ララミィとフェルメリアは一緒にバトル・シミュレータがある部屋へとやってくると、
そこにはアグメイアがいた――。
「あ、2人とも――」
アグメイアは気まずそうに2人を見ていた。
「なんじゃなんじゃ? 続けるがよい。
こう――なんにもすることがなければ身体が鈍って仕方がない、
お主もそう思ってきたんじゃろう?」
ララミィは特に気にすることもなくそう言うが、アグメイアは悩んでいた。
しかし、フェルメリアも特に気にすることなく話をした。
「そうですよ、アグメイアさん! 一緒になにかやりませんか?」
それに対し、アグメイアは思いの丈をぶつけることにした。
「どうして……聞かないの?」
何を? 2人は不思議そうな顔をしていた。
「だって、その、私――」
アグメイアは悩んでいると、ララミィはため息をつきつつ言った。
「ま、お主が気にしていること……フローナルのことじゃろう?
自分があっさりとフローナルの心を奪い取って行ったということを後ろめたく思っている……ということじゃな?」
当然、そのことである、フローナルの気持ちは彼女に向いている、
だがララミィもフェルメリアもフローナルのことを――という、
とても複雑な関係である、むしろフローナルあいつなんなんだよ。
「別に良いのではないのか?」
えっ……ララミィにそう言われてアグメイアは驚いていた。
「確かに、お主のその気持ちはわからんでもない――
どこの異星人か知らぬような女に心が急接近してしまうのじゃ、
後ろめたく思う気持ちはよーくわかるぞ、何故なら……わらわもフローナルからすれば異星人じゃからな、
立場としてはアグメイアとはそう変わらん。
だからアグメイアを羨ましくもあるが――
しかし世の中というものはよくわからんもんでなるようにしかならんのじゃ。
じゃからわらわとしては……フローナルとアグメイアの幸せを祈ることだけじゃ、
どうせ世界が滅ぶのじゃから、その時にフェルメリアと一緒に仲良くパフェでも食べられればそれで十分じゃ!」
ララミィはそう言うとフェルメリアも言った。
「私はフェリシアですから……以前に私がやった過ちを戒めるためにもこれがちょうどいいんです!
それに、フローナルさんから大事なことを教えてもらいましたからこれ以上望むなんて贅沢ですよね!
だから……フローナルさんには一番だと思う方と一緒にいてほしいんです!」
2人とも……アグメイアは悩みながらそう言うが、2人は楽しそうにアグメイアに言った。
「いつまでもくよくよするな! フィレイナ姉様を見習うのじゃ!
死と隣り合わせの状態になってもなお前向きに直向きに生きていたのじゃ!
アグメイアはフィレイナの背中をみて来たのじゃろ? その剣を持つ者ならその通りに生きるのじゃ!」
「そうですよ! それに、私はむしろアグメイアさんとお友達になりたいぐらいです!
私、他の人とは感覚がずれているのでお友達ができると嬉しいなあって……そう思っているんです!」
「そうじゃ! わらわも友になりたいぞ!
ほら、フェルメリア! このバトルなんたらというのはどうすればよいのじゃ!?
アグメイアと一緒に未知の敵と挑みたいぞ!」
「いいですね! アグメイアさん、一緒にやりましょうよ!」
2人が楽しそうに言うと、アグメイアの心境も――
「え、ええ……じゃあ、お言葉に甘えさせてもらってもよろしいかしら……?」
「もちろんです! やりましょうよ!」
「ケガをしたらすぐに言うのじゃ! わらわが回復してやるのじゃ!」
といった感じで、どうやらわだかまりなく仲良くやっているようだ。
そして――
「よう! フローナルお兄様!」
フローナルはそう言われてずっこけていた、言ったのはアルドラスである。
「いやー、やっぱりなんだかんだ言っててもフィレイナさんがいなくなると寂しくなるよなぁ……」
やっぱり、こいつもそう思うのか、フローナルはそう思った。
「フローナルもそうじゃないか?」
そう言われると――フローナルは答えた。
「確かに寂しいけどな、でも――フィレイナだったらそんなこと言ってないできちんと前向いて生きろって言っているだろうな、俺はそう思う。
それに――なんていうか、むしろあいつが逝っちまったことで逆に勇気をもらった気がする、世界の滅亡に立ち向かう勇気ってのをな。
だから俺にできることは、きちんとあいつの期待に応えるために仕事をこなすだけだと思っている、それが俺の弔いだな」
それに対してアルドラスは頷いた。
「だよな! あの人はそういう人だ!
俺はそれでも寂しいと思っているけど――だからなんだろうな、毎日のようにちゃんとやれって言われているように思うんだ。
そう考えると――なんだか妙にやる気が出るんだよな! フィレイナさん! 俺はやるぜ! ……ってな!」
フィレイナといえば女性に対する面倒見の良さに定評はあるが男に対する当たりの強さ……
しかし、それすらも見方を変えれば男に対する面倒見の良さについても、
捉る人に言わせればなんだかかんだで面倒を見てもらっているのだからこれぐらいがちょうどよいと、
一定の評価を得ているのも確実……だから男性陣としても彼女の分も頑張ろうと考えている者が多いのである。
「だって、あんなに美人なのに土足で踏み込んでくる勢いで話しかけてくれるんだぞ?
女神フェルリン様もいいけど、ああいう人もなんか悪くねえかなって思うんだよな。
それだけにやっぱりちょっと残念な気がするけど、だから彼女の分も頑張んねえとダメだなって思うんだよな!」
わかる気がする……フローナルはそう思った。