ドラゴン・スレイヤー ~グローナシアの物語~

第3章 東の大陸へ

第70節 合流

「と、言うわけなのよ。」
 エメローナはその一部始終を語っていた、誰に?
「わざわざ精霊界飛び出してまでやってくるとは相変わらず無茶というか……」
 彼女はフレアだ、そう、クラック・アルコズにてフレアは彼女と合流したのだ。

 大嵐に見舞われたクラック・アルコズ、早朝のうちにアーティファクトを回収したエメローナ、 大嵐もとい”天狗風”の原因になっていたアーティファクト”天の風琴”を回収したことで嵐は収まると、 その機に乗じてフレアたちはアルコストレイディオを発ち、アルコズ・ルートを登ってきたのだった。 とはいえ、しばらくはアーティファクトがしばらくその地に残っていた影響が残るため、 これで直ちに解消というわけにはいかないようだ。
 そして登頂を開始したフレアたちはそのまま頂上まで登りきると、 目的のブツを見つけ出して回収、その際にフレアは単身エメローナの姿を見かけて現在に至るということである。
 そんな様にクローザル……あのリッチはひたすらビビっていた。
「シルグランディアとフローナルが一堂に会している……私は殺されるのか……?  否、おとなしく言うことを聞いていれば問題はないハズ……そのハズなのだ――」
 ご愁傷さまです。するとそこへフローナルが――
「おい、そこのリッチ!」
 呼ばれて至極ビビっていたリッチ、恐る恐る振り向くと――
「なるほどな、流石は万物の創世手と言われるシルグランディア、細部にまでこだわっているな」
 それにはシルグランディアが得意げに答えた。
「まあね♪ それにせっかくだから若くてイケメンのやつがいいに決まってんでしょ♪  若いころは結構モテたんじゃない?」
 そういわれてクローザルは考えた。
「うーん……どちらかというと、私は根暗なほうでしたからねぇ、 当時の魔導士なんていうのは得てしてそういうものです。 色恋話なんて言うものとは疎遠なもんです」
 フレアは訊いた。
「おかかえの魔導士?」
 クローザルはうなずいた。
「古クラロルト王国の宮廷魔導士でしたね」
 それにフレアは訊いた。
「そういえば、クラロルト王国の宮廷魔導士に”魔力の渦”って呼ばれる使い手がいたそうだが――」
 それに対してエメローナが答えた。
「それ、こいつですって。 こいつがリッチにとして現世に留まっているのもそういった事情を含めてのことらしいのよ。」
 クローザルは当時はまさかの高尚な使い手だった。

 一路、そのままアルケリアへ。
「で、どういう知り合いだって?」
 カイルは改めて訊いた。
「んなもんわざわざ訊かんでもわかるでしょ、 フレアのこと知ってんならつまりはそういうことよ。」
 カイルは悩んでいた、見た目こそ最高だが性格はずいぶんと…… インパクトとしては十分すぎるほどだった。
「フレアってなんだか素敵な知り合いがいるのねえ!」
 ディウラはそう聞くとエメローナは反応した。
「あら! フレアに負けず劣らすの美人さんねえ! なるほど、プリズム族なのね!」
 あんたもだろ、そう思いたいところだが最初の発言がすでにいろいろと台無しにしていた残念な美女である。 しかも男女で反応が違うし。
「わあ! フレアさんと同じぐらい背が高い! お姉さまだあー!」
 と、パティ……女性陣に人気だし。
「まあカワイイ! おいそこの男! 手ぇだしてねえだろうな……」
 出してないよ! カイルは焦っていた、そもそも年上だってことに驚いている状態である。 だが、そんなことより――
「あなたが噂のケモミミショタね♪ 確かにカワイイわねぇ♪」
 ザードに食いついたエメローナ、ザードはパティが抱きかかえていた。
「そうなんですよ♪ ザード君ってカワイイんですよ♪」
「あら! ザード君っていうのね! マジカワイイんですけど!」
「お姉さまも抱いてみます?」
 彼女らに促され、エメローナもまたザードを無茶苦茶愛でていた。カワイイもの大好きお姉さんである。