運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第4章 未来をつなぐ者たち

第95節 フィレイナ勝利のメソッド

 しかし、あんたの装甲はどうってことないって言い放ったことについてはもはやハッタリとかなんでもなく、 しっかりと切り裂いていた!
「ど、どうなっているんだ!?」
 カルディアスはその光景に圧倒されているとフィレイナは言い返した。
「コツってのがあんのよ!  それに、この刃を使いこなすのもそれなりに修練してないと難しいし!  んなことより、今のうちにみんなのこと退避させなさいよ!」
 そ、それもそうか……カルディアスは慌てて対応していた、 後ろの戦闘員たちと共に事に当たろうとしていたが……
「我々も戦います!」
 と、何人かは名乗り出るが、フィレイナは――
「足手まといよ! いいから、そこを退いてなさい!」
 と、言い返されたが次の瞬間! またしても爆散レーザーが!
「フィレイナさん!」
 彼女は爆発に巻き込まれた! が――
「んな程度の攻撃が私に効くか!」
 なんと、バリアを貫通するはずだがそれ一枚で攻撃をしのいでいた!
「この! いい加減にスクラップになりなさいよ!」
 ……確かに、足手まといになりそうだ、善戦しているではないか。 言われた通り、倒れたメンバーを救出するのが先決だな……戦闘員たちは意を決して事に当たっていた。

 すると――
「ん……?」
 再びレーザー光が! しかもそのレーザーは……
「それしきの攻撃で!」
 と、彼女にずっと照射し続けていた! そしてそのまま――
「え……」
 彼女めがけて突進!
「うわぁ!」
 彼女は跳ね飛ばされた!
「フィレイナさん!」
 カルディアスは焦っているが、フィレイナは――
「やりやがったなテメェ!」
 なんと、宙にいる状態を維持したまま風の魔法の力で体勢を整え、そのままケルベロスめがけて切りつけた!
「システムは相手を見てどんどん戦い方を変えて行くように見えるが彼女はどの攻撃にもうまく対応している…… これが伝説のフェレストレイアの女戦士ということか――」
 カルディアスは絶句した、これがフィレイナ=シルグランディアという女なのか。 だが――
「くっ……抜けないっ!」
 思いっきり切りつけたはいいが、今度は剣が抜けなくなってしまった! するとそこへレーザーが!
「やばいぞ!」
 カルディアスは心配していた、レーザーはフィレイナめがけて発射!
「遅い!」
 えっ、茶番……剣をさらっと引き抜きつつレーザーをひらりとかわすと、 今度はそのまま跳び上がってとうとうケルベロスの上に!
「マズイぞ!」
 と、今度はケルベロスは首をしならせ、フィレイナめがけて強烈な一撃を!
「頭いいんだか悪いんだかどっちかにしろよ!  そんな単純なCPUで私に勝とうと思ったのが運の尽きね!」
 と、なんと、再び風の魔法の力を用いて瞬間移動!  側面からケルベロスめがけて剣を奥深くに突き刺した!  終始彼女のペース……敵はかなり高性能なCPUだが彼女には至らなかったということか――。
「くたばれ……ライトニング・ディバスター!」
 と、フィレイナは激しい雷をまとうと、そのまま自らの剣めがけて雷を発射!  激しい雷は剣を伝ってケルベロスの内部へと直撃!
「Kerberosの異常を検知。直ちに修復モードに移行します」
 が、しかし……
「させねえよ! お前らはここでくたばるんだよ! 私の手でなぁ!  <ライトニング・テンペスト・ストリーム!>」
 と、今度は前にやったそれとは桁違いの破壊の雷で部屋中のシステムをもはやぶち壊さんとばかりに魔力を解き放った!
「はあああああああああああああ!」

 すべては収まった、フィレイナの手によって。 あたりはとにかくボロボロ……ケルベロスもまた、その場でスクラップと化していた。 そしてフィレイナは――何事もなく剣を片付けると、 そのままトリュオンの前に……破れたカバーを退かしてその球体を取り上げた。
 そこへテレイズは気が付くと、フィレイナの元へとすぐさま駆け寄った。
「フィレイナ……」
 彼女は頷くと、トリュオンをテレイズに手渡した。そして――
「はぁ……なんか、どっと疲れたわね……。 とにかく、後は頼んだわよ――」
 と、彼女はそのまま崩れるかのように倒れ――
「フィレイナー!」
 テレイズの叫び声がこだました!  その声に気を失っていた者たちも目を覚まし、彼女の周りへと集まっていた――
「フィレイナさん……」
 カルディアスもまた落胆していた。