん、だから彼女はプリズム族の血が流れていることは間違いないわね。」
え、どういうこと!?
「お姉様、そろそろカイルさんにも教えてあげましょうよー♪」
「あら、言っちゃうの?」
「んだって、別に隠していることではないですからねー♪」
え、何を?