「ん? この森の中か?」
ヴィルスガント山岳地帯のふもとの森の町はずれ、
不気味なほどにうっそうと生い茂っているところへ2人は進んでいった。
しばらくは森の中、そして、そのうち霧が出てきた、進むほどに不気味な森である。
そのうち、場所が開けたかと思うと、そこには朽ち果てた家らしきものがあった。
「なーんか、いかにもな怪しい家だな、この中か?」
ライズは朽ち果てた家の中へと進んでいった。
朽ち果てたとはいえ、形はちゃんと家として残っていて家らしく中にも入れる。ただし、カギは空いている。
「流石に誰もいないよな?」
いないでしょうね。とりあえず、中を探索するだけしていた。
しかし、そこでまさかの出来事が起きた。
「なんだ!? 何かがいるぞ!?」
ライズは不気味な気配を感じた。すぐさま家の外へと飛び出し、周囲を見渡した。
「ん? 上か?」
家の近くには小高い丘があり、ライズはそっちのほうへと突き進んでいった、その先にいたのは――
「ウッフッフッフッフ♥ ようこそボウヤ♥ 可愛がってあげるからこっちにいらっしゃいな……」
猫なで声の女がその場に色っぽく佇んでおり、ライズを誘っていた!
まさか、こいつがヴィラネシア!?
「なっ、なんだ、この術は!」
ライズの周りから、何かが襲い掛かってくる……濃いピンク色の瘴気、これはもしや――
「ウフフ……私を求めて探している男がいるから、
こうしてわざわざ私のほうからやってきてあげたんじゃない……さあ、私のもとにおいで……」
「うぅっ、やめろぉ! やめてくれぇ! 俺はっ! 俺はあっ! 俺はああああああ!」
やばい、ライズが……あの女のもとに……すると、フェリンは意を決してライズの前に立ちはだかり、
彼を正面から抱きかかえ、そして彼の瞳を覗き込みながらこう言った。
「ライズ、負けちゃダメ。あの女の言いなりになったらダメだからね。
いい? ライズ、私だけを見て、ライズは私だけをじっと見てて――そしたら、
あの女は――ほーら、視界から消えて行くでしょ……」
「えっ、えっ……うっ……あっ……」
「ほら、私を見つめて……次第に私以外は見えなくなるわ――あの女は……いえ、
そもそも女ですらない、ただの敵よ――」
「俺は――フェリンが……フェリンのことは――俺が……守る……俺が――」
そして、
「そうだっ! フェリンのことは俺が守る! 俺はあいつを倒す! あの敵を倒す!」
ライズは正気に戻った――のかどうかは定かではない状況だが、そんな状況にヴィラネシアは怒った。
「何よ! なんなのよ、そこの女狐! 私のエモノを奪うんじゃないわよ!
ったく、仕方がないわねえ! この私自らお前らを殺してやるよ!」
ヴィラネシアが襲い掛かってきた!
ヴィラネシアはとにかく魔法が強力で、ライズ程度の魔力では太刀打ちするのは不可能なだった。
流石に”魔女”と呼ばれるような存在……そう、ヴィラネシアは魔女なのだ。
しかし、それに対してどういうわけか、こちらの姫様も太刀打ちできている――
そう、彼女の魔力もなかなかに強かった。
このように、魔法がごくありふれた世界、ライズももちろん使える。
使えるけれども、フェリンやヴィラネシアのこれは彼にとってはケタ違いの強さだった。
「ライズ! 私がこいつの力を引き受けるから、ライズは倒すことだけに専念して!」
ライズは頷いた。もはやそういう戦い方しかやりようがなさそうだった。
にしても、よくも”七魔性聖”の、しかも強豪組と呼ばれているやつの力を相手にこんなに善戦できているな……
ライズも、そして力を一手に引き受けているフェリンは特に。
「力は以前に比べてだいぶ衰えているとかで最近のトピックスからも遠ざかったんじゃないの?」
フェリンはそう言った、言われてみればそうなのかもしれない、何故衰えたのかはわからないが。
とはいえ、長く生きていればそういうこともあるのだろうか。
「ライズ! 今がチャンスよ!」
よっしきた! チャンス到来! 成敗する! ライズは得意になって剣を構えた。
「喰らえ!」
マトモにヒットが入った! これなら! ライズはさらに追い打ちをかけた。
「あぁっ! 何なのよ! この死にぞこない共が!」
「死にぞこないはあなたのほうよ!」
するとフェリン、どこからそんな力が湧き上がってくるのかわからないが、
さらに大きな力を発してヴィラネシアを貫いた!
「マジかこれ! すっげぇな!」
ものすごい魔力の渦を発揮し、ヴィラネシアを翻弄していた。
そして、その魔力によって敗れたヴィラネシア、その場でうずくまっていた。
「くっ、こんなことが――何故、こんなことに――」
「結局、あなたの力は言うほど強くはなかったってことでしょ」
ヴィラネシアの言ったことに対し、フェリンが答えていた。