そしてさらに数年後、
アリフローラは四姉妹それぞれのお姉様の特徴を併せ持ちながらもすくすくと育っていった。
リフェーラの力強さ、リアンナの知性、ユーリシアの優しさとカリナの冷静さ――
それらを併せ持ったアリフローラはいよいよ要衝につくこととなり、
とうとうフェレストレイアの臣下の一員としてフィレイナらと共にフェレストレイアに従事することとなった。
が――フィレイナは相変わらずのシルグランディア節ゆえに、
アリフローラとはいつの間にやら立場が追いついていた。
「フィレイナ姉様! これ、どういうこと!?」
なんか、他所から様々な資源を購入したようで、アリフローラにこってりと絞られているようだった。
「だってさ……必要と思ってさ――」
「必要なのはわかるけど、もう少し話し合ってからにしましょ?
いきなり買うのはダメ! みんなに言われてるでしょ!?」
そう言われてフィレイナはしゅんとしていた。
「アリフローラに言われたらそうするしかないわね。わかったわ――」
「約束したからね!?」
「はっ……はい――」
アリフローラはマジメだった。
アリフローラはリアンナと話をしていた。
「本当に戦士になっちゃったわね――」
「これが私が志した道、悔いはないわ――」
何人かは反対していたが、結局彼女の思いを優先することになったのである。
「ずっとお母様見て育っていれば無理もないか――」
「それを言うならあなただってそうじゃない?」
確かに――アリフローラの言うとおりである、リアンナは何故その道を志さなかったのか。
「あんたは頭いいんだから戦士なんかしないで国を支える役に回りなさい、
強制はしないけど、あなたにはそっちのほうが適任なんだし――
お母様とお姉様がそう言うと、これも私にしかできないことだって思って即決したのよ。」
他人の後押しか。
「フェレストレイアの女戦士の役をあまり増やしたくないからね。
ケガなんかして身体中ケガなんかしようもんなら――」
なるほど、確かに……そういうもんか。
「でも、そんなにケガをしている人、少ないんじゃない?」
リアンナは頷いた。
「祖国の星では”癒しの精霊”って呼ばれるほどの身体をしているからね、
だから特にお母様とか大昔にとんでもない大ケガをしたことがあるって言うけど、
その時の痕が全然わからないぐらい完治してしまうらしいのよ。
もちろん、あたりどころが悪かったりすると後遺症として残ることはあっても肌まではそこまで影響がないみたい。
お母様は後遺症も残ることなく無事だったみたいだけど――」
だから無茶をするなとあれほど以下略で。安定のフィレイナ様ということらしい。
「とはいえ、やっぱり不用意にケガをするのは良くないし、
それゆえに女戦士を増やせないのは事実、だから私はこっちの道を志すことに決めたのよ。」
そして、リアンナは改まり――
「お母様はアリフローラのことを特別視しているのは知ってるでしょ?」
そうなの? アリフローラは訊いた。
「知らなかったの……なんだか特別な思い入れがあるみたいよ。
私もそう――アリフローラは私らとは何かが違う……そう思っているのよ。」
えっ……そうだろうか? アリフローラは考えた。
「だからあなたは期待のホープよ。
お母様の期待にも応えてあげて、いーい?」
まあ、それは――そのためにこの道を志したので異存はなかったのだが、まさかそれ以上――
さらに数年後――
「アリフローラ! ちょっとこっちに来なさい!」
えっ、なんだろうか……フィレイナが少々怒り気味である。
「あんたねえ! これ、どういうことよ!」
それは某資源を購入した際のエピソードである。
「それ、議会で承認を得られたから私がその個数を入力したやつでしょ、それがどうかした?」
「どうもこうも! だったら議会で承認を得られた個数を入力しなさいよ!
取引額が妙に安いと思ったら!」
えっ……どういうことだろう――アリフローラは恐る恐る注文書を見ると……
「これ! ”0”が1個足りない!」
しまったー! またやったー!
またやったって……似たようなことは何度かやっている。
「ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!」
アリフローラは土下座して謝っていた……フィレイナは悩んでいた。
「ったく……あんた事あるごとにやってくれるわね……。
まあいいわ、その可愛い顔に免じて許してやるか……今回だけ。」
今回だけというのも毎度のこと……何度許してくれるのだろうか。
「でも……どうしよう――」
アリフローラは不安そうにしていると、フィレイナは得意げな態度で言った。
「ま、何があってもいいように蓄えだけはあるからね、次の配達が来るまではこれで大丈夫よ。
そうと決まったら早く注文書を用意して、足りない分を買い付けるのよ。」
そう言われ、慌てて用意をするアリフローラだが……
「ゆっくりね! 書いたらちゃんと私に見せて!」
そう、その工程があれば――