運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第5章 世界の終わりに

第116節 決意を新たに

 フローナルは続けた。
「よし、そうと決まれば早速作戦会議だ。 俺達はこれから”惑星SSM-0XBA-50001”に向かう、ここまではいいな?」
 SSMは太陽系、つまりフェルドゥーナに近い惑星ということになるのだが余程桁数が多いのだろうか、 表記が変わってしまっているようだ。 問題はなぜそこに行くことになったのかだが、 現状、帝国の攻撃のために駆り出された艦がそろいもそろって発艦できない状態となっており、 そのために他に宇宙探査を実施している艦にも掛け合ったのだが、 ことごとく応答がないということでメテオ・ナイツ艦に指令が出たのだった。 指令を出すにしてはメテオ・ナイツの距離が遠すぎる問題があるのだが、 これまでのメテオ・ナイツの行動もあってか一度帰還命令が下されており、 惑星SSM-0XBA-50001に向かうのもそのついでである。
 そして、惑星SSM-0XBA-50001に行く理由についてだが、 実は今回新たに見つかった惑星ということで探査命令が出たのであった。
「こんな世界崩壊危機の状況で急に現れた星ってのもなんとも不気味な感じがするんだがなぁ――」
 アルドラスはそう言うとフローナルは頷いた。
「ああ、そいつは俺も考えていたところだ、だから準備は入念にしておこうと思ってな、 とりあえず、降下班全員に声掛けをしたところだったんだ」
 アルドラスは頷いた。
「オッケー! 了解だ!」

 惑星SSM-0XBA-50001への降下作戦の会議についてだが、なんだかヤバイ話になっていた、というのも――
「諸君、よくぞ集まってくれたな――」
 会議の席にはモニタ越しにウィドラスとノディラスの姿が。
「新たな惑星という情報だが、他に何か情報は?」
 カルディアスは早速話題を切り込むとノディラスが言った。
「ああ、それこそ言ってしまえば我が祖スクライトが期限を切ったタイムリミットにちょうど差し掛かる頃だね――」
 確かにもうそろそろ年が明ける……メテオ・ナイツが太陽系に戻ってきた当たりでだいたいそのぐらいの時期に差し掛かる、 つまり――フェルドゥーナ歴699年、いよいよ運命の時が近づいてきたのだった。
「つまり、何かしらの脅威があると見て間違いないってことだな?」
 もはやティルフレイジアの力が何とかいうのはまったく気にも留めてすらいないフローナル、純粋な質問だけをぶつけることにした。
「残念だがどうやらそう言うことらしい、その星に向かった者たちが音信不通なのもそう言った理由がらみだと考えてもいいだろう――」
 するとそこへアグメイアが例のブツを持ち出して訊くことにした、それは――
「ここにその世界消滅を防ぐためのカギと言われるものがあるんだけど、どうすればいいのかしら?」
 それは”トリュオン”と、例の獣の腕のような物体だった。それに対してノディラスは――
「ちょっと、そっちの獣の腕のほうをもう少しよく見せてくれないか?」
 そう言われ、アグメイアはカメラに少し近づけて見せていた、すると――
「なるほど、それは古のフェルドゥーナでは”グリフォン・ハンド”と呼ばれたアーティファクトだね、 こちらは純然たるアーティファクトであってオーパーツではないから人の手によって作られた代物だよ」
 なんと、これもフェルドゥーナの遺産だったというのか。
「そいつには大いなる力をも遮断するという力を備えていると聞く、私が知っているのはそれぐらいだね――」
 そうなのか。すると――
「もしかしたらそれらも必要になるものなのかもしれない。 カルディアス、キミも一緒に行くといい、その2つのアーティファクトを持って新たに現れた惑星の謎に立ち向かうんだ――」
 と、なんとも漠然とした提案だが、ウィドラスは頷きつつそうしてくれと頼むと、カルディアスは頷いた。
「わかった、任せてくれ――」

 フェルドゥーナ歴699年元日……彼らはまさに初日の出を拝んでいた。
「私たちの故郷の星、故郷の宙域……戻ってきたのね――」
 アグメイアは太陽を見ながらそう言った。
「そして我らの故郷でもある、なんとも不思議なものじゃな――」
 ララミィも太陽を見ながら考えていた。
「ほら、フィレイナ姉様! ここがそうだよ!」
 ディルナは彼女から譲り受けた銃を差し出しつつそう言うと、 アグメイアも同じく彼女から譲り受けた剣を手にしていた。
「フィレイナがつなげてくれた希望……決して無駄にしないわ!」
 それに対し、メテオ・ナイツのクルーたちはみな力強く頷いていた。