ラスト・プレリュード ~運命の黄昏 忘れられし物語~

第1章 ヴァルナジアのお姫様

第3節 危機的状況

 そのうち、ライズたちはとあるコンテナの様子がおかしいことに気が付いた。
「ガレイズ、あのコンテナ何か変じゃないか?」
 コンテナはおそらく鉄製、おかしいのはコンテナの扉が開いているように見えた所である。
「誰か出入りしている可能性がありそうだな、少し調べてみるか」
 ライズたちは様子を探り、周りを警戒しながらコンテナへと近づいていった、そして――
「おい、ライズ! コンテナの中には誰もいないぞ!」
 ガレイズは小さな声でライズにそう言うと2人で中に入り、コンテナ内のブツを調べることにした。

 コンテナの中は真っ暗闇、明かりがないととてもではないが何も確認することができなかったため、 懐中ライトを点けた、すると――
「なんだよこれ、まるで武器庫のようだな」
 武器だらけである。見たところ銃器ばかりのようだが――
「ガレイズ! これは化学兵器だ!」
 ただの銃器類ではなかった。 銃器類であればこの場所柄、合法的に取引されていますと言われればそれまでだけれども、 これは化学兵器の類、それはさすがに合法的に取引されているような代物ではない、完全にアウトだ。
 ちなみにここで子供が補導された理由は、このコンテナ内にあるような銃器ではなく、ドラッグの類が原因だった。 今回見つけた化学兵器とは違うようだが、 いずれにせよ、このあたりはこれほどまでに非合法なものがあることの裏付けとなったようである。
「ライズのカンは当たったようだな。 ということはつまり、お姫様の件もひっくるめて城に内通者がいる可能性から考えなくてはいけなくなったってわけか」
 どうやらそういうことらしい、何とかして証拠を抑え、 ギルドに一旦報告することにしようと思ったその時……問題が起こった。
「ライズ! ライトを消せ!」
 ガレイズは慌ててライトの光を遮りながらまたもや小声でそう言った。 ライズも異変に気が付き、ライトの光を慌てて消した。
「これで全部だな。よし、さっそく始めろ」
 コンテナの外から何やら声が聞こえてきた、誰かがいるようだ――
「よし、まずはそいつからだ」
 というと、誰かがライズたちが潜んでいるコンテナの扉を閉めてしまった。
「おい、ちょっと、ヤバイんじゃないか!?」
 ライズたちは閉じ込められてしまったようだ。 その後、外から何やら声が聞こえるが、うまく聞き取れず。 コンテナは揺れ動いた後にどこかへと移動しているらしく、足元から激しい音が聞こえてきた。
「なんか、コンテナごと運ばれているようだな、トラックか何かか?」
 と、ガレイズは言うが、2人はこれからどうなるのだろうか!?

 おそらく30分程度は経っただろうか、コンテナは移動するのをやめると、そのうち扉が解放された。 コンテナの中にいる2人は見つかるまいと、とにかく陰になっているところで小さくうずくまっていた。
「これはマズイな、見つかったら多分殺されるだろう。なんとかしてギルドに戻らないといけないのに」
 ライズはそう言った、それよりもどこに運ばれたのだろうか?
「間違いなく黒幕のもとだろうな。 ある意味チャンスといえばチャンスでもあるが、あまり期待はできなさそうだな」
 ガレイズの言うように、確かにチャンスといえばチャンスかもしれない。 しかし、チャンスといってもピンチであることのほうがはるかに勝っていることに変わりはない。

 その場をやり過ごすこと5分程度、 2人はなんとかコンテナから脱出はできたが、敵のアジトの内部らしいところであることに変わりはなかった。 その場所はどうやら少なくとも洞窟の中だった。 部分的に人の手が加えられた洞窟のようだが昔は坑道だったような印象で、 線路が敷いてあった跡や、さらにあちこちで岩が崩れていたりと、いろいろだった。
 さらに背後にはシャッターが閉まっていて、ライズたちはここからコンテナごと搬入されたのだろう。 しかし、そのシャッターを開けるすべがなかった。
「別に出口があるかもしれないな、とりあえず生きて帰ることを最優先としよう」
 名案だ、ぜひそうしよう。