ドラゴン・スレイヤー ~グローナシアの物語~

第2章 名もなき旅の序章

第27節 三つ巴

 爆炎が少しずつ収まると、その陰から――
「おっと、こいつは――」
 そこから男がそう言いながら現れた。
「どうやらこいつはいきなりアタリを引いちまったようだな、だが――」
 と、今度はカイルたちを眺めながら言った。
「まさか先客がいるとはな、まあいい――」
 と言いつつ男は懐の銃を取り出すと――
「そっちから宝の匂いがするな、 さあ、命が惜しけりゃ持っているものをその場に置くんだ」
 と、フレアに銃を向けるとそう言った、フレアが咄嗟に何かを隠そうとしたのを見抜いていたようだ、まさかこいつは――
「お前が海賊か」
 フレアはそう言うと男はすんなりと「そうらしいな」と答えた。 それと同時に男の背後から2人が現れると、片方は小柄だが杖を携えており、もう片方は大きな槍を持ってどっしりと構えていた。
「お、お前!」
 カイルは海賊に向かってそう叫ぶと男は言った。
「カイルか、こんなところで会うとは奇遇だな。 でも、悪りいがこちとら商売なんでな、今回ばかりは諦めてもらおうか」
 まさか、カイルの知り合いの海賊なのか!? しかし、今回はどうやら巡り合わせが悪かったようだ。
 しかし、今回の巡り合わせはとことん悪かったようで――
「どうやら夜行性の連中を起こしてしまったようだな」
 と、フレア……カイルたちがやってきた通路から無数の足音が!
「逃げようよ!」
 ザードは海賊たちの後ろに回り込むと、彼らが出てきた壁穴へと飛び込んだ!
「やれやれ、タイミングが悪りぃな、どうやらそこの小僧の言う通りにするしかなさそうだ――」
 と、海賊もおもむろに壁穴へと引き返していった。
「フレア! 俺達も!」
「……選択としてはそっちが正解か――」
 おやおや、何かありそうだ。

 だが、その正解が何なのかはすぐにわかる。
「うわあもう! しつこいなあ!」
「ったく、今日はとんだ災難な日だな――」
「クソっ、マジか……」
「やれやれ、もう昼飯の時間なのか?」
 ザード、海賊、カイル、フレアはそれぞれそう言った。 そう、外も大勢のコボルトに囲まれていたのだった――
「ワレワレノタカラヲ返シテモラオウカ!」
 すると、海賊はおもむろに――
「ったく、まだ盗ってねぇんだけどな!」
 といいつつ、何かを地面にたたきつけ――
「フレア! ザード! 伏せろ!」
 閃光弾だ! カイルが言うとフレアも咄嗟に反応し、腕を使って目を塞いだ!
「わわわわわっ!」
 だが、ザードは反応が遅れた――
「カイル! このまま北に走れ!」
 海賊はそう言いつつ、他の2人を連れてコボルトたちを尻目にそのまま北へと走って行った。
「フレア! 俺達も行こう!」
 カイルはそう言って促し、 フレアは閃光で目がくらんでしまっているザードを抱き上げるとそのまま2人は海賊を追って北へと走って行った。

 コボルトたちは一歩出遅れてたものの、それでも彼らを執拗に追いかけてくる。
「そういえば北に向かったのはいいが、どうして北なのだ?」
 フレアは疑問をぶつけた、言われてみれば……カイルも悩んでいた。
「見ろ、やつら来るぞ……」
 と、海賊は促すと、そちらのほうからもコボルトたちが――
「集まってきているな……」
 フレアは悩んでいた。