フローナルがどうなっているかも露知らず、
彼をおいていく決断をしたカルディアスたち――メテオ・ナイツを動かそうとしてる最中だった。
しかし、そんな中――
「待って! みんな! フローナルが意識を取り戻したわ!」
まさかのアグメイアが飛び出し、大声でそう伝えていた。
彼の心を食いつぶしていたハズなのに一体どうして?
とにかく、乱れに乱れていた2人、
完全に意識を奪われているフローナルはもちろんだがアグメイアも悦に浸っていた。
「フローナル……あなたって素敵ね♪
こんなに素敵な男と夜を共に過ごせただなんて――私もう最っ高♥」
すると、フローナルから予想だにしない言葉が――
「俺もだアグメイア……俺は……お前のためにずっと頑張ってきたんだ。
俺を……ここまでの男にしてくれて、とても感謝している。
それなのに、再びお前に出会えたこと、俺はとっても嬉しく思う――
だから――今度はずっとお前のそばにいてやりたい……俺はお前を話さない――
アグメイア……俺のアグメイア――」
えっ、何今の――アグメイアは驚いていた。
そう言われてみると、何か心当たりがあるようなないような――
なんなのだろうかこの違和感は――アグメイアは考えていた。
「い、今の……どういうこと……?
妙な感覚ね、大昔にもあったような――?」
それこそ、あの時だってそうだった。
「彼女らを受け入れるその包容力……癒しの精霊とも呼ばれる我らとしてもそこは見習わなければならぬところじゃ。
なんとも素晴らしいものよのう――」
と、メフィリア、そうだろうか……フローナルは照れていた。
「しかし……それにしてもなんとも羨ましいことじゃ――」
と言いつつ、彼女はおもむろに――
「……えっ!?」
なんと、背後からフローナルのことをそっと抱きしめてきた!
「ああ……、よいのう――なんて素敵なのかしら――」
彼女はまさに恋する乙女のようにとても嬉しそうだった――。
そんな状況にフローナルはなんとも複雑な感じだった、何故かわからないけど悪くはない――。
だが、この時の話はこれで終わりではない。
「な、なあ……いつまでこうしているんだ?」
フローナルは照れながらそう訊くと、アグメイアは――
「いつまでもこうしていたい――」
本来ならダメっていうフローナルだが――
「そ、そうか――」
何故だかわからないけど、彼女がそうしたいというのならその通りにしていたかったフローナルだった。
そう……彼にとっては彼女こそが想い人だったのかもしれない。
「妙な感覚ね、なんていうか――私、昔からあなたのことを知っているような気がするの――」
「そ、そうか、なんとも光栄なことで――」
フローナルは照れながら答えた、満更でもない様子……。
そう、アグメイアにとっても、フローナルはまさに想い人だったのかもしれない。
ということで、アグメイアは彼のためにと思ってメテオ・ナイツに還すことにしたのだった。
「悪いな、心配ばかりかけてしまって――」
ブリッジにて、フローナルは悪びれた様子で言った。
「いいんだ、重ねて言うようだが、無事に戻ってこれて何よりだ――」
カルディアスはそう言った。周りもフローナルのことを熱く歓迎していた。
だが、その一方でアグメイアは部屋の中に閉じこもっていた。
「これでいいのよ、これこそが彼のため――」
そう、彼を自由にするのが一番だ――彼女はそう考えていた。
すると、そこへカリナが入ってきた。
「何をしているの? 早く行きなさい。」
えっ……? アグメイアは訊き返した。
「私はフェレストレイアの女王、この地を離れるわけにはいかないわ」
すると、カリナが前に出て言った。
「それじゃあフェレストレイアの女は名乗れないでしょ。
知ってる? フェレストレイアにはね、自らの命を賭してでもみんなに生き様を示したって言う伝説の女がいるのよ――」
それは――
「あなたも彼女のように生きる必要があるんじゃない?
それで私は彼女の剣をあなたに託したのよ、これは彼女からの遺言でもあるのよ。
だから――好きな男のもとにいて、彼の力になってあげるのがあなたの役目でしょ。」
カリナはアグメイアの手を優しく握った。
むしろ心を食われていたのはフローナルではなくアグメイアだった。