運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

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 再びユグドラの中へ。
「ったく、記憶の中ってことだから仕方がねえが、意図せずどっかに飛ばされる可能性とか何とかならねえもんか?」
 と、ロイドは文句を言っていた、 というのも実はここへ帰ってくるまでいろんなところに飛んできたからである、どうすれば戻れるのか――
 それに対し、シルグランディアはロイドが作った空間の中に手を突っ込んでいろいろと探りなが話した。
「本当に何とかならないのかしらこのク……いえ、ポンコツシステムが!  そもそもこんなシステムだったっけ? いくら何でもエグすぎんじゃね?  テキトーもいいところでしょ! 管理しているやつはどうしているのかしら!」
 またイラついている……。 ク……で踏みとどまっているのは一緒にシェリアがいるからだろう、 でなければはっきりと2文字目まで言っているハズである。
「ったくもー! 私が以前にやったとおりに管理しとけよもう!  なんでこんなク……ふざけ倒したカオスな方式にしやがった!  何があっても私ゃ二度と手を貸さねーぞ! このク……ポンコツ精霊共がぁ!」
 これは間違いない、しばらく話しかけないほうがいいな。

 ユグドラからいったん外に出た3人、ロイドとシェリアの2人は冷や汗をかき苦笑いをしていた、 目の前には怒り心頭の女が一人。
「ったく! いいことお兄様!  このシステムから万が一改悪しようなんてク……ボンクラがいたら即座に××××していいからね!」
 それははっきり言っちゃうんだ……ロイドとシェリアは冷や汗をかいていた。
「ま、まあ――そいつははっきりさせておくよ、万が一のことがあっても誰も手を貸さないからなって――」
「絶対よ? いい? 忘れんなよな!? 忘れたら……わかってんだろーなぁ!?」
「は、はい……絶対に忘れません――」
 ロイドはシルグランディアの圧に潰されていた、これはよっぽどだな――2人は悩んでいた。
「ったくもう! 役目終えたからさっさと消えようと思ったのに、 これじゃあいつまでも仕事が終わんないじゃないのよ!  冗談じゃないわよ! この世界の××××××××どもがああああああ!」
 まだブチギレている……怖い――。
「じゃ、じゃあ……あとはなんとかするから――」
「そんなわけいくかああああ!  こんなクズみたいな仕事が私の仕事だと思われるなんてじょーだんじゃないわ!  ざっけんのも大概にしろやああああああ! あんの獄潰し共があああああ!」
 これはもはやシルグランディアの怨念というのが正しいだろう……。

 と、いうことで……
「世界がマジ消滅しかかってんのにいつまでもキレててもしゃあないしね……ったく……」
 な、なんとか収まった……。
「とりあえず、私が作り出したシステムはこれね、記憶を結晶化して紡いでいくやつね。 これ自身はサラの”精霊石”だったものに”世界の記憶”を突っ込んだものに過ぎないんだけど、 突っ込める記憶には限りがあって、部分部分の記憶しか入れることができないわけよ。 ただ、だからこの記憶は”ロイドお兄様の記憶”、この記憶は”運命の精霊お姉様の記憶”とか、 便宜的に名前を決めて管理しておけばいろいろと楽に管理できるハズよね。 ま、どう考えてもこっちのほうが簡単っしょ?」
 それについてロイドは訊いた。
「さっきの方式でいうと、記憶が想起されたことで別の記憶に入り込んだっていう認識だったが――」
 シルグランディアは頷いた。
「もちろん、そこの管理も楽にできるはずよ。 つまり、想起された段階で別の記憶が湧き出てくる仕組みになっているのよ。 問題はその湧き出てくる場所だけど―― 今は記憶を管理する精霊がいないからユグドラからせっせと拾ってくるしかないわね、それはとりあえず私に任せてよ。 で、その記憶ももちろん新しい精霊石に突っ込んどくから、 こうして記憶が連鎖的に復元されていくことで世界を構成するうえで必要な要素と出来事が作り出されるって言う寸法なわけね。」
「そして、それをもとにして世界を復元して再生させていくというわけか――」
 シルグランディアは頷いた。
「何もない以上は人々が紡いできた記憶だけが頼りだからね、 いくら世界がこんな状況だろうと世界の記憶だけは刻まれているもの――だからこその唯一の復旧手段ってわけね。 でも、それでも不完全なところは人々だけでなくいろんな記憶を手掛かりにして埋めていくことぐらいしかできないからね。 そうしてある程度形だけでもできた世界を精霊たちに再び管理させるようにすればとりあえず復旧までのロードマップとしてはいいところいったって感じになるわね。」
 でも……その記憶を想起させて掘り出していく形になるその作業がとても大変そうだな…… ロイドは悩んでいた、だがそれしか道はなさそうだ。
「ちなみに、想起した記憶が複数ってパターンもあるわよねえ?」
 そう、そのせいであちこちに飛ばされたんだ、ロイドは悩んでいた。
「その場合は連鎖的に記憶が出てくるのよ、もちろんその制御もこちらでやるから、 そっちは記憶の世界を堪能しているだけで問題ないわね。」
 なら、安心だ――確かにシルグランディアの考えたシステムのほうが圧倒的にいいに決まっている、ロイドは考えた。
「じゃあ、行ってくるかな。んで、どの記憶にするかな――」
 ロイドは考えた、目の前に並んでいるのはアリフローラ=フェイテルのいた”世界崩壊の記憶”、 そして……
「そっちに行ったというのならこっちに行ってみません? フィレイナ姉様、これって私の記憶ですよね?」
 だからフィレイナじゃないって――ロイドはそう言おうとするが、
「フィレイナでいいわよ、シェリアにとってそれだけ大きな存在だったみたいだからね。 不思議と私みたいな女だったみたいだし、なんか悪い気もしないわね。」
 なんだか承諾を得られたところで。
「それはむしろ”プリズム・ロードの記憶”ってところかしらね。 プリズムってことはうまくいけばフェレストレイアの女性、 つまりあんたたちの言うアグメイアを救い出すことができるかもしれないから早いほうがいいかもしれないわね。」
 その通りか、ロイドは考えた。
「じゃあ、行きましょう!」