イーグルガンとはだいぶ距離を縮め、接近距離にまで間合いを詰めたところで、その場は展開した。
「さてと、遊びは終わりだぜ、このアホウドリめ!」
方舟の上部が開くと、そこからクオラールが出てきた。
それに対してすかさず、イーグルガンは自らの武器をこちらに向けてきた!
「おっと、そいつはしまったほうがいいぜ! この女の命が惜しければな!」
まさか――
「いやあっ! 誰か助けてー!!」
クオラールは自らの刃を、なんと懐にいるフェリンの喉元に向けた!
「フヘヘヘヘ……それにしても、殺すのが惜しいほどのいい女だナァ! だが、こうなっちまえば仕方がねえ!」
「お願い! 助けて、助けてーっ!!」
フェリンは求めるようんそう訴えると、イーグルガンは撃つのをためらっていた……効果ありか!?
「まさか聖獣様とあろうものが、女一人も助けられずに見殺しにするとはなんてひでぇ話なんだろうなぁ~、
こいつは後世にまできちんと伝えにゃいかんなぁ~」
クオラールは得意げに言っていた。
「さて、どうするよ? おとなしく俺に従えばよし、さもなくばこの女の命――」
と、その時、イーグルガンはスキを突いて、方舟の船体を押して傾けた!
「ななっ!? おっとっと!」
するとクオラールは大きくよろけ、それと同時にフェリンを方舟から突き落とした! イーグルガンは焦っていた……
「フハハハハハハ! やりやがったなテメェ! あの女、地面に突き落としてやったぜ!」
そして当然のごとく、イーグルガンはフェリンを追うために慌てて急降下! 彼女を助けに行った!
「ウハハハハハハ! 落ちろ落ちろ落ちろー!」
クオラールも徹底的だった。
イーグルガンはとにかく落ちていく女を助けることに集中していた、
果たしてイーグルガンは助けられるのだろうか!?
「くっ、間に合うかっ――」
イーグルガンは必死だった。
「もう少しだ、もう少しで――」
フェリンは目と鼻の先、もう少しで届きそうだ――
「よし、もう大丈夫だ」
イーグルガンはフェリンをその大きな腕で抱え上げると、冷静にそう話しかけた。
「えっ!? あっ、ありがとう、イーグルガン様、私――」
「いいんだ、それより――しっかりつかまっていろ」
「はっ、はい! イーグルガン様!」
そしてその後、ライズとクオラールは遠くからイーグルガンが罠にかかるまでの一部始終を見届けていた。
イーグルガンがランゲイルに着地してフェリンを下ろすと、
ヴィラネシアはすかさず”女王様のムチ”を取り出し、イーグルガンのハートを打ち込んだ。
その後、イーグルガンはヴィラネシア女王様を背に乗せ、
女王様の意のままに方舟のもとにやってくると、ランゲイル島の方舟の着陸ポイントまで誘導していた。
「うふふっ、お利口な小鳥さんね♪」
フェリンは可愛げにイーグルガンにそう言った、イーグルガンはフェリンに夢中だった。
「女神様! 俺は女神様の小鳥! 女神様のためだったら何でもする! なんでも言ってくれ、女神様!」
本当に聖獣であるハズのイーグルガンまで隷にしてしまうとは――ライズはそう言うと、
フェリン――ではなく、ヴィラネシアが言った。
「初めてじゃないからねぇ。
つまり、この”思春期のボウヤ”は元々この私の隷なのよぉん♥
ねえボウヤ、久しぶりにこの私を感じて嬉しかったでしょう? ほらぁ、言ってごらんなさぁい♪」
「ヴィラネシア様、マジ女神! ヴィラネシア様、超サイコー! ヴィラネシア様、俺のすべて!」
イーグルガンは夢中というか、完全に彼女に心を奪われていた。
3人は方舟から降り立ち、ランゲイルの地を踏んだ。
そこは島の外側にある森の中で、その近くに問題の遺跡があるらしい。
「さて小鳥さん! 言った通りにしてね!」
「はい! 仰せのままに! 女神様!」
小鳥さんは飛び去った……言った通りって何だ?
「テザンドみたいなジェラレンドの手下がもう一人いるハズなんだけど、
この状況ならここに向かってきてもおかしくはないのよ。
だからここに侵入次第、小鳥さんに退治してもらおうと思ったのよ」
抜かりはないな。
「それにしても名演技だったわよ、クオラール!」
「お嬢のためならなんなりと!」
それに引き換え、クオラールは悩殺されているというより、ほぼ素に近い態度のような気がする――。
町へと向かわず、直接遺跡の入り口へとやってきた一行。
遺跡の入り口はすぐに分かった、”入るな危険”と書かれた規制線のテープが張られており、
その奥の地面に大きな穴が開いていて、そこから入れそうだ。
「この穴がかつて邪悪というのが出てきた穴なのか?」
ライズは訊いたが、答えはそう”らしい”ということしか言えないらしい。
もはや”七魔性聖”をもってしても伝承レベルでしかわからない出来事ってことか。
「伝承レベルで伝わっているハズなんだが、その間、この穴については全く対策されておらず、
見ての通り規制線だけという状態だけが続いている、という話は聞いたことがあるな」
クオラールはそう言った。
この穴自体はそんな伝承レベルぐらいの昔のことではなく、
割と最近になって急に現れた大穴、つまりは意図しない事故によるものらしい。
しかし、その中には謎の遺跡が眠っているようで、古来より邪悪の眠る島と言われていたこの島、
誰も関わりたくないということで手つかずのままということらしい。