運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

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 記憶の世界――そこで早速シェリアは思った行動を試したのだが――
「あれ、なんかダメですね、なんかうまくいかないです――」
 その行動についてロイドは言った。
「記憶の世界の中で早速特定の記憶を想起させようとしているってことか?  それじゃあダメなんだ、というのも世界が消失しているってことはそもそもその特定している記憶自体が世界から失われているってことなんだ。 もちろん、世界がある限りは世界の記憶も刻まれているとは向こうでも話した通りだが、 俺が言いたいのは俺らが記憶していることと世界が記憶していることの関連性が失われているということということだな。 だからいきなりアグメイアのことを強く考えても彼女が突然出てくるわけじゃない…… 早く復活させたいのは山々なんだが記憶を想起させるようなキーとなる出来事とかがこの中で起きない限りはどう頑張ってもダメなんだ。 だから――焦らずゆっくりと進めていこうな?」
 なるほど、シェリアは考えた。
「そうなんですね! 流石は第1級精霊ロイド様っていうだけのことはありますね、そんなことまでわかるなんて!」
 そう言われてロイドは悩んでいた。
「ま、まあ――それこそわかんなければお前第1級精霊のクセになんでわかんないんだよって言われるのがオチだからな……」
 おやどこかで聞いたようなセリフ……間違いない、兄妹だ。

 2人はそのまま森の中を進んでいると、そのうち――
「寒いな、そう言えばちょっと忘れかけていたがそもそも雪国だったか――」
 あ、そう言われてみれば――シェリアは気が付いた。
「って、私たち、森の外に出ようとしているってことですよね?  なんかおかしいなぁ、森の中にはプリズム族の里があるはずなのにまるで位置がわからないです――」
 ロイドは答えた。
「あくまで記憶の中だからな、シェリアが辿る記憶ということで言えばそっちじゃないってことだろ?  だからそれ前提で考えると自分が意図した行動通りにはいかないことも容易にあり得るってことなんだ」
 そうなのか――シェリアは考えた。
「ということは……? もしかして――」
 そう言いつつ、シェリアはおもむろに進み始めた。
「とりあえず、今は任せておくか……」
 ロイドはそう思いつつ彼女の後をついていくことにした。

 随分移動した後、シェリアは当たりを見渡していた、するととあるものを見つけ出し――
「あれです!」
 指さすと、そこには墓標のようなものが――
「そうなんです! なんか思い出しました、確かこんな雰囲気の時期にここに来たことを思い出したんです!」
 その場所はまた別の森の中で、そこには1つだけではなくいくつかの墓があった。
「なんだ……? 誰の墓なんだ?」
 ロイドは訊くとシェリアは答えた。
「ここは先輩たち、つまりプリズム・ロードたちのお墓ですね。 私がプリズム・ロードになるって言う啓示を受けてから最初に行ったところですよ。 で、その後にフローナルさんに泣きついたっていうことですね!」
 そうだったのか。それにしてもプリズム・ロードの墓か、プリズム・ロードの墓と言えば――

 2人は戻ってきた。
「あらおかえり、案外早かったのね。 次の記憶はできているわよ、”女王の記憶”ね。」
 まさか、今度こそアグメイアが!?

 だが、この記憶は――
「この環境はエルクザート!? もしや――」
「ララミィさん!」
 案外記憶がどうつながるのかわからないものだ。
「”女王”と言えば確かにフェレストレイア女王も選択に入るが俺達的にアグメイア個人が女王という意識がないのかもしれないな――」
「確かにそうかもです! アグメイアさんはお友達です!」
 温かいな。しかし、その一方で女王といえばララミィというのは――
「ララミィさんはがんばりやさんです! 自分たちの種族のために頑張っているのですからそこは応援してあげないとです!」
 ということである、そちらもなんと温かいんだろう……。
「俺は散々悪戯されているからな――」
 と、ロイドは遠い目、キミの場合はご愁傷さまです――。いや、むしろリア充め。