ラスト・プレリュード ~運命の黄昏 忘れられし物語~

第2章 妖艶なヴィラネシア

第16節 激しく燃え上がる誘惑

 魔鳥フレンスブルクを模した美しい鳥の聖獣デュライア、 それを狙ってウロボロス・ドライブは動き出した――そうはさせるかっ!  ライズはデュライアがいるもとへと走り出した!
「ライズっ! ダメ! ウロボロス・ドライブは――」
「フェリン、悪いな。 俺は両親や友人のことを考えると、たとえ相手がなんであっても引き下がりたくないんだ、 だから――後のことは頼む!」
 ということで、ライズはフェリンを残してデュライアのもとへと走っていった。
「ライズー!」

 しかし、ライズはいきなり心細くなってきた。とはいえ、彼としては後には引くことは考えていなかった。 たとえ無茶と言われようが、無謀と言われようが、そんなこと知ったこっちゃない。 彼は誰ももう、失いたくはなかった――例えそれで自分自身の命を失ったとしてもだ。
 現地を目前にして、既にデュライアとウロボロス・ドライブが激闘を繰り広げていた、間に合わないか?
 さらに時間をかけてデュライアのもとへと行こうとするが、 到着するまでは結構時間がかかる、予想外だった。
 そして――残念ながら、デュライアの命は間に合わなかったようだ。
「くっ、まさか本当に聖獣を!」
 すると、デュライアの命を奪った先には――
「ん? マズイ……次は聖殿ヴァナスティアが!」
 ヴァナスティアの町が危ない!
 とにかくライズは聖殿都市ヴァナスティアへと全速力で向かっていった。 ヴァナスティアへの住民や巡礼者が、避難や神頼みしている中で、彼はウロボロス・ドライブの眼前に立ちはだかった。 聖獣デュライアを破ったほどの最強最悪の敵、ウロボロス・ドライブ……勝てるのか!?

 伝説の悪魔にして最強最悪とも言われている”ウロボロス”そいつの存在は有名だった。 だけど、”ウロボロス・ドライブ”というのは何なのだろうか、ウロボロスとは違うのだろうか、疑問だった。 ただ、もし、目の前にいるそいつがあの伝説の海魔ウロボロスだというのなら――ライズとしても信じられない光景だった。
 しかしこんな巨獣、どうやって倒せばいいのだろうか、見当もつかなかった。 だが、その時――ライズがそんなことを考えている間にウロボロス・ドライブから火炎弾が放たれた!
「うわっ!」
 ライズは火炎弾に煽られて転倒! もはやなすすべなしという感じだった。

 さらにウロボロス・ドライブは海から飛び出し、改めてライズの目の前へと姿を現した。 その様相、大きな蛇のような姿だった。 さらにその周囲には変な羽のようなものが宙にまとわりついていて、まさに異次元の魔物のような感じを漂わせていた。
「くっ、こんな、こんなところでやられるわけには――」
 ライズは立ち上がり、剣を取り出すと、ウロボロス・ドライブに切りかかった。
「くそっ! 喰らえー!」
 だがしかし、ウロボロス・ドライブには攻撃をはじき返されてしまった!
「まだだ! まだまだだ!」
 それにめげず、さらに追い打ちをかけるライズだが、 今度はウロボロス・ドライブの周囲を漂っている羽がそれを妨害し、ライズを弾き飛ばした!
「ぐはっ!」
 そして、ウロボロス・ドライブは口を開け、威嚇したような表情を見せると、 ライズの周囲に赤く輝く激しい衝撃波が――
「ぐああああっ!」
 ライズはそれに耐えきれず、その場で倒れ、意識を失ってしまった――
「くっ、敵わないってのか――」

