ラスト・プレリュード ~運命の黄昏 忘れられし物語~

第3章 真に邪悪なる存在

第20節 プロジェクトの戦友たち

 あの場所での話は続いた。
「ところで、俺がアルファを弄っていたことがあっただなんてよく知っていたな?」
 隼人は頷いた。
「……俺も一応プロジェクト・メンバーの一員だったんだよ。 当時は面識がなかったと思うけど、名前だけは知っていたんだよ」
 そうなのか、悠城は頷いた。
「何担当だった?」
「システム担当」
 悠城は驚いていた。
「花形じゃないか!」
 隼人は首を振った。
「それはそうなんだけど、でも、 アルファのプロジェクトはむしろ企画担当がやっていることのほうが楽しそうだったんだよね、 いつも羨ましそうに見ていたよ」
 言われてみれば確かに……悠城は考えていた。
「システム担当なら俺以外に誰か呼べるやつがいたんじゃないか?」
 隼人は首を振った。
「システムといっても下っ端だったからね、 他は大体上の人たち、つまり偉くなっているかリタイアしているかでここにはもういないんだよ。 ちなみにメンテナンス部担当も確認してみたんだけど、悠城以外にここに残っている奴はいなかったよ。 もちろん、他も見たんだけど――」
 なんてことだ――悠城は悩んでいた。
「つまり、俺ら以外にアルファを知るスタッフはいないということか――」
 隼人は再び首を振った。
「本当はもう一人いるんだけど、有休取って実家に帰ってるとかで呼び出せなかったんだ」
 それじゃあ結局ダメか……悠城は悩んでいた。
「ちなみにそいつ、誰?」
「それこそ企画担当のメンバーなんだよ。名前は乙川 瑞希っていう――」
 その名前を聞いて悠城は悩んでいた。
「ど、どうしたの……?」
 隼人は心配そうに訊いた。
「俺、乙川 瑞希苦手なんだよね――」
 な、何があったんだ!? 隼人は狼狽えていた。

 そして――
「これは何の警告? ”OUDrv”ってのが原因みたいだけど、これは?  ずーっとこればかり出力されているようだけど――」
 隼人は訊くと悠城は答えた。
「”OUDrv”はアルファのコンテンツの一部と言えばいいだろうか。 実はOUDrvのアラートはこれまで何度かでているんだけど、 毎回コンテンツ内でなんとか処理されているらしく、あんまり気にしていなかったんだ。 でも、今回のこの警告は異常だな、毎回こんな表示が出るのは今まで一度もなかったことだ、こいつは妙だな――」
 そう言われて隼人は納得した。
「確かに発生するたびに確実にステータスクリーンになっているようだけど、一体どういうこと?」
「どうもこうも、これについてはアルファの中を信じるしかないってことだよ。 けど――ずいぶんと頻繁に出ているのも妙な感じだな、この際だから少し覗いてみるか?」
 え、覗くって――
「それって、今のこのアルファの中を見に行くってこと?」
 隼人は驚いていた。
「そういうこと、アルファの中で起きていることを詳しく確認するにはアルファの中を直接見に行くしかないってことだな」
 悠城にそう言われて隼人はワクワクしていた。
「なに? どうしたの?」
 隼人は興奮していた。
「いっつもメンテナンス担当や企画担当がアルファの中を覗いていたのが羨ましかったんだよ、つまり……わかるでしょ?」
 なるほど、そういうことか、悠城は納得した。
「よーし! だったらまずはユーザー登録からしてしまおうか!?  ユーザ名は”七海”でいいか? キャラ名とかは別に付けられるけど、そのあたりは設定含めて好きに考えてくれればいいぞ。 とりあえず、俺はいくつかのアラートの処理だけ済ませておく、これぐらいなら楽そうだしな。 んで、全部済んだら一旦アルファで落ち合おうぜ、な?」
 隼人はさらにワクワクしていた、そこへ悠城が一つ注意を。
「そうだ! それから注意点が一つ。 このシステムがサービス開始に至らなかった原因があるからな! キャラメイクはそこを考えてちゃんとするように!  それから、今から改造コードを教えておくから間違いなく適用しておけよ! いいな、わかったな!」
 その話を聞いて隼人は落胆していた。
「そんなことがあったの!?  な、なるほど、そういうこと――それでアルファはサービス展開できなかったのか――」