ラスト・プレリュード ~運命の黄昏 忘れられし物語~

第3章 真に邪悪なる存在

第29節 元凶のもとへ

 ライズたちは再びクオラールの乗り物に乗り込んだ。これはクオラールの隷で”方舟”というものらしい。
「あんたもヴィラネシアの隷になったんだってな?」
 ライズはそう訊ねるとクオラールは得意げに答えた。
「そうだぜぇ? いやぁー、お嬢様のためにお仕えできるのなら、こんな幸せなことはないぜぇ! 今まで”七魔性聖”としてこの世界を蹂躙することばかり考えていたのがウソみたいな生活だよなぁ!  ホント、マジでさあ、今の生活のほうが充実した日々を送られているんだぜー!?  わかるか? っつってもお前さんならわかるだろうなぁ!  お嬢様のためだったら、俺、何でもするぜぇ! お前さんだってなんだってするだろー!?」
「もちろん! フェリンの大きなおっ○いとあの綺麗な脚をずっと眺められるのならなんだってするさ!」
「だぁーろぉ!? あの身体のセクシーなラインとかもすっごくいいんだよなぁ~♪」
「そうそう! ヴィラネシアの時のあれな! 服が透けてて下着姿が見えるんだよなぁ!  あれ、本当にやばいよな! ああー、もう一度見てみたくなった! フェリンー、見せてくれないかなー、フェリン――」
「どうしたの? 私のこと、呼んだ!?」
「えっ!? いや……なんでもありません!」
 ライズは慌てていた。 クオラールは我関せずな態度でそのまま黙って前だけを向いて自分の乗り物を操作していた。 いくらなんでも流石に下品すぎるのはいかんだろう、2人は慌てていた。
 その様子を見てフェリンは首をかしげていた……そのしぐさも可愛くたまらないライズとクオラール、 男受けするための身体をしているとはよく言ったもんだけど、まさにそれである。
 とにかく、エロライズとエロラールは必死に平静さを保っていた。

 その途中、レサレフトでワイアンドを拾い、今度はそのままヴァルナジアの西のほうへと向かった。
「なんだあれ? 何かいるぞ!?」
「おお、やってんな!」
 ライズとクオラールは反応した。 そこにはだだっ広い平原で2人の戦士がバトルを繰り広げていた。しかしその姿には見覚えが――
「もしや、ザールとザマドスでは!?」
 ワイアンドは気が付いた、そいつらはザールとザマドスだった。
「ザールにはザマドスを探して倒すように頼んであるのよ、ひと気のないところで。 予定通り、ザマドスを捕まえたようね」
 と、フェリンは言った。なるほど、フェリンことヴィラネシアの差し金か。 いや、差し金というよりは命令というべきか、今やザールもヴィラネシアの隷――
「ザマドスならザールでも十分だろう、時間の問題か――」
 と、クオラールは冷静に指摘した。 ザマドスは腕力自慢で相手をなぎ倒すのが得意だが、ザールは搦め手が得意…… 真正面から突撃するザマドス相手なら搦め手で翻弄してしまえばよいということ―― ザールとしては戦いやすい相手ということか。
「それにしても、あれだけの猛者があれほど苦戦している様をみるのもなかなか珍しいことですな」
 ワイアンドはザマドスの様を見て冷静にそういった。確かにその通りかもしれない。 ザマドスとくれば……ハンターたちの間でも結構苦戦していてなかなか斃せない相手だ、そう考えるとその通りかもしれない。
「クオラール! 私たちをヴァルナジアに降ろしたら、ここにきてザールを手伝ってあげて!」
「お安い御用でっさ、お嬢様!」
 とにかく、ライズたちはそのままヴァルナジアのほうへと向かった。

 ヴァルナジアへ到着すると物々しい様子だった。
「ファザット! 何があったんだ!?」
 ライズはファザットから話を聞いた。 兵士たちはファザットの指揮の下でお城の外でお城にいた人々をトライトの町へと誘導していた。
「気をつけろよライズ! お城の中から魔物らしきものが現れたんだ!  なんていうか、仮面をかぶったような奇妙な敵だ! 魔法を次々と発射してきて厄介なやつだ!」
 フェリンが答えた。
「ジェラレンドがフェイス・ドライブを発動したのね。それより、大臣が管理していた積み荷を全部暴いて!」
 この間は化学兵器を見つけたあの積み荷群、なんだかいろいろと出てきそうである。 特に、この前少年などが補導されたあのことなど――
「ジェラレンド? フェイス・ドライブ? どういうことだ!?」
 ファザットは首をかしげていた。
「説明は後だ! それよりも、言ったとおりにしてくれ!」
 ライズはファザットに強くそう訴えた。 ライズたちはこの非常事態の元凶たるテザンドの元へと向かうことにした、真の元凶は別の者だが。

 城内を進んでいくと、言われたように赤と白の色が縦半分で分かれている奇妙な仮面をかぶった感じの魔物がいた。
「こいつがフェイス・ドライブ? 変な魔物だな!」
 仮面は宙に浮いていて、あとはマントだけという実体のない敵に見えた。 マントも白と赤の色で構成されており、外側はそれのチェック柄、内側は赤一色だった。
 それについてフェリンは言った。
「ただのこけおどし、実体はないけど正面の仮面が弱点よ! でもその代わり、魔法は強めだから気を付けてね!」
 いわゆる、相手に危害を加えるためだけに作られたモンスターってところらしい。 その類のやつはあからさまに敵意をもって攻撃してくる、気を付けないといけない。
「それでは、私はここにいましょう! その魔物が城内から出たら大変です! もしもトライトの町にまで及んだら、大変なことになります!  ですので、私はここで食い止めます、お二人はぜひとも諸悪の権化を!」
 ワイアンドはそう言った、確かにその通りだが……むしろ賢者様1人で大丈夫だろうか。 それでもとにかく、ライズとフェリンはその言葉を信じてテザンドの元へと行くことにした。

 フェイス・ドライブの群れをかいくぐってやってきたのは、謁見の間だった。
「ふっ、ようやく来たようだな――」
 そこには大臣が立ちはだかっていた。
「なんだよ、わざわざ倒されるために待っていてくれたのか?」
「ふん、言っておくが私は先のフェイス共とは格が違う――」
 すると、大臣テザンドは巨大な魔物へと変身した!  その姿、見るからにおどろおどろしい見た目で足らしき足は見当たらず、 ただ上半身だけが大きく下半身らしきものがない、身体を引きずって動く感じの魔物だった。
「これが私の真の姿!  もはや言うまでもないとは思うが、我が主ジェラレンド様の命によりお前たちを始末する!  後悔するのなら地獄ですることだな!」
 テザンドが襲い掛かってきた!