そしてミリエラ――
「うーん……あんた、全然大きくならないわねえ――」
「あははっ! おねえちゃーん♥」
だが、カワイイ……メロちゃんも捨てがたいがこの娘も――何を悩んでいるエメローナ。
「エメルナが24歳、レオーネが30歳、メロちゃんが……あの娘は例外ね。
それなのに、あんたこれで37歳なんですって?」
「そうなんです! それなのにこんなフリフリな子供服、痛い女ですよね!?」
エメローナは言われて悩んでいた、むしろ似合っているし、服装は最適解だな、と。
ミリエラの着ている服はもはや子供服だった。
「若い姿をしているに越したことはないんですけど、だからってこんな――」
エメローナは頷いた。
「確かに、子供にしか見られないわよね。
これはどう考えても小学生の女の子って見られるのがせいぜいだしねぇ……」
「そうなんです! 私、これでも一応大人なんです! なんとかならないかなぁ……」
すると――エメローナは薬のビンを出した。
「そう思ってさ、こういうものを用意してきたのよ。
まさに精霊様の薬、魔法とそして化学の力を融合した私にしかできない最強の薬よ。」
魔法と化学の融合……まさに真の創造精たる存在のみが成せる業か。
「ま、魔法っつってもそれもあくまで化学みたいなもんだけどね。」
あんた最強です。
「これ飲めば大きくなれます?」
「うーん、なかなかの難病だからそこはなんとも言えないけど――
ま、今に比べればまだ全然マシなほうなんじゃないかしら?」
「早速、飲んでみてもいいですか?」
「多分激マズだから、味を調整したほうがいいわね。」
「だったら私、ちょうどお昼なので料理してきます!
どういう味ならマズさを抑えられますかね?」
そして、そんな4人で結成されたのがティアエン……
そう、ラヴリッシュ・ティアーズ・エンジェルだった。
プロデューサーはもちろんエメローナ、伝手の伝手をたどって地下アイドルとして成立。
エメローナは例によって基本は精霊界にいるのでサブプロデューサーであるティラキスにすべてを預けているが、
彼は基本的にはシェルベリア家の使いであるため、特にあれこれと指示する存在ではなく、
主に彼女らとエメローナの指示通りに動く役目である。
「旦那様に置かれましては大変良くしていただきました。
私はただ旦那様の言いつけ通り、彼女らとエメローナ様の指示に従うまでです」
ティラキスは丁寧な物腰でそう言った。
「なるほどな、ということはみんな行き場を失った女性たちってわけか――」
カイルは彼女らの存在に納得した。
「じゃあ、メロリンちゃんがシェルベリア家の正当な後継者ってこと?」
カイルは改めて聞くが、彼女は首を振った。
「ううん、私も本当は孤児なんだ」
ということは、シェルベリアの血筋の者はいないってこと?
「いるわけないんだけどね。
そもそも150年前ぐらいに亡くなってるけど、子供作ってなかったからね、あいつ。
さらに言うと、その前の代のシェルベリア家当主も子供作ってないから孤児を育てて後継者にしているし。
ま、いずれも”観測者”であるがゆえの価値観が生み出した御家柄ってところよね。」
なるほど、人間みたいに血とか権力とかそういったのに固執しないような種族がやっている家だからこそということか、
それはそれは――
「だからそんじょそこらのうまい話には簡単に乗っかりっこないし、
それでも万が一を考え、アロザルトの話に耳を貸すなって私が指示したってワケよ。」
完璧です。
そして今はこの4人の女性がシェルベリア家を支えている……
いや、そのうちの1人は嫁いでいるが、それでもつながりはあるようで、このとおり家に集まっている。
そしてそのバックには大御所様、つまりはエメローナががっちりと……
すると、後ろからぞろぞろと――
「……え!?」
「カイルー! メロリンちゃん相手に鼻の下伸ばしすぎー!」
「ふっ、だらしがない男だ」
なんと、パティとフレアだ! しかもオルダナーリアまで!
「なっ!? いつの間に!? というか、どうしてアーティファクトを!?
わざわざ俺を経由してメロリンちゃん……メロリアさんに奪わせるようなマネを!?」
エメローナは頷いた。
「もちろん、アロザルト家にアーティファクトの話をするうえであの手この手で”奪い取った”という裏付けを作るためよ。」
もはやこの女、手に負えない……。