 だがその時――ライズの身体に何かが起こり、ライズは意識を取り戻した!
「こっ、これは一体――」
 それと同時にライズは起き上がると、ウロボロス・ドライブは警戒するかのように少し後退した。
 すると――
「うふふふふっ、何だか苦戦しているようね♪ だったら加勢してあげるわ♪」
 と、ライズの背後から女が現れてそう言った。 だがその女、ライズの視界に入ると――ライズはとても驚いていた、まさか――
「うふふっ、どお? 元気になったかしら?」
 その女の姿、着ている服がすべてシースルーの生地のようで、素肌がすべて露出していた。 唯一、部分的に白い布で覆われており、隠すところは隠されていた。 とはいえ、その豊満なボディとセクシーダイナマイトなプロポーション…… たいていの男だったら喜ぶこと請け合いだろうそのフォルム、 そして――赤みが強めの紫の美しい髪の毛、その女の背丈ほどはありそうな長い髪の毛は綺麗にまとめられ、 いろんな装飾が施されていた。

 しかしこのシチュエーション、ウロボロス・ドライブを前にして、この女が何者か考えている暇などなかった。
 そんな時、再びウロボロス・ドライブは威嚇したような様相から衝撃波を放ってきた! しかし――
「ふふっ、まーた厄介なものが現れたわね――」
 なんと、彼女は右手でその衝撃波を振り払った! やはりこの女――
 さらに彼女はウロボロス・ドライブの目の前に強大な魔法の壁を作り出した。
「これで少しは時間が稼げそうね――」
 そして彼女はおもむろに、ライズの目の前に立って話をした。
「ねえイケメン様、手を貸してくださらないかしら?  もちろん、お礼のほうは弾ませていただきますわ――」
 彼女は丁寧な物腰でそう言った。 この女に対して思うところもあるライズだったが、 目の前の強大な敵――ウロボロス・ドライブを前にしてそうも言ってられないようだ。
「まあいい……だが、こんな敵相手に俺は何をすればいい?」
 ライズはそう言うと、女は嬉しそうにしていた。
「うふふっ、流石はイケメン様ね、嬉しいわ。 やることは簡単よ、あなたがこいつと戦って倒せばいいのだから――」
 は!? なんだって!? 自分は今までウロボロス・ドライブと戦っていたがまったく歯が立たず、どうにもならなかった。 だけど、そんな自分がウロボロス・ドライブを倒す!? 理解できなかった。
 するとヴィラネシアは――
「うふふっ、大丈夫よ、この程度の敵、造作もないことよ♪」
 そんなわけが――ライズはそう言うと、ヴィラネシアは――
「いいえ、むしろあなたは――この私のためなら喜んで戦ってくれるでしょう?」
 そう言うと、彼女をまとう特有のオーラが――ライズを包み込んだ――これはまさか!  そして女のそのセクシーな肉体をライズの身体にピタリと寄せ、彼を抱えながら瞳を覗き込んだ――
「さあ、私を見つめて……」
 おっ、俺は――ライズはおもむろに彼女の身体を抱き始めた――
「私はあなたの女神様。 あなたは私をあの魔物から守り、そして私のためにあいつを倒すのよ。 あなたにだったらできるわ、だってあなたは――私の素敵なナイト様ですもの――」
 ライズは彼女の色香に包まれ、完全に彼女の虜となった。
「俺は――女神様が……女神様のことは――俺が……守る……俺が――」
 そして、
「俺は美しい女神様の隷! 美しい女神様のためならなんでもする!  そうだ、俺はあいつを倒すんだ!」
 美しき女神様の隷となったライズは興奮し、目の前の強大な敵に対して立ち向かった!  それと同時にウロボロス・ドライブの目の前に張られた壁が崩れ去ると、 ライズはウロボロス・ドライブに向かってそのまま突撃した。
「美しい女神様の敵め! 覚悟しろ!」
 その様を見ながら女は不敵な笑みを浮かべていた。
「うっふふふ、ジェラレンドったら――いよいよ決着をつけるつもりかしら?  だったら望むところよ、ウフフフフ――」
 なんだそれ、どこかで――