運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

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 しばらくしたのち、精霊界にはまるで消し炭のようなものがやってきており、 それは地面に突っ伏していた。
「あらあらあら、まーた随分と無茶してきたのねぇ……」
「うるせえな、お前だってこんぐらいのこと平気でするだろうが。 だが、今は力が入らねえ……少しだけ休ませてくれ――」
 消し炭はフローナルだった、ボロボロの様相でとにかく倒れこんでいた。
「ちょっと、お兄様、あんたの妹の前でそれはないでしょ?  わかってんのそこんところ?」
 しまった、こいつはそういうやつだった……フローナルは諦め、 目的のブツをそのプルプルと震えた手でシルグランディアに手渡した。
「これでいいか……?」
 それを見たシルグランディアは呆れたような態度で答えた。
「やれやれ、どうやら想定以上の激闘を繰り出してきたようね、 それじゃあ仕方がないわねえ、今はとりあえずゆっくりと休みなさいな。 残りの仕事は私が引き受けたからね。」

 フローナルは目が覚めた。 すると、なんだか様相が変わっており、周囲は緑の色を取り戻していた!
「まさか!」
 だが、それはあくまで一部、奥行きはすべてモノトーンカラーの空間が広がる世界でしかなかった。 しかしどうしたことだろうか、一体何が?
「あら、目が覚めたのね。 目的のブツを作るのにどうしても作業小屋が必要だったから作ってみたんだけどさ、 そしたら御覧の通りよ、私が創造の力を振るったからかしらね?」
 精霊としての力を振るったことで……そういうことか、フローナルは納得した。
「ところで、目的のブツは?」
 フローナルはそう訊くとシルグランディアは得意げな態度で答えた。
「ふふっ、聞くまでもないわよねえ?」
 確かに、聞くまでもなかった。

 フローナルはユグドラの元へとやってきた、 そこにはユグドラの切り株というべきものがきちんと存在しており、 以前のがれきの山のような様相とは異なる状況だった。 そして、その切り株のふもとにはなにやら入口があり、その中へ入ると――
「ここか、生命の流れをコントロールするユグドラの心部、 そして”神の領域”と呼ばれる空間から”アビス”へ通づる奈落の空洞の伸びる世界が広がっているはずだが――」
 しかしユグドラは事実上の機能停止、どちらの入口も閉ざされていて行くことはかなわない。 このような状況でも神と呼ばれる存在は”神の領域”へと到達可能なのだそうだが、それはどれほどの者なのやら――。
 だが、それらの入口がない代わりにそこにはとあるものが空間の中央の地面にしっかりと刺さっていた、それは――
「かつては世界を滅ぼすために作られたとされるアーティファクト”破壊の灯”、 アーカネルの刻に燃え上がると今度はアークデイルの刻にクロノリアの魔導士たちの手によって回収され、 今度は俺の手に来たというわけだな――」
 フローナルはそう言いつつ、その破壊の灯だったそれに手をかけた。 そして、フローナルはそれを思いっきり引き抜くと……そこには赤々と燃え上がった炎の刃が――
「なあ、この剣はなんて名前だ?」
 フローナルはそう訊くと、後ろにいたシルグランディアは得意げに答えた。
「そうねえ、破壊の力を秘めた炎の剣、”煉獄魔剣ブレイズ・フレイム”ってところにしておこうかしら?」
 フローナルは頷いた。
「なるほどな、やっぱり名前がなければお前が手がけた仕事って感じがしないからな、それを聞いて安心したぜ――」
 すると、フローナル……いや、ロイドは――
「滾ってくるぜ! よし! そうと決まったら早速行ってくるぜ!」
 ロイドは勢いよく剣を振りかざすと、そのまま壁に向かって勢いよく振りかざした!  すると、そこには空間が切り開かれ、ロイドはその中に吸い込まれるように入って行った!
「ふふっ、どうやら調子を取り戻したようね。 でも――私の役目はとりあえず終わったんだけど、何も言わずに行ってしまったわね、ったく、お兄様ったら――」
 残されたシルグランディアは呆れていた。