運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第4章 未来をつなぐ者たち

第92節 残党の最期

 そして――
「あれ! あそこにいるのは敵の将じゃねえか!?」
 アルドラスはそいつの存在に気が付いた、その場で倒れている――。
「こと切れているわね……状況から見るに、仲間から裏切られた可能性があるわね。」
 と、フィレイナは言うと、そいつの背中を指した。 それに対してディルナが――
「これはだいぶ至近距離からフェイズ・ガンの類で撃たれていますね、 となると――つまりはそう言うことになりますね」
 なんと、そんなことが。
「どれどれ、ちょっと見せてみなさいな――」
 と、フィレイナはそいつのコミュニケーターをぶんどると――
「暗号化が甘いからね、随分と前にコードを奪ってるから――ちゃんと見せてみなさいな……」
 と、フィレイナは自分のコミュニケーターを取り出してケーブルで接続、そして何やら操作すると――
「と、連中の端末ならこんな感じでロック解除できることがあるのよね。 使うかどうかわからないけどディルナの端末にやり方送っとくね。」
 というか、あっさり解除する方法を見つけ出すのもすごいな――ディルナは舌を巻いていた。
「言語設定をフェルドゥーナ標準語に合わせて――これである程度読み解いていけるわね。 もしかしたら”トリュオン”の目的について書かれているかもしれないから、とりあえず預けとくわね。」
 と、カルディアスに敵のコミュニケータ―を手渡した。
「わ、わかった――」
 だが、ここで仲間割れが起こったということは――
「帝国軍で把握している使い方とは違う使い方をしようと画策してのこととか……ですかね?」
 フェルメリアはそう言うとカルディアスは頷いた。
「なるほど、確かにその通りだな。となると、違う使い方というのは――」
 ララミィは頷いた。
「珍しいお宝に目がくらんだから――考えられることとしてはそのあたりになるかのう?」
 それしかなさそうだ。

 さらに先に進むと、さらに1人、さらに1人と帝国兵が脱落していた。
「どんどん欲望が高まっていくのう、仲間を殺してまで力を独占したいか――」
「あるいは……そもそも仲間という意識すらないとか……ですかね――?」
 ララミィとシェリアが話し合っていると、アルドラスもいよいよ悩んでいた。
「仲間だと思ってたらこんなことできねえもんな。 帝国の人間なんて得てしてそう言うもんだと俺はそう思ってる」
 ララミィはため息をついた。
「じゃろうな……そうでなければこの星をこのようなにしないからのう――」
「血も涙もないなんて――それなら私も心を鬼にするまでです!」
 シェリア……あなたがキレるとなんか怖い。こういう人は怒らせると大体怖い。

 さらに進むと、そこには帝国兵4人がいた。
「なんだ貴様ら?」
 その中で一番偉そうなやつが言った。
「お前らじゃな! この星をこのように変えたのは!」
 そんな彼女のビジュアルを見てそいつは高笑いをしていた。
「クハハハハハハ! なるほど、そうきたか!  まさか人道的・道徳的がモットーの銀河連邦がお得意の”未開惑星保護条約”とやらを破るとは!  人道的・道徳的が聞いて呆れるわ!」
 それに対し、他の3人がゲラゲラと笑っていた。
「この星を滅茶苦茶にしておいて言うことがそれか!」
 カルディアスを初め、全員が憤っているとそいつは言い返した。
「我らが覇道のためなら手段は択ばぬのだよ。 そのための犠牲となった――そういうことであればこの星も本望であろう?」
 それに対してララミィは鞭を振りかざし――
「何が本望かはこの星の住人であるわらわが決める!  無論、貴様らのような害虫を駆除することは最優先事項じゃがな!」

 だが、敵は何ともあっさりと片付いてしまった、一介の戦闘員程度ではこの人数にかなうわけもなく。
「弱いなぁ……もっとも強いのはほんの一握りだからしゃあねえか……」
 アルドラスは呆れていた。しかし――
「それよりも、神殿はまだ続くようじゃ――」
 そう、ここはまだ通過点に過ぎないのである。
「言ってしまえば、大ボスはまだ先に潜んでいるってわけね――」
 と、フィレイナ……そう言うことらしい。