話は続く。
「ところで……そういえばフレアに対するディーマスの反応ってどう?」
ディウラは訊くとフレアは心当たりが大ありだった。
「あの性格だから女に手を出すのが早いと思ったんだがむしろ私は避けられている感じだな、
やはり、そういうことか?」
どういうこと?
パティは訊いた、確かになんかフレアの言うようなイメージがあったが、
フレアとは少々距離を置いているよう思えたパティだった。
すると、ディウラは嬉しそうに答えた。
「本人を前にして言えないけど、そういう優しいところだけは変わっていないのね――」
要は、ディウラと同じ”ニオイ”のする女、つまりプリズム女とは距離をおくことで、
ディウラに傷をつけないように配慮していることの現れということである。
彼女とは婚約を解消した、だから将来は彼女とは別の女性と一緒を選ぶことになるのだろうが、
婚約を破棄した女性と同じような女性を選んだら何のために婚約を破棄したのか、
ディウラに対して失礼だと考えたディーマスはディウラと同じニオイのするフレアを避けているのだそうだ。
「ふっ、ただの海賊崩れのクセにいいところがあるじゃないか」
「ホント! 海賊のクセにいいキャラしてるじゃん♪」
フレアとパティは絶賛していた。確かに本人に言ったら怒り出しそうな話題である。
翌日……フレアはバルファースと廊下でばったりと出会った。
「よう。あんた、あれだろう? ディウラと同じ――」
まさか自分から話題を振ってくるとはフレアは唖然としていた。
「あの女を知らずに言える話じゃねえからな」
確かにその通りだが。
それがどうかしたんだろうか、フレアは訊くと――
「いや、大した事じゃないんだが……話はそれだけだ」
何だあいつ……フレアはそう思ったが――
まあ、事情が事情なのでこの際それでいいことにしようかと考えた。ただし――
「私を避けているのはどういうつもりだ?」
フレアははっきりと聞いた、すると――
「最初に会った時からおっかないんでな、
それだけに大事な使命を抱えている……繊細な事情のようだ、
だからあえて触れないでやるのが正解かと考えただけだ」
そう来たか――フレアは考えた。
「なるほど、気遣いしてくれるというのか、ありがたいことだな」
バルファースは頭を掻いていた。
「いいってこと」
彼はそう言いながらその場を去って行った。
いや、あれは昨夜ディウラが話していたとおりの理由だ……フレアは考えた。
朝食、カイルとバルファースは食べ終わり、レストランから出ようとすると、
とある一角での光景を見て唖然としていた。
「あれは将来どんな大人になるんだ?」
「確かに、まるっきりハーレムだな――」
それはザードが女性3人に囲まれておいしそうにご飯を食べている光景である。
「ま、楽しそうだから何でもいいんじゃねえか?
それに、あのガキにしてみれば大人のお姉さんに憧れる年ごろだ、
お前だってそうだろう?」
えっ……カイルは悩んでいた。
「お、覚えていない……そういうバルファースこそ、そうだったのか?」
「俺も記憶はないけどな。
だが、うちは特殊だったから大人のお姉さんと戯れるような環境さえなかったかもしれないな」
じゃあ何なんだよ――カイルは思った。
だが、ザードの光景を見るなり、確かにバルファースの言う通りなのかもしれないと思った。
そうだよなあ、子供だったら普通は甘えたい年ごろだもんな……。
「俺らは俺らで支度するか」
バルファースはそう言いつつ、出ようとすると、カイルも続いていった。
「なあ、ディウラさんとは寄りを戻さないのか?」
「戻すも何も、最初っからそんなものはねえよ」