運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第5章 世界の終わりに

第109節 女は強い

 メテオ・ナイツ出艦直前――
「出艦許可が出ないな――」
 カルディアスは悩んでいた、信号が変わらないのである。 そんな時――
「フェレストレイアから通信です――」
 なんだって? カルディアスは首をかしげていた。

 いきなりの出発中止――外に出たカルディアス、 ドッグに現れたのはメフィリアとテレイズだった。
「やはり、彼女を連れて行ってもらえぬか?」
 メフィリアはそう言うと、カルディアスは頷いた。
「あ、ああ……全く構わんが、急にどうして?  フェレストレイアは今後この件に関わらないと聞いていたが――」
 メフィリアは頷いた。
「そうは思ったんじゃがな、 それでもやはりフィレイナの遺志を継ぐ者を連れて行ってほしいと思うてな――」
 なるほど、それはそれで――カルディアスは考えた。
「彼女は素晴らしい人だった、それほどの人の遺志を継ぐ者であれば我々としても大歓迎ですよ」
 というと、クルーたちの間でも沸いていた。すると――
「さ、しっかり頑張ってきて――」
 メフィリアは優しくテレイズを抱きしめると、彼女もまた――
「ええ、大船に乗ったつもりで行ってくるわね――」
 と言った、それに対して女王は――
「ふふっ、わかっているわね。さあさ、みんながお待ちかねよ――」
 その時の一連の動作、カルディアスは見逃さなかった。

 いよいよ出艦許可が出て再び宇宙へと飛び出すことになったメテオ・ナイツ。 早速、カルディアスがテレイズに訊いた。
「あのメフィリア女王はもしや――」
 彼女は頷いた。
「そうよ、彼女はカリナよ、流石に見抜いているわね――」
 さらに――
「それもそうだが、キミはあれだろう、キミこそがフェレストレイア女王メフィリア…… つまり、アグメイアだろう?」
 なんだって!? 周りは驚いていると、彼女は臆せず答えた。
「とうとうバレちゃったわね。そうよ、私がアグメイアよ。 世界は滅びてしまう――なら、私だって、フェレストレイアの者として黙っているわけにはいかなくってね――」
 と、彼女の腰にはかつてフィレイナが帯刀していた剣を携えていた、まさに彼女の遺志を継ぐということか。

 フェルメリアはフローナルとシェリアとララミィと話をしていた。
「フローナルさん、大丈夫ですか?」
 フェルメリアは心配そうに訊いた。
「ああ、とりあえず大丈夫だ――。 ただ、しばらく休んでいたから少し身体が鈍っちまったようだ。 少しすればカンを取り戻せると思うが、何かオーダーが来たら代わりに対応してもらっていいか?」
 フェルメリアは頷いた。
「そう言うことなら私にお任せください! ねっ、シェリアさん! ララミィさん!」
「はい! フローナルさんが元に戻るまではしっかりと頑張りますね!」
「無論じゃ! わらわに任せるのじゃ!」
 なんだか知らない間にすごい仲良しになっている――フローナルは唖然としていた、 その要因の半分は多分フィレイナが持っていたことは確実だな……。

 その後、彼女らとテレイズ……アグメイアは通廊で鉢合わせに。
「そうですか、アグメイアさんなんですね――」
 シェリアはすぐさま気が付いた。
「この剣を持っていればわかるわよね、そういうこと。 私なんかじゃあ彼女の足元にも及ばないけど、でも……」
 シェリアはにっこりとしていた。
「よろしくお願いしますね、アグメイアさん♪」
 それに対し、アグメイアもにっこりとして返したが、 ララミィは何とも言えないような表情をしていた。

 彼女の表情を見逃さなかったフェルメリア、消灯時間後にララミィの元へとやってきた。
「すまぬな……心配をかけてしもうたようじゃ」
 フェルメリアは頷いた。
「何か元気がなさそうだったので――」
 ララミィは切なそうに答えた。
「そう、フローナルとアグメイアのことじゃ――」
 フェルメリアは首をかしげていた、どういうことだろうと、だが――
「姉様も気づいたであろう……彼女からの妖魔の香――」
 フェルメリアは頷いた。
「確かに、フローナルさんはアグメイアさんの香を無条件で受け付けているように思いますが、まさか――」
 ララミィは頷いた。
「どうやらそのようじゃ、フローナルの想い人はどうもアグメイアのようなのじゃ――」