ラスト・プレリュード ~運命の黄昏 忘れられし物語~

第3章 真に邪悪なる存在

第34節 こんな時でも――

 穴の中はまさしくそのままの竪穴構造で、地上から垂直に地下へと穴が伸びている。 その穴には地下まで降りれる足場があったが、これはこの地の開発の跡らしく、足場は結構しっかりと作られていた。 とはいえ、規制線があったようにその後は何らかの事故があったことで放置されたことは想像に難くない。
「地下都市でも作ろうというような勢いだな、これ――」
「地下都市ってことは、地下が広がっていりゃらしくはなるんだがなぁ」
 ライズとクオラールはそう言うと、
「ほんとだ! 地下は広いよ!」
 穴の終点、そこには地下の広い空間があり、フェリンは両手を広げてそう言った。
「マジかよ――」
 男2人は声をそろえてそう言った、これは軽い探索程度では済まなそうな広さだった。

 フェリン・ヴィラネシアの隷の2人は、 地上から差し込む光に照らされて神々しく輝いている女神様を眺めつつ、 広い空間の隅々を探索していた。自発的に。
 フェリンは周囲を見渡しながら怪しいところを確認していた。
「ライズー、何かあったー?」
「なんていうか、部屋みたいなのが多いな。隠れるにはもってこいな構造だぞ」
「じゃあ、クオラールは?」
「こっちもだいたい同じような作りですぜ! お嬢様!」
 フェリン・ヴィラネシアの手足はいい具合に働いていた。
「あんにゃろ、確かに近くにいるのはなんとなくわかっているんだが隠れてやがるな!  俺もお前とケリをつけたいんよ! だから隠れてないで出てきやがれや!」
 クオラールはそう叫んでいた。
「なあ、あいつってジェラレンドと何かあったのか?」
 ライズはフェリンに訊いた。
「ジェラレンドだからねー、みんな、それぞれ何かしらの因縁はあるワケよ。 それこそザールもジェラレンドとは何かしらあるのよ」
 ジェラレンドは世界支配を目論むやつ――ほかの連中を下に見ている感じらしい。 自分以外はどうでもよく――ということを考えれば大体お分かりいただけるだろうが、 つまりはやつに関わったやつはみんな何かしらの嫌な思いをしているってわけである、 確かに、それはみんな嫌いなわけだ。

 そして、ライズがとあるポイントに立った時だった。
「ライズ! そこで止まって!」
 ライズはピタリと止まったが――
「違う! もう1歩後ろ!」
 えっ? えっ?
「もう半歩ぐらい!」
 ど、どこだよ!? ここか? とにかく、彼女に言われたとおりにした。
「クオラール! ここよ! こっちに来て!」
「ほい、来た! お嬢様ァ!」
 すると、クオラールはライズの目の前に来て、その場で地面を破壊した! するとそこには大穴が――
「ジェラレンド! そこにいたか!」
 クオラールはその穴に飛び込んだ、まさかジェラレンドがこの下に!?
「ライズ、覚悟はいい?」
 フェリンがライズの隣に来てそう言った。 当然、ここまで来て引き下がるつもりはない、ライズはクオラールに続いて穴に飛び込んだ。

 穴の中、暗闇の中へと3人は侵入した、もはや光すらも通さないような深い闇の中へ。 しかし階層はさほど深いわけでもなく、この空間だけがとにかく暗闇に包まれていただけだった。
すべての光の存在を許さない真っ暗な空間、この中にジェラレンドがいるというのか――
 しかし、いきなりその場は光を帯び始めた!
「!? なんだ!?」
 びっくりして光源があるらしい後ろを振り返ると、なんとフェリンの身体から光が放たれているではないか!
「どお? これで見えるかな? なんか身体が光るっていうのも変だけど――」
 その様、まさに女神のごとき姿で、なんというか、 ライズとはまったく次元の異なる存在であることを暗示していた。
 それ以上に、とにかく神々しく美しい―― さらにそれ以上にいつものあちこちの部位がいつも通り見え……エロライズもエロラールもいつもこんなもんである。

 するとその時――
「まったく、キサマは一体どうなっているのだ? 創造主も厄介な者を創造してくれたものだ」
 この声! もしや、この声の主がジェレランドだというのか!? ライズとクオラールは驚きつつジェレランドを探した。
「ククッ、下賤の者にはわからぬか――探さずとも私は目の前におるというのに」
 目の前だって!? 目の前には――ただひたすら闇の世界でしかないのだが――
「まったく、そんな姿になってまでこの世界に固執し続けるだなんて、アンタもよっぽどの物好きね」
 と、フェリンが言った、まさか――
「フッ、そもそも物好きもでなければ世界を支配しようだなどとは思わんぞ。 そういうわけだ、さっそくで申し訳ないが、私がこの世界を支配するための礎になってもらおうぞ!」
 そうか、こいつはもはや闇そのものという存在か。 そんな闇のような体を成しているジェレランドが襲い掛かってきた!
「ジェレランド! 今度こそキサマを、この俺が成敗する!」
 クオラールは妙に意気込んでいた